「亡き君へ」

君の手の温もり余は知らぬ
知らぬまま、君逝きぬ
形なき文字と電波の世界のうちで
余と君は繋がりぬ、繋がりぬ

君逝きてのち、君の好みし花思ひ出しぬ
鈴蘭の花言葉、君影草の名初めて知りぬ
気づけども、君の影はこの世にをらぬ
君の顔も、逝きてのちに知りぬ

何も知らぬ余と君なれども
君の心の温もりを余は知りぬ
君の優しき言葉を余は知りぬ
君の遺した嘘を、余は知りぬ
温かい嘘なりき、涙止まらぬ

報せを受けた明けの空、美しき
青空はどこまでも澄む
雲は濃く高く秋の訪いを知らす
夜露も輝きぬ、何事もなく、何事もなく


私の文章を好きだと言ってくれた人。世界一好きな作家を私だと言ってくれた人。最期に優しい嘘をついてくれた人。私の心の支えになってくれた、大好きな人でした。いまはただ安らかに、あの世にて私を待っていてくれますように。さようなら

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