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辛いときこそ、居場所を探し続けてほしい。

勇気を出して外に顔を出した時、たまたまグイッと踏まれてしまった。「外の世界は怖い」たった一度踏まれただけなのに、全てがそうだと決めつけた。そんな危険な世界では、現状維持を選ぶしかなくて窮屈だったけれど、踏まれるよりはましだと思っていた。

一歩を踏み出す怖さ


コーチングを受けるようになって気づいたことは、無意識のうちに自分自身を多くの固定概念で縛っているということだった。経験を学びに変えて、「そういうものだ」と色眼鏡をかけて世界を見ている。


「学ぶ」と聞くと、一般的にはポジティブで前向きな印象があるけれど、私はネガティブな意味で捉えていたようだ。色眼鏡は誰しも持っているものだから、特別なことではない。だけど、どの色眼鏡をつけるかはその時々で選んでよいはずなのに、当時はひとつの見方しか存在しないと思っていた。


コーチングを受け始めて半年、一貫してキャリアチェンジについて話している。私のイメージでは、マインドセットに1ヵ月かかるとしても、半年も経てばキャリアチェンジを終えている予定だった。でも現実は全然違った。


半年が経過しても、カジュアル面談をひとつ終えただけ。自分が期待するほどの働きかけができなくて、腰の重さに愕然とした。自身のことを、未知への恐怖心が強いタイプと思っていたものの、まさかここまでだとは私もびっくりである。


私は、転職を大きな壁だと捉えていた。恐怖や不安が常に頭の中を占めていて、未知の世界に踏み出す勇気もなく、自分がだんだん嫌いになる…の繰り返し。「もしかしたら、一歩踏み出すことが怖いと思うようになったきっかけがあるかもしれないね」コーチの言葉に確信を得て、過去に向かうタイムマシンに乗った。


転職は高い壁?


いまから3、4年前のこと。私は未経験職かつ都会で働いてみたくて、初めて転職エージェントとの面談を受けた。

その時に「都会で働くということは、地方にいるときの3倍働いて成果を出さないといけないですよ。未経験で成果を出して、都会で働いて生活していく覚悟がありますか。」と言われた。(しかも、ずっとボールペンをカチカチされながら)


私の職場環境は、地場産業で同世代は全くいなかったし、新規事業ということもあり1人で働かなければならなかった。同じ方向を向いている人が誰もいない寂しさや、すぐに成果に結びつかない状況が辛くて、とにかく逃げ出したかった。仲間とともに同じ目標に向かって働く楽しさを感じたかった。私はただ仲間が欲しかった


しかし、エージェントから提示されたのはバチバチした成果主義の環境。誰かを蹴落とすイメージしか沸いてこなかった。明確なミスマッチ。今でこそそう思えるけれど、当時何も知らなかった私は「そういうものなんだ」と、甘んじて受け入れてしまった。


覚悟もないのに新しい環境で挑戦しようなんておこがましい、なんて思ったりもして。それがきっかけで、『転職は高い壁』だという偏ったテンプレートを信じて、ネガティブに捉えるようになってしまった。はあ、本当にもったいない。


色眼鏡を変えて、背筋を伸ばして


コーチングを受けるなかで、あくまでも転職はマッチングだということ、いま辛い環境にいても他の環境もすべて同じだと思わないこと。そして十分頑張ってきた過去を受け止めることを教えてもらって、いまはもう高い壁だとは思わなくなった。


蝶々が自分の心地よい花へとすいすいっと移動していくように、自分の心に嘘をつかず、ここにいたいと思える場所に辿りつくように飛んでいけばいい。ここじゃないとわかったなら、いつまでも落ち込まずに、縮こまった背中を大きく伸ばしてみよう。


辛いだけで終わらないために一歩一歩。私が信じているものは、本当にそうなのか確かめるために動いてみる。辛い時に本当に必要なのは「世界はそれほど怖い場所じゃない」と知るために、より広い世界を知る努力をすることだと思う。もしかしたら、思っている以上に世界は優しいかもしれないから。