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6年続けた塾講師を引退するし,授業で大事にしてたことをまとめる

こんにちは,
僕は個別指導塾でB1〜M2までの6年間アルバイトをしてきたんですが,ついに今年(2024年)2月で退職する運びになりました.

なんだかんだ,生徒に個別で勉強を教えたり,長期的に目標達成に向けて指導するという経験は身になったことが多かったです.

塾講師をはじめて1年目の年は,授業アンケートでわりとボロカスな評価を受けてたんですが,年月を重ねてある程度成長することができました.

備忘録も兼ねて,このnoteには塾講師として意識していたことを、「生徒との接し方」、「上手な教え方」、「指導の仕方」に分けて紹介したいと思います.


このnoteの全体像


生徒との接し方編

授業の主役は生徒であり,講師は脇役である.

1年目の授業アンケートで低評価を受けた僕は,まずは授業をうまくなるべきだと考えました.そのために,予備校講師の授業動画を見たり,教育系YouTuberの授業動画を見漁るなどしていました.
それらの動画には,「プロの授業」としての単元の教え方,言い回し,話の構成などのヒントが詰まっていて,たいへん勉強になりました.

ただし,「講師が"良い授業"を前もって準備するということ」って,どちらかというと個別指導というよりかは集団指導のアプローチだなと後々気づきました.
個別指導では生徒によって学力もわからないところも違うので,生徒によって教え方を最適化させていく必要があります.そのため,一つの教え方を作り込んでいても不十分な時があるのです.

また,その頃の僕は準備してきた教え方に固執しすぎる上に,生徒に教えすぎちゃう傾向がありました.
生徒に教えすぎてしまうと,生徒自身が考える機会を奪ってしまって,結果的に「授業中はできたけど宿題が自力でできない」ということが起こってしまいます.

色々考えた結果.個別指導において授業アンケートで高い評価を獲得するためには,「講師である自分が良い授業をしてあげよう」というマインドではなく,「生徒が勉強を好きになって,1人で走っていけるようにしてあげよう」というマインドが大切だと思いました.

つまり,授業の主役は生徒であり,講師は脇役であるということです.

意識したことは以下の4点です.

① 否定的なことを絶対に言わない.問題が自力で解けたら褒めてあげる.

生徒が問題を解けたら,「天才!」「連立方程式マスターやん!」などとやや大袈裟に褒めていました.
褒め方は生徒によって変えていて,大袈裟な褒め方に対して「ほんとに思ってる?」っていうような感情を持ちそうな生徒に対しては,「ここまできちんと理解できているね」など,理解できていることを承認する言葉をかけていました.

やっぱり,得意なこと,できることが結局好きなことに繋がるんだと思います.自信を持ってもらうために,否定的なことを言わないこと,褒めてあげることは欠かせません.

② 生徒が持った疑問には絶対に答える.

生徒が質問してきたことは絶対に打ち返すようにします.勉強に対する好奇心には応えてあげるのが講師の仕事だと思います.少しでも勉強を好きになってもらうためです.
ただし,そのためには,そもそも科目に詳しい必要があります.講師も勉強が大事です.

③こまめに理解を確認する.

1年目の時は,ひたすら自分が喋っていました.説明した後に,さて問題解いてみようってなったときに,めちゃくちゃ説明したのに全然問題が解けてないみたいなパターンがめちゃくちゃありました.
僕1人だけ突っ走ってて生徒を置いてけぼりにしてた感じですね.

これは僕がこまめな理解度の確認を怠ったせいです.
文章にして3〜4行くらい説明したあとは,必ず「ここまででわからないところ,納得できないところはある?」と聞きます.
ちゃんと生徒がついてきてくれているかを確認しながら教えることはとっても大切です.

ちなみに,6年塾講師をやってきた僕は,人に何かを教えたときに「分かっていない反応」を見抜くことができます.その場合,発問して理解が甘い箇所を探った後,丁寧に説明するようにしています.

