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取材した怪談

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私が取材した心霊的・不可思議現象の話です。
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#電話

【取材した怪談240】忠告

40代の哲也さんに憑いている霊は、もう祓うことができないらしい。 出生時から憑いているそうだ。 これまで3人の霊能者に鑑定してもらったが、「強力すぎて除霊は無理」、「こちらの命にも危険が及ぶから関わりたくない」と匙を投げられた。 1人の霊能者の鑑定によれば、その霊は女性で、「江戸よりも前の時代」に生きた人物。 彼女は小さい集落で夫と暮らしていた。 だがその夫が、その土地で起きた犯罪に関して村の権力者に無実の罪を着せられ、処刑されてしまう。 強い強い恨みを抱いたまま、彼女は夫

【取材した怪談話168】受話器

女性Kさんは、新型コロナウイルス感染症患者の療養施設で夜勤の派遣アルバイト(入所者の食事用意、ごみ捨て、書類作成、電話対応など)をしている。この療養施設は、ホテルの一部の棟をまるごと使用している。 ある夜の午前3時15分ごろ、ホテルの電話交換台から電話がかかってきて、Kさんが受けた。 「〇〇〇号室と△△△号室の受話器が外れているようです。対応お願い致します」 ホテルの従業員はノータッチで、自治体の職員と、自治体と契約した派遣会社の社員が諸々の対応をしている。Kさんの派遣

【取材した怪談話129】朝比奈峠(神奈川)

二〇〇六年の初夏、神奈川。 当時中学三年だった雅史さんは、同級生の友人A君、友人の母親、その母親の友人と四人でドライブに出かけた。A君とは家族ぐるみでの付き合いで、暑くなってきたから夜の海を見に行かないか、と雅史さんが誘われた形だ。 二十三時ごろ。友人の母親の運転でドライブが始まる。江ノ島方面に向かい、夜の海を堪能した。その帰り道。運転中の友人の母親が、「朝比奈峠ににある電話ボックスに、女の霊が出るらしいから行ってみようよ」と陽気な口調で言い出した。その電話ボックスは、鎌倉

【怪談実話104】律儀、二題

【1話目】 女性Aさんは、ある著名人の大ファンだった。 あるとき、知人女性Bさんが偶然にもその著名人の幼馴染みだということが判明した。「いつでも会わせてあげるよ」というBさんの言葉に甘えて、3人で原宿にショッピングに行く段取りをつけてもらった。Aさんにとっては青天の霹靂。首を長くして、約束の日を待っていた。 だが不幸にも、約束の1週間前にその著名人が亡くなった。交通事故に遭い、何日か入院した後に息を引き取ったそうだ。 その後間もなく、AさんはBさんと話す機会があった。

【怪談実話84】予兆

約15年前の話。 6月、Aさん宅の固定電話に、知らない番号から電話が掛かってくることが続いた。自宅の電話機は、ごく一般的なナンバーディスプレイ型のものだ。 この不審な着信は、1週間の間に4回、それも毎回異なる番号だった。Aさんの父親が在宅しているタイミングで掛かってきたが、いずれも受話器を取る前に切れてしまったそうだ。 切れた直後は不在着信として着信元の番号が表示されたが、あとで番号を確認しようとして履歴を見ても、記録に残っていなかった。 4件ともそのような現象が起き