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「真っ白なものは、汚したくなる」なんてよくある意味深げな言葉に頷いて、潜めた欲望を露わに…
浴槽の中で泳がせる指先。 小さな爪にちょんと乗せられた紅いペディキュアが金魚の背びれみた…
情緒のある夜に流される。 唐突にドラマチックに泣いてみたくなって座り込むフローリングの硬…
生温い風に少しだけ湿り気が出てきたら、一刻と夜が迫っている報せだ。 それでも初夏の夕時は…
あいつさ、今度彼女と結婚するらしいよ。 背が高くて面長ですっと切れ長の目をしていて、涼や…
わたし、多分好きだった。 気付くのはいつだって終わってからだ。 パッと目を引かれた綺麗な服…
わたしがコツコツと階段を降りる音にひとつ下の階段の誰かの声が含まれていることを知った。 「子供のときの将来の夢ってなんだった?」 「えっと。わたしは何だっけ。あ!学校の先生だ。学校の先生になりたかったの。小学校の5年生のときの担任の先生が美人で優しくて大好きだったから、わたしもそうなりたいなって思ったの。」 「へぇ。何かそれって素敵だよね。」 「うん。でも、大人になって現実を見るにつれて夢も変わっていっちゃったけどね。」 「ぼくの夢はヒーローになることだったな。」 「ヒーロ
ぼくは罪を犯しました。 今、きみが泣いているのはぼくのせいなのです。 かわいそうに。きみは…
いつのまにか、8月が終わっていた。 まだすぐに汗ばんでしまうほどに暑くてたまらないのに、カ…