④ 自力で解けるまで何回も問題を出す.

個別指導の授業って,教材の例題を説明して,その下にある演習問題を解いてもらって…っていうことを繰り返す感じなんですが,演習問題を解いている生徒が「わからない!」となる時はよくあります.

そういうときはヒントを出してあげたりするのですが,ここで意識しておきたいのは,生徒が問題を「完全に自力で解けた経験」を授業内で作ることです.
ヒントを出してしまったのなら,必ずもう1題類題をヒント無しで解いてもらいます.

時間がかかってしまいますが,生徒が「自力で解けた経験」を作るのを授業でサボってしまうと,後々自力でできず,学んだことを忘れ,授業が無駄になってしまいます.そんな例をいくつも見てきたし,経験しました.



〈おまけ①〉
上記のことを明確に言語化して意識し始めたのは,バーチャルYouTuberのグウェル・オス・ガールさんが魔界ノりりむさんに積分を教える配信を見てからでした.
この配信は,小学算数の理解度が浅いりりむさんに対して,グウェルさんが定積分の問題を解けるまで耐久するという8時間に渡る企画配信でした.

この配信,個人的にめちゃくちゃYouTubeで好きな配信で,はじめは分数の約分すらできなかったりりむさんが,本当に最終的に積分を解けるようになったんです.感動ものです.8時間分飛ばさずに全部見ました.

たったの8時間で積分を解けるところまでもっていけたのは,グウェル先生の力量だと思います.そして,グウェル先生が授業の上で徹底しているなと感じたところが上記の①〜④のことだと思いました.
講師として初心に帰れるとても良い配信だと思います.

見たことなければ是非見てほしいです.

〈切り抜き〉24分9秒

〈本編〉8時間6分12秒

ちなみに,この配信ですごいのはグウェル先生だけではなく,りりむさんもめちゃくちゃすごいです.勉強に対する好奇心が旺盛で,疑問に思ったことはなんでも質問したり,「なんとなく」で解いたりせず自分なりに考えを持って答えを導く姿勢がとても素晴らしく,めちゃくちゃ良い生徒です.
こういう生徒ってなかなかいない…!



上手な教え方編

説明が上手くなるためにはどうすればいいか.

ここでは,物事を説明するときに意識すべきことを紹介します.

この話をする前に,まずはわかりにくい説明の具体例からお話しします.

僕の生徒が最近デュエル・マスターズ(以下,デュエマ)にハマっているんですが,その生徒にデュエマのルールを説明してもらう機会がありました.

その生徒は意気揚々と,デュエマのルールを語ってくれました.ただ,その説明が,デュエルを実際にするときの時系列順だったんです.

彼は下記のような説明を始めました.

・「まずはバトルゾーンとマナゾーンのカードをアンタップします,その後カードをドローします.あ,先行はドローできません.」
・「その後,手札からカードを一枚選んでマナチャージします,その後カードを召喚して〜,あ,召喚したターンは召喚酔いがあって〜」
・〜
・〜

担当生徒Aくん

といった具合です.

この説明で,デュエマを全く知らない人がルールを理解できるかというと,申し訳ないけど正直かなり怪しいと思います.
なぜなら,上記の説明の仕方には,下記のような問題点があるからです.

  • 全体像が何ステップあるかわからないから,いつまで話が続くかわからない.後の方になるにつれて最初の方のことはすでに忘れている.

  • 未定義の用語が多すぎて理解できない,その説明を追加すると説明が長くなってしまう.

  • そもそも勝利条件がわからないから,話がどこに向かっているのかが見えない.

こういった説明をされると,聞き手が混乱してしまいます.
では,どうすれば物事をわかりやすく説明することができるかという観点で,僕は下記の3つのことを意識しています.

① まずは概論を話して全体像を認識してもらう.

これはめちゃくちゃ大事です.
科目など体系だったものを勉強する時は,先に概論を説明するようにします.

