データランナー
伝説のデータランナー、山岸タドルの第一印象はインディアンの大男だった。俺は挨拶もそこそこに奴の車に乗った。伝説と言う割には乗っている車は軽だった。
「あんたと仕事が出来て光栄だぜ」と、俺は言った。
「『Z』を返り討ちにしたって噂はマジか?」
するとタドルは「行くぞ。もたもたしてたらファクトリーのハッカーに気づかれる」と言って車を走らせた。
「あんた、今までどれくらいのデータを運んだんだ?俺はまだ二ギガくらいだが」
「七百ペタ」
タドルが答える。そいつはすげぇ。2000年に国連がインターネットを禁止して、電子データの通信を手紙みたいにやり取りするようになって以来の大記録だ。
そう言うとタドルは「情報の価値は量だけでは決まらないだろう」と返した。
まぁ、確かにそうだ。
「ところであんた、フリーランスなんだって?どうしてシステムを抜けた?」
タドルはそれには答えず
「銃の弾は確認しろ小僧」
と言った。
続く
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