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『MAma』2014年、スペイン・カナダ合作

!Attention! ネタバレがあります。

こんにちは。はじめましての人ははじめまして。
小説を書くための勉強として、映画を見て、感想をまとめていこう!
という記事です。

映画全体を見たただの視聴者の視点と、物語に特化して見た物書きの視点で感想をまとめてみました。

前からよく広告で予告編を見ていた映画です。
「ホラー映画見たい!」という欲と、「『女神の見えざる手』の ジェシカ・チャステインが出てる!」というのに興味を惹かれて見てみました。

また、『パシフィック・リム』のギレルモ・デル・トロが製作総指揮を務めています。

※2020年10月現在、Amazonプライムで無料で見られます。
※原題『MAma』、1時間39分。

【あらすじは?】ひょんなことから森の廃屋に置き去りにされた幼い姉妹は、精神障害者の女幽霊に育てられた。5年後、廃屋から救出されてからも干渉を受け、結局妹は幽霊とともに逝き、姉は現世に残る決断をする物語。


久々に記事を書くのでちょっと感覚が戻りませんね。えーとえーと(自分の過去記事参照中……now loading……)

さてではまずはあらすじをまとめてみましょう。
ちょっと混乱しますが、「主人公=視点の持ち主」と考えると、2回主人公が変わります。

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【プロローグ】①姉視点
精神を病んだ姉妹の父親が、共同経営者2名と妻の計3人を殺し、逃亡中に迷い込んだ森の廃屋で、姉妹と無理心中しようとする。しかし、父親は何者かに殺され、幼児の姉と、赤子の妹はその何者かに育てられる。

【序】②叔父視点へ移行。
5年後。姉妹は救出されるが、獣のように四足歩行し、まともに言葉も離せないような状態。精神科医の博士が2人の治療に当たり、「2人は架空の保護者『MAMA』を作り出している」と診断する。

ずっと姉妹を探していた年若い叔父が、博士の援助を受けて2人の養育権を獲得する。同じく年若い彼女・アナベルと共に姉妹を育て始めるが、家に現れた不気味な影によって負傷、入院する。

【破】③彼女・アナベル視点へ移行。
しばらく、姉妹とアナベルだけで生活することになる。
家の中で不審な人影を見かけたり、不気味な気配を感じたり、不穏な雰囲気が増していく。

一方、『MAMA』について独自調査を進めていた博士は、かつて赤子を誘拐して飛び降り自殺した精神障害のある女性・イーディスがいたことを突き止める。死亡時、イーディスは崖下の湖で死亡したものの、飛び降りる途中で赤子が消えてしまい、イーディスは森の中でずっと子どもを探していた(※赤子は崖の途中の木に引っかかり、そこで死亡していた)

博士は、姉妹とイーディスを結びつける証拠を探しに廃屋に行くが、イーディスの霊=『MAMA』に殺される。

さすがにおかしいと思ったアナベルは、博士の診察資料を見る。その内容と、イーディスの過去を夢として見せられていたため、アナベルもまた『MAMA』がイーディスの霊であることにたどり着く。

だんだんアナベルに懐いていく姉妹に業を煮やしたか、イーディスの霊が姉妹を攫ってしまう。アナベルは姉妹を救出するため、イーディス事件後に発見された、赤子の骨を持って森の廃屋に向かう。

【急】
イーディスが飛び降りた崖。
連れて行かれようとする姉妹の代わりに、アナベルは赤子の骨を差し出す。
一端は赤子の骨と共に逝こうとしたイーディスだが、リリーに呼ばれ、リリーだけを連れて崖から飛び降りる。

姉は現世に残る選択をする。
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映画好きとしての感想:ギレルモ・デル・トロが関わっているだけあって、日本ぽい要素が入っている&映像が綺麗