枝葉となる具体的な説明に入る前に,幹となる抽象的で重要なことを先に伝えましょう.枝葉となる部分の説明が長すぎると,聞き手は「いつまで続くんだろう?」「結局何が大事なんだろう?」と不安に思ってしまいます.

例えば,デュエマの例だと下記のことを初めに伝えてあげるだけで,聞き手からすればだいぶ頭の中がスッキリして,その後の説明を聞くことができるかと思います.

  • デュエマは1対1で対戦するカードゲームであること.

  • 勝利条件は相手プレイヤーのシールドを全部壊してダイレクトアタックを決めること.

  • ゲームの流れは大きく分けて5ステップあること.

概論をはじめに伝えてあげるだけで,「今は全体像のうちのここを説明しているんだな」「勝利条件にあるシールドはどうやって壊すんだろう」とか,なんとなく相手の話に対して整理をつけたり,疑問を持ったりしながら聞くことができます.
「何の話をしているわからない」「いつ説明が終わるのかわからない」ような説明をされると,疑問が湧きすぎて整理がつかず,最終的には話を聞くことを諦めてしまいます.

話し手は,聞き手の立場に立って,聞き手の理解度や頭の中を予想しながら説明することが求められます.なんなら,聞き手の頭の中の世界は話し手が作り上げていくものだと僕は思います.
イメージとしては,テトリスのように,はじめは真っ新な空間にピースを整理しながら詰めていく感じです.聞き手の頭の中を見ながら情報というピースを適切にはめ込んで行くんです(テトリスと違って揃っても消えたりしませんが).その上で重要なのが,「話す順番」です.
そして,意識すべきこととして,最も簡単なのが,概論を話してから,クローズアップするという手順です.(このnote自体も、全体像を俯瞰してからクローズアップするという手順で書いてあります)


ちなみに,この概論をまず話すということは,一つの授業や物事を説明するときのみならず,一つの科目などより大きい枠組みを説明するときにも使います.

生徒を長期的に指導する場合,毎回別の単元を授業することになるかと思います.その際,「今回はこの単元」「今回はこの単元」といった具合に毎回新しいことをやっていると,過去の単元をどんどん忘れていくということが起こります.
それを防止するためにすることが,科目自体の全体像を説明し,単元同士のつながりや関連性を説明することです.

例えば,僕が高校の英文法の授業を担当する場合,下記のような英文法マップを見せてから単元の説明に入ります.

※これは僕が自作したものなので,間違っているところ,不完全なところがあるかもしれません.

例えば,動詞のing形って,動名詞になったり,分詞になったり,分詞構文としてでてきたりしますが,品詞という観点で英文法の全体像を俯瞰すると,かなり頭の中が整理されるかと思います.
同じing形だけど,動名詞は名詞,分詞は形容詞,分詞構文は副詞節っていう役割があるんだなぁという風に整理すると,それまで点として捉えていた知識同士を繋げて理解を深めることができます.
(これは,人にものを教えるときのみならず,資格試験など,自分が何か体系だったものを勉強するときにも使えます.)

今回は英文法を例にとって説明しましたが,他の科目自体についても,全体像は「(教科名) 学習系統図」とかで検索するといろいろ出てきます.

また,概論から話すということは,論文書く時や,プレゼンするときなど,幅広く使える方法です.ただし,営業やエンタメなど,結論から話すと興冷めする場面ではこの限りではありません.あくまで,”わかりやすく”伝えるための方法です.


② 物事をシンプルにするためには多少のウソをついてもいい.

ウソをついても良いっていうと,多少の語弊がありますが,ここで言いたいのは,説明をシンプルにするために,多少情報を削ぎ落として伝えても良い.ということです.

これも具体例を説明します.
結構前の話になりますが,トライさんの数学の映像授業で,「有理数と無理数」の教え方が炎上していました.

映像授業の中で,有理数と無理数について,以下のように教えられていました.

√(ルート)とπ以外,これぜ〜んぶ,有理数っていうんだ!

