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取材した怪談

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私が取材した心霊的・不可思議現象の話です。
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2021年4月の記事一覧

【取材した怪談話128】暗黒空間と骸

女性Kさんに文章取材した話。ご本人の文章をベースにご紹介します。探検要素を含むため、臨場感を維持するためです。文中のイラストも全て彼女の作図。立体感のあるイラストを描いていただいたため、文章とともにKさんの探検を追体験いただければ幸いです。 ・・・ 私が中学一年生の話です。約三十三年前かと。 ある日曜日、同じクラスの女友達と、彼女の家の近くで遊ぶことになりました。当時住んでいたのは、兵庫県A市です。何をして遊ぶか? そしたら、近所に空き家になった団地がある、というので行っ

【取材した怪談話127】邪魔

理恵さんが高校生だった頃、入院中の母親の見舞いに行った時のこと。 面会可能時間よりも少し早めに病院に到着したため、ひとりで待合室の椅子に座って待っていた。その日は、祖父と病院で合流する予定だった。 椅子に座っていた理恵さんは疲労を憶え、うつらうつらと眠気に襲われる。座ったまま、眠りに落ちてしまっていた。 「じゃーま」 自分の頭上から、抑揚のない乾いた女の声が聞こえるとともに意識が覚醒した。 あ、こんなところで眠ってたら邪魔になる。 早く、どかなきゃ。 反射的にそう

【取材した怪談話126】中古車の写真

「因果関係があるかどうか、分かりませんが」と前置きして話してくれたのは、男性Aさんだ。 Aさんの兄(当時三十代、離婚歴あり)が、再婚する少し前に中古車を購入した。それまで所有していた大型車(イメージとしては『ランドクルーザー』)を売却し、コンパクトな中古車(イメージとしては『フィット』)を購入した。Aさん曰く「見た目はボロい車」だった。車体の色はシルバーだ。 購入してすぐに、兄は車両の正面から写真を一枚だけ撮影した。昼間に実家で撮影したもので、フィルム写真だ。 現像後に

【怪談実話124】喰い殺すぞ

「金縛りによく遭うんです。ライトなものからヘビーなものまで。他の方の金縛り体験にも似通いますが、身体が動かない、目は見えてるという状態。意識だけが醒めさせられる感覚ですね」 そう教えてくれたのは、沙織さんという三十代の女性だ。 是非ヘビーなものを聞かせてください、とお願いする前に、彼女のほうから以下のヘビーな体験談を明かしてくれた。三十歳頃のある夜、いつものように金縛りに遭った時のことだそうだ。 「小さめの手で、左腕を触られる感覚がありました。ああ、触ってくるタイプか、

【怪談実話123】旧吹上トンネル(東京)

※行きずりの方から断片的に伺ったお話で、取材が不十分な点があります。 ・・・ ある年の夏、大学生A君は、B君、Cちゃんを含めた数人で車に乗って吹上トンネルに向かった。ちょっとした肝試しだ。 「吹上トンネル」は、東京都青梅市の吹上峠に設けられた三本のトンネル群の総称である。 ・新吹上トンネル:自動車の通行可能 ・旧吹上トンネル:自動車の通行不可(歩行者は通行可能) ・旧旧吹上トンネル:完全封鎖 これらのうち、旧トンネルと旧旧トンネルは東京屈指の心霊スポットで、彼らが赴い

【怪談実話122】悲しい煙

女性Rさんは二十代の頃、自殺未遂をしたことがある。自宅に買い置きしてあったバファリンを、衝動的に過剰摂取した。片手に山盛りの量の錠剤を、ウィスキーで体内に流し込んだ。 命は取り留めたものの、生きる意味を見いだせない日々が続いていた。その後ほどなくして恋人ができるが、それでも暗闇を這うような精神状態が好転することはなかった。 自殺未遂から約十か月後、秋頃。 彼氏のアパートのベッドで身体を重ねた後、Rさんはウトウトして寝落ちした。 ふと目が覚めたのは夜中二時ごろ。部屋は暗い

【怪談実話121】白蛇様(画像あり)

三十七年前、当時十歳の女性Kさんは、父方の祖父の妹(大叔母)の家に父親、兄と一緒に赴いた。 大叔母は、霊能者だった。 Kさん一家の他、大叔母の親戚と思われる者らも集まり、大人たちは昼間から呑み会を始めた。 その席で、大叔母が「この家の屋根裏には白蛇様が居て、家を護ってくださってるの」と有難がるように話していたのを憶えている。時折、屋根裏を這いずる音が聞こえるとも言っていた。 酒宴が進み、ほろ酔いになった父親が、持参したフィルムカメラで皆の楽しい様子を撮影し始めた。 それら

【怪談実話120】X号室の経緯

徹さんは小学生の頃、近所の幼馴染Aの家によく遊びに行っていた。二階建てアパートのX号室だ。玄関を入ると六畳の和室があり、奥に四畳半の和室が続く。 Aは片親で、夜間業の父親と二人暮らし。遊びに行くといつも六畳間でAの父親が寝ており、その脇をそろりと歩いて四畳半のAの部屋に入っていた。父親の隣で交際女性が添い寝している時もあり、あまりジロジロ見ないようにしていた。 四年生のある日、いつものようにAと一緒に下校し、「また明日」と手を振って別れた。 数時間後。徹さんが自宅でニュース