製作総指揮のギレルモ・デル・トロは親日家として有名です。
恐らくそのためだと思いますが、日本ぽい要素がところどころに入っています。

そもそもタイトルも『MAma』ですし。日本の発音だと母親に「ママ」と呼びかけますが、アメリカの場合「Mam(マム)」の方が、口語としては一般的だと思います。

また『リング』をオマージュしたであろうシーンもあり、日本ネタとして入れたかったのかな、と思いました。

ギレルモ・デル・トロの製作した『パン・デ・ラビリンス』『クリムゾン。ピーク』は幻想的な映像(CG)がとても綺麗でしたが、今回も美しいです。

一方、「残念だなー」と思ったのはストーリーと演技です。
ストーリーについては次項に譲るとして、ここでは演技について。

残念とは言いましたが、各人の演技はとても上手いです。特に子どもたち。5年間社会と隔絶されて育ったという設定の役を、まったく違和感なく演じていて、びっくりしました。

ただ、アナベル役のジェシカ・チャステインが、彼氏役(叔父さん)と調和してなかった気がして違和感がありました。

そもそも、アナベルは年若く、ロックバンドを組んでやんちゃしているような女性です。ジェシカ・チャステインは知的で性格がキツく、仕事のできるキャリアウーマンなイメージがあり、「あまりマッチしていないのでは?」と感じました。

演技の方は、ジェシカは役に入り切ってやっているのですが、彼氏であるはずの叔父さんがちょいちょい気圧されているというか、「ここにどう入ろう……」と戸惑っているような雰囲気を感じました。
私の気のせいである可能性もありますが。

物書きとしての感想:視点変更が多すぎる。そして、辻褄が合わない行動が多すぎる。

最後はほとんどアナベル視点なので、「最初からアナベルでは駄目だったんだろうか?」と思います。

プロローグが終わって後、最初に叔父さん視点になります。そのため、「この物語はこの叔父さん視点、叔父さん主人公で進むのねOK」と了解した後、途中からアナベルに視点が移るので混乱しました。

「あれ? 叔父さんが主人公だよね? あれ、でも入院したまま出てこないぞ???」と思っているうちに、アナベルが中心となって解決してました。

ほとんどラストになって「これはアナベルと姉妹の物語なんだな」と認識を改めましたが、そこまでのタイムラグがすごいです。

もう一つの不満点は、辻褄が合わない行動が多いことです。辻褄が合わない……というか動機がよくわからないので、登場人物たちが唐突に行動したように見えます。

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●叔父さん
➡なぜか姉妹をすごく重視していて、5年間もずっと探していた。姉妹の母方の大叔母さんと養育権を争い、お金がないにもかからず、博士に協力してもらって姉妹を引き取る。

➡姉妹の父親の霊に「姉妹を助けてくれ」と頼まれて、病院を抜け出して森に行く。ここまではわかるが、父親の霊が指さしていたところには結局何もなかったうえ、叔父さんは懐中電灯もないのに夕暮れの森に入り、なぜかラスト間際まで夜の森を彷徨っている。

●大叔母さん
➡なぜか姉妹をすごく重視していて、姉妹の養育権を叔父さんから奪おうと必死。

●博士
➡イーディスの存在に恐怖を感じていたにも関わらず、なぜか誰にも告げずに夜に廃屋に向かう。

●出来事
・養育権を奪うための手段として、虐待の証拠を撮ろうと、大叔母さんがアナベルたちの家にするっと侵入→夜中なのに扉に鍵がかかっていない?

・アナベルが博士のPCで資料を確認する→精神科医の仕事用PCなのにパスワードがかかっていない?
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上記のように、ところどころ「え? いまのおかしくない?」というシーンがあり、納得いかない部分が……。

大筋の物語はそこそこ好きだっただけに、細部が残念でした。


おわりに:「ものすごく面白い」という作品ではないですが、ホラーにしては恐怖がマイルドで感動系なので、「ちょっとひやっとしたい」という方におすすめ。


ホラーにしては終わり方が綺麗で感動系なので、もやっと終わりたくなくて、ちょっとだけひやっとしたい方にはおすすめです。

「幽霊の無念を解決してあげたら、幽霊が成仏する」という要素も含んでいるので、『零』シリーズや『クロックタワー3』、『エコーナイト』シリーズのようなアドベンチャーホラーゲームが好きな人は好きな展開だと思います(たとえが古くてすみません)。

幽霊の過去を探っていくあの感じ、とてもえもいですよね!

ではでは今回はこのへんでノシノシ

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