「有理数・無理数とは?」映像授業のTry IT(トライイット)

はい.理系ならわかると思いますが,この説明には誤りがあります.
有理数の定義は「整数m(m≠0),nを用いてn/mという分数の形で表せる数」です.
トライさんの教え方だと,高校数学IIIで習うネイピア数eは有理数になっちゃいますね.

ただ,僕はこの説明が良くないと批判したいわけではなく,むしろその逆です.僕が言いたいのは,この教え方には価値があるということです.

定義が間違っていることなんて,トライの先生もわかっていると思います.あくまでわかりやすく伝えるために,この説明を選んでいると僕は思うんです.

個別指導塾での経験に立ち返ると,勉強が苦手でテストの目標点数が40点~50点としている生徒もたくさんいます.
そんな生徒に対して,先ほどの有理数の定義の方を説明しても,確実に理解できないし,問題も解けないです.トライの先生の説明の方が,シンプルだし問題が確実に解けるものになっていると思います.

ここで言いたいのは,「生徒が問題を解くことができること」を優先しようということです.問題が解けるとテストの点数が上がります.テストの点数が上がることが成功体験になって,自発的に勉強するきっかけになります.

勉強が苦手な生徒に本質的なことを理解させたいというプライドは捨てましょう
僕は塾講師2〜3年目ぐらいでやっと捨てました.

最初から本質的なことも含めて全部教えてあげたい!という気持ちは僕もよく理解できます.僕もそうでしたから.
ただ,最初から全てを理解することなんてできません.段階を踏みましょう.

僕が上記のように考える理由としては,物事を学習する手順として,"暗記"の先に"理解"があると考えているからです.
理解しているから問題が解けるのではなく,暗記しているから問題が解けて,後々で本質を理解するという順番なんです.

このことについて,いくつか例を挙げます.

具体例その1:want to do (〜したい)の穴埋めをする問題では,want to doだけ暗記しておけば解けますよね.
wantが「欲する」でto do が「〜すること」という不定詞の名詞的用法が使われていてV(動詞)→O(目的語)になっているという知識がなくてもいいし,それは後から理解することだと思います.

具体例その2:物理の加速度運動と微積分が繋がっているという話です.物理基礎の段階では公式を暗記させられましたが,加速度運動の公式は「距離の時間微分が速度になって,速度の時間微分が加速度になる」という知識によって導出されるものです.ただ,高校1年生にいきなり微積分の概念を持ち出して本質的な話はできないかと思います.そもそも微積分の理解に時間がかかりますし.
(微積分を習ったときに,物理との繋がりに感動したのはよく覚えています.感動できたのは,これまで暗記で解いていた問題を本質的に理解できた喜びからだと思います.)

以上が,「暗記の先に理解がある」例です.
まずは問題が解けることを優先し,伏線回収は後!
初学の時は特に,話を極限までシンプルにする授業を心がけます.
そのためには,多少の情報の欠落は厭わないようにします.

(ただし,このことは生徒によって使い分けます.目標点が40点くらいのおそらく文系に進むであろう中学生を対象とするならば,上記のように問題を解かせることを優先して説明に多少のウソをつきます.しかし,テストの点数が90点を安定して取れる,理系に進む生徒には,数学の本質的な話を交えます.聞き手に合わせて教え方を変えるのは大切なことです.トライさんが炎上してしまったのは,聞き手を選べない映像授業でウソをついてしまったから,賢い人に指摘されてしまったんですね.)


③ 視覚的に図示する

説明が上手くなるための最後のポイントが,視覚的に図示するということです.

声のみの説明だと,ほとんど生徒の耳を左から右に通り抜けるような感じで,ほとんど理解してくれないことが多いです.

人は聴覚情報よりも視覚情報を優先して処理します.
よって,視覚的に言いたいことを図解し,ぱっと見で何言っているか7割ぐらいわかることを目指すといいと思います.図がメインで,口頭は補足です.



