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恋するピアノと僕の知らない君

ピアノを弾いている君はいつだって恋する瞳で

僕はピアノに嫉妬してしまう

だからといってピアノを壊したら君が悲しむに決まっているから

僕は君にバレないようにピアノに嫉妬するのだ

僕の知っている君は…

元気に ころころ笑って 周りの空気を明るくする人だ

今までも ずっと君は明るくて楽しいみんなの太陽みたいな人だと思っていたのだけれど…

過去のキミは…

そうでもなかったらしい

ある日の音楽フェスで バンド時代の曲を披露した君は全く僕の知らない人みたいだった

わたしの事をもっと見て!

わたしはここにいるの!

わたしの歌を聴いて!

君にそう言われている気がした

わたしは他の誰とも違うって 一生懸命主張している若かりし頃の君を想うと胸が痛くなって

益々 君が愛しく思えた

触ろうとしたら針で刺してくるハリネズミみたいな過去の君

ちっちゃな体で周りを必死に威嚇していた可愛い君

いつの間に針が無くなったんだろう

今の君が奏でる音は優しく温かくて
僕の心を癒してくれる

もしかしたらまだ針は装備したままなのかもしれないけど…

今の飾らない君の歌声とキラキラしたピアノの音に周りのみんなが癒されているんだよ

今は威嚇しなくなった可愛いハリネズミさん

出来る事なら その針は ずっと寝かせたままにして優しい歌をみんなに歌って欲しい

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