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【怪談実話104】律儀、二題

【1話目】

女性Aさんは、ある著名人の大ファンだった。

あるとき、知人女性Bさんが偶然にもその著名人の幼馴染みだということが判明した。「いつでも会わせてあげるよ」というBさんの言葉に甘えて、3人で原宿にショッピングに行く段取りをつけてもらった。Aさんにとっては青天の霹靂。首を長くして、約束の日を待っていた。

だが不幸にも、約束の1週間前にその著名人が亡くなった。交通事故に遭い、何日か入院した後に息を引き取ったそうだ。

その後間もなく、AさんはBさんと話す機会があった。Bさんによれば、亡くなる前日にその著名人本人から自宅の固定電話に電話が掛かってきたらしい。ショッピングの約束の件についても、電話口で話したという。当時Bさんは事故を知らず、著名人からも事故の話は出ず、友人同士のありふれた会話に終始した。

また、Bさん以外にも、地元の友人ら全員(何人かは不明)の自宅にその著名人から電話があったそうだ。全て、亡くなる前日のことだった。

亡くなる前日は、意識不明で電話できる状態ではなかったにもかかわらず、である。

【2話目】

前述のAさんの曾祖母の話。

曾祖母が危篤状態の時、7人の孫(Aさんの親兄弟)の元に、それぞれ個別に姿を現したという。もちろん、曾祖母は一歩も動くことができない状態であるにもかかわらず、である。

孫のひとりは当時ブラジルに住んでおり、「日本の祖母ちゃんが来た」と言っても周囲の人間は誰も信じてくれなかったそうだ。

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