〈おまけ②〉
僕は,わかりやすく説明することは簡単で,面白く説明することの方が難しいと考えています.
物事を面白く伝えるということは,単にわかりやすく説明することよりも数倍難しく,求められるスキルが全然違うと思います.両方できる人は素晴らしいです.面白く伝えることは,今の僕にも全然できない技術です.

まずはわかりやすく伝えることを追求するとよいと思います.その方が簡単です.
参考になる動画を貼っておきます.「予備校のノリで学ぶ大学の数学・物理」(通称:ヨビノリ)さんのチャンネルのこの動画は,僕が説明の上で意識していることを言語化する上でとても参考になりました.



指導の仕方編

長期的な指導をする上で注意するべきこと

ここまでは,1授業において気を付けるべき心構えや説明のやり方についてお話ししました.ここからは,長期的な指導をする上で注意するべきことについてお話ししていきます.

① 優しすぎてはいけない

一度限り教えるという場合には,優しくて問題はありませんが,長期的に何度も指導するという場合には,優しすぎるのはダメで,適度な緊張感が必要です.

例えば,生徒が宿題を忘れたときなど,
「いや〜,忙しかったんだね,じゃあ仕方ないよ.次からはやってきてね.」っていう感じで対応するのは良くないです.

優しいだけではなく,一定の緊張感を持って指摘する必要があります.

その際,「なぜやってこなかったのか」を追及する(過去に目を向ける)必要はありません.答えとしてでてくるのは「〜〜から.」っていう理由や言い訳しか期待できませんし,それを言われたところで「そんなんだ」みたいな返答しか思いつきません.

では,生徒が忘れたときどうするかというと,「これからどうするか」を約束(未来に目を向ける)します.

  • やってこなかった宿題はどうするのか?

  • どうすれば,宿題をするための時間を捻出できるのか?

  • わからない問題がでてきたときはどうするのか?

などを約束し,再発しないように努めます.

この際,プレッシャーを与えて言うことを聞かせるようなことは絶対にしてはいけません.あくまで,「これからどうするか」を何度も問い続けるんです.生徒の行動は生徒自身に決めさせてください.


② 逆算して計画を立てる

僕が1年目のときの失敗ですが,テスト直前になってもテスト範囲が終わっていなかったり,テスト前日になっても生徒の提出物が終わっていなかったり….結局テストで得点できない…ってことがよくありました.

テストの点数を上げるためには,早めにテスト範囲が完了し,テスト対策に時間を割くことが重要です.

そのために,逆算して計画を立て,それを生徒と共有することが必要です.
具体的には,テストの日程と,それまでの授業の回数をカレンダーを見ながら生徒と一緒に確認します

  • 「テストまであと5回授業があるから,この3回でこれとこれとこれをやって,残りの2回をテスト対策に割こう.」

  • 「提出物は1週間前には1周できるように,そろそろ着手してね.わからない問題があったら○曜日に自習室に来てね.」

  • 「テスト対策の授業でわからないところを説明するから印つけて持ってきて.」

といった具合です.
余裕を持った授業や提出物の早期完了など,授業以外の指導面も講師の仕事です.生徒ひとりひとりに対して進捗を見てあげられるのは集団指導塾にはない,個別指導の強みだと思います.


③ 教務知識を身につける

授業以外の指導面において大切なことが,教務知識を身につけることです.
教務知識を身につけることで,生徒が受験する上での戦略を立てるお手伝いをすることができます.

例えば,中学3年生の公立受験生を指導することを考えます.

ところで,公立入試の得点の算出方法はご存知でしょうか.

大雑把に言うと,
(公立入試の得点)=(試験本番の得点)+(内申点)
求められるものです.

以下は,大阪府の公立高校入試の得点算出のポイントです.

  • 試験本番の得点と内申点の比率は高校ごとに決まっており,I型(7:3),II型(6:4),III型(5:5)など5タイプあります.生徒の志望校はどの型なのかを確認します.

