春の歌が聴こえる
うぐいすが春を告げると
慌て者の水仙は我先にと花を咲かせて庭を黄色に染め上げる
恥ずかしがり屋の沈丁花は可愛らしい花をひっそりと咲かせているのだが
その甘く優しい香りは道行く人に春が来た事を香りで教えてくれる
アナタはまだ咲かないの?
桜の木に話しかける少女は真新しい制服に身を包んでいる
入学式に桜が咲いていたらいいなぁと思っているんだけど…
少女は桜の木を優しく撫でながら
桜の木にお願いをするのだ
桜並木を真新しい制服に身を包んで母と共に歩きたいと
ただそれだけを…
春が来て桜が咲けば母の病気も良くなると云った父の言葉を信じて