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早く春になってほしい。
時々訪れる束の間のマフラーがいらない昼間の暖かさに春の訪れを感じて嬉しくなるのに、カレンダーはまだ2021年の1枚目だ。
今年の冬は寒すぎる。ひどい末端冷え性のせいで、指先と足が氷みたいに冷たくなるから、ス足の甲が大きく開いているパンプスからストッキングの上に重ね履きした靴下が丸見えというダサダサスタイルで毎日過ごしている。
靴下のチョイスが悪いせいで更にめっちゃダサいけど、寒さには勝てない。

人の弱みにつけ込むという意味で「足元を見る」という慣用句があるけど、それは人の足元を見ればその人の品格や性格が分かるという意味だとも思っている。
ビジネスや高級ブランドショップで、客の品格を見分ける人は、まず相手の靴を見る。
どれほどきちんとしたスーツやドレスを着ていても、靴が汚れていたり壊れていたら、その人の品格はその靴と同等だと思われる。
だからこそ、靴は良い綺麗なものを履きなさいと祖母や母に度々言われてきた。
でもどれほどきちんとした靴を履いていても、この冬にはめちゃくちゃ弱みにつけこまれている。
足元がよわよわのよわだ。

とかいうわたしは、冬生まれだ。しかも生まれた日は大雪。
わたしの生まれたその日、出産の連絡を聞きつけた祖父は、通行止めとひどい渋滞に巻き込まれながら何とか会社から病院に辿り着いたらしい。
名前は性別が分かった時からもう決まっていたらしい。大雪だったから雪にちなんだ名前、では全くなかった。
名前の意味を聞いても、こめられた意味や願いは特に無いらしい。
その代わりに、母は大好きな漢字ふたつを、双子である私たちにそれぞれ一つずつつけた。
最初に生まれてくる子がこっちで、次に生まれてくる子がこっち。
顔を見る前からもうどちらにどの名前をつけるかまで決めていたらしいけど、いざつけてみてもすごくしっくりくるねと母は度々言う。
わたしの名前には「華」という字がついている。
「華」っていう字は横棒ばっかで書きにくいけど、フォルムが豪華な屋根付きの建物みたいで好き。
そしてわたしもこの漢字が好きだから、この漢字を付けてくれた母のネーミングセンス最高!って思うほどに、わたしは自分の名前が好きだけど、
時々、名前負けしてるんじゃないかと思って、
「華やかな人生を送ってほしいとか、そこにいるだけで周りが明るくなるような華みたいな人になって欲しいとかそんな意味があった?」って母に聞いたことがあった。
悪いけど、わたしは暗闇があったら華やかに照らすよりもそこに溶け込みたいタイプだし、めっちゃ地道だけど確実な方を選んで人生を生きてきた。
「いや、別に。願いも意味も特に無いよ。ただ、本当にわたしがその字が好きだったからつけただけ。だから、自分の名前を気に入ってくれてそれがすごく嬉しい。」
その時は、ふーんって思ったけど、今思い返してみると、それこそが名前に込められた願いなんだろうなと思った。
本当に母がそこまで考えたかは置いておいて、深読みしがちなわたしの頭ではそれがしっくりくる。

自分の名前を好きなだけで良い。

上の苗字は結婚したらもしかしたら変わるかもしれないけど、名前だけは自分で変える意思がなければ死ぬまで変わらない。
名前って、人が産まれた瞬間から死ぬまで肌身離さず持っている唯一のものなのかなと思う。
もしわたしに子供が出来たら、わたしもそんな風に名付けたいと思った。
どんな人生を歩もうとその子の自由なように願う代わりに、自分の名前を、そして自分を好きでいて欲しい。

今日から24歳になる。
やっとわたしは本当の自分自身のことが分かってきて、色んなものを好きだと思う気持ちを大切に出来るようになって、そして行動力が生まれてきた。縮こまっていた場所から少しずつ手足を伸ばせるようになってきた。
わたしはこれからどんな風に生きたいんだろう。
好きなことを勉強して、興味のある法律を扱える職場にいて、趣味を極めてひとり時間も満喫する今の生き方も好きだけど、もう3人くらい同時に生きられるクローンわたしがいたら、全然違うことをやってみたい。

1人目は、ダンスをする人になる。
コンテンポラリーダンスとかバレエとかやってみたかった。その辺の道で突然踊り出したい。
時々言葉に出来ない感情でいっぱいになって突然踊り出したい時がある。でも、リズムに乗るセンスがなさすぎてやっぱり無理ってなっちゃうのがもどかしい。
音楽が流れたらただ目をつむって横揺れしてるだけの人生じゃなくて音を身体に纏ってる的な人になってみたい。
古典的だったり民族的なダンスも好きで、日本舞踊やインドの舞踊が好き。
特に中国舞踊が好きで、受験期間中は息抜きに中国舞踊の動画をひたすら見ていた。


2人目は、ギャルになる。
コンビニの前でたまってるヤンキー風とか、格好だけのエセギャルじゃなくてガチのやつ。
己を貫く生粋なギャルの性格がめちゃくちゃ好き。
あと、ゆきぽよが好き。
なんか見ていてハッピーになれる。
わたしも可愛いを追求したり、「え!まじでやばーい!でもどうにかなる!」精神で生きたい。

そして3人目は、旅をする人になる。
とりあえず英語でひととおりの日常会話が出来るようになって、行きたいと思った国に臆せず行きたい。
行った先で、遺産や食文化はもちろんだけど、伝統の楽器とか音楽とか舞踊をこの目で直接見て聞いてみたい。
わたしは今二胡(中国の楽器)の練習をしているけど、モンゴルの「馬頭琴」の音色にも興味があるし、インドの「シタール」も気になっている。それらに実際に触れることなく一生を終えるのはちょっと悔しい気がする。

出来る出来ない何にも考えずにただやってみたかったことを書いていたら、意外と色んなことに興味があるんだなって分かった。
特に色んな音楽や舞踏、美術や古典文化をもっと知りたい。
これから時間をかけて興味の赴くままにゆっくりと勉強したり堪能していこう。

ちなみに今は、中国茶の勉強を始めた。
もともと中国の伝統文化には小さい頃からなぜかものすごく興味があって、家でも手軽に淹れられるティーバッグの中国茶を集め始めたのがきっかけだ。何十種類と種類が多くてそれぞれ効用や香り、風味が全然違う。
形も粉末だけじゃなくて、球根みたいな形をしていたり、熱湯を注ぐとポットの中で花が咲く工芸茶があったりと、すごく面白い。
今年は二胡と中国茶をもっと深く勉強していこうかな。

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