  • 公立入試の試験では,テストのA問題,B問題,C問題が高校によってわかれています.生徒の志望校はどの問題に相当するのかを確認します.それぞれ90点満点です.制限時間は国数英は50分,理社は40分です.(C問題だけ違った気がする.)

  • 内申点の計算方法は,下記です.
    (内申点)=(1年の通知表の点数)+(2年の通知表の点数)+(3年の通知表の点数)
    1年:2年:3年=1:1:3の比率で合計を取ります.

今生徒が内申点を何点持っているかは,通知表から計算することができます.そして,生徒が今持っている内申点がわかれば,合格者平均や合格最低点のデータを見れば,試験本番で何点取れれば安定して合格できるのかを概算することができます

その点数を目標に据えて,科目ごとに目標点を定めたり,取るべき問題,捨てるべき問題を決めるなど,戦略を生徒と一緒に立ててあげましょう.

より詳しいことは,以下のサイトを見てみてください.

高校受験を例にとって説明しましたが,中学受験,大学受験においても,志望校についてや,受験についての教務知識を理解しておくことが重要であると思います.

講師がこういった指導面の知識を蓄えるには,教室長(チーフ)に教えてもらうのがてっとり早いです.チーフから教務知識を教えてもらい,講師からは生徒の普段の様子や苦手なところなどの授業中の様子を教えるようにすると,教室全体として適切な指導をすることができます.情報共有が肝心です.

以下は,過去に僕が作ったスライドの一部です.

指導の上で知っておくべき生徒の情報には,授業面の情報と,指導面の情報の2種類がある.
講師は授業面の情報を,チーフは指導面の情報を多く持っている.
講師の持つ情報は授業面に偏っていることが多い.
チーフは,授業面の情報を集めづらい.
つまり,講師とチーフの情報共有が大事ってコト.

〈おまけ③〉
"良い講師"ってどんな講師だろうって考えてみた時に,最終的に僕は,
「その科目に詳しいこと」が良い講師であるための必要条件だなと思いました.

  • 生徒の学力やわからない箇所に応じて教え方を変えられる.

  • 難しいことを簡単に言い換えて伝えられる.

  • 生徒が抱いた疑問(発展的な疑問を含む)に対して,考え,答えてあげられる.

  • 生徒の勉強に対する好奇心を引き出してあげられる.例え話や,その科目が実際にどのように役に立っているか説明してあげられる.

  • どのように勉強すると成績が伸びるかをアドバイスしてあげられる.

  • 生徒に「私の方ができるじゃん」とナメられない.言っていることに説得力を持たせる.

上記のことを満たすためには,その科目が好きで,詳しくあることが必要です.
ちなみに僕は算数・数学が好きでよく勉強してきました.受験生当時と比べると,僕は今の方が確実に賢いです.
(1年目の僕は,正弦定理すら覚えてなくて,問題の解法として別のやり方で教えることに固執してカスみたいな授業をしたことがあります.)

「こういうふうに教えるとわかりやすい」ということは,その科目に対する理解を深めることで発見できるものだと思っています.
講師もどんどん勉強していく必要があるということです.

(「その科目に詳しいこと」が良い講師であるための必要条件といいましたが,十分条件ではありません.
つまり,良い講師はすべからくその科目に詳しいが,科目に詳しいからといって良い講師であるとは限らないということです.)



まとめ

このnoteでは,僕が6年間の講師経験で身につけたことについて記載しました.

再掲:このnoteの全体像

これらのことは,僕が6年間,本を読んだり,勉強したり,授業をしていく中で,こうしたらより良くなるんじゃないかという仮説を立て,検証し,反省し,次の仮説を立てるというサイクルを繰り返した結果です.(PDCAサイクルといいます.)

こういった,僕が思うあるべき姿を考え,それに向かって仮説検証をしていく姿勢こそが,講師をやっていて一番の収穫だったのかなと感じています.


このnoteが誰かのヒントになれば,僕はめちゃくちゃ嬉しいです.

ここまで読んでくださり,ありがとうございました.


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