MaaS セミナー「マイクロソフトが見据えるMaaSビジネスの現在と未来」
マイクロソフトのMaaS セミナーに参加してきました!
https://microsoft-events.connpass.com/event/156711/
五月雨な記載になってしまいますが、トピックスを記載します。
MaaS の基礎については、こちらをご参照いただければと思います。
「需要の集中」という切り口
交通手段により、時間的・空間的・物理的な制約が存在します。
鉄道の特徴
+「時間的には早い」
+「空間的には多くの人を一度に運べるため需要の集中に強い」
-「時間的には定時運行となり柔軟性が低い」
-「物理的には駅間の移動となり柔軟性が低い」
タクシーの特徴
+「時間的にはいつでも利用可能である」
+「物理的にはどこへでも利用可能である」
-「空間的には台数に限りがあるため需要の集中に弱い」
こうした制約には、「速達性」「定時運行性」「需要集中対応性」「コスト優位性」「その他」などがあります。
MaaS 事業者の区分
MaaS にアプローチする事業者を以下のように区分していたことが、自分には新鮮でした。
MaaS の3つのアプローチ
・都市計画系(公共交通)
・通信系(スマートフォン)
・自動車業界系
日本の交通事業の特徴
日本は交通事業者数が多いです。そのため、連携すべき数が多くなります。
日本の交通事業者数(数値、若干あやしいです……)
・鉄道事業者 : 200
・バス事業者 : 2000
・タクシー事業者: 50000
日本の都市における公共交通の課題
日本の都市における公共交通の課題は、大きく3つあります。
都市における公共交通の課題
①供給量(鉄道の運搬能力)に対して、需要量(移動する人)が多い
遅れが発生すると、極端に供給が不足し、混雑する。
②鉄道の代替輸送機関について、輸送密度が小さい
鉄道が止まると、他の交通機関で補うことが難しく、影響が大きい。
③インバウンドの旅行者に対する需要が増加している
インバウンドの増加により不慣れな移動者が増加し、対応が必要。
日本の地方における公共交通の課題
日本の地方における公共交通の課題は、大きく3つあります。
地方における公共交通の課題
①利用者が減り、サービスが低下し、廃線となる、という負のスパイラルに
対して、自治体における補助金の負担増加
②鉄道から産業集積的な輸送インフラへの変化の必要性
③ドライバーの不足と高齢化
インターネット普及との類似性
インターネットは、「従量制」から「定額制」にシフトしたことにより、Google の各種サービスや、Youtube の映像/音楽配信サービスなどが爆発的に普及しました。
MaaS 普及の動きは、インターネットが普及した際の動きと同じことを期待できるそうです。
つまり、現在、交通機関の利用は「従量制」ですが、「定額制」になることにより、移動に対して料金を気にする必要がなくなります。これにより、居住地(移動の出発点)に対する考え方や、オフィスや商業施設、病院などの目的(移動の到着点)に対する考え方も変化することが想定されます。そして、考え方の変化に応じた新たな商品やサービス、また新たな業態が生まれる可能性があります。
SoMo(SNS x Mobility)
ソーシャル・ライド・シェアリングを実現するサービスとして、「SoMo」(Social Mobility)というスマートフォンのアプリがあります。
SoMo(SNS x Mobility)
★提供企業: オランダのHere Technologies
(自動運転向けのデジタル地図で先行する企業)
★できること:
・経路検索(電車、バス、タクシー、シェア自転車、自家用車などに
よる、目的地までの最適な移動手段を検索する)
・相乗り (自分の移動経路をSNS として共有し、マッチングする人と
相乗りする)
★利用例:
・子どものサッカー教室にて、他の家庭の子どもたちをまとめて
送迎すべく、最適経路、各家庭への到着時間を共有し、ピック
アップする(プライベートな使い方)
・コンサートの帰りに、同じ方面の他人を集め、相乗りする
(パブリックな使い方)
Miles(ポイント x Mobility)
移動によりポイントを付与するサービスとして、「Miles」というスマートフォンのアプリがあります。
Miles(ポイント x Mobility)
★提供企業: アメリカのスタートアップ、Miles
★できること:
・移動手段に応じたポイントの付与
(スマートフォンのバックグランドにて動作し、GPS や
加速度センサーなどにより、移動手段を自動判別する。)
・ポイントにより、商品やクーポンを獲得
(スターバックスの無料チケット、食材宅配サービスの割引券、
マッサージの割引券、映画のチケットなど)
★期待する効果:
・環境にやさしい移動手段や、混雑緩和につながる移動手段に付与する
ポイントは高い。このようなインセンティブにより、クルマに代わる
持続可能な移動手段への行動変容を利用者に促す。
・人々の移動手段、移動経路などの移動データを記録し蓄積している。
蓄積した移動データを政府や自治体、交通事業者などにて活用する
ことにより、公共交通整備や新たなサービスの提供につながる。
・インセンティブ(ポイントの付与)を運賃と切り離している。
これにより、交通事業者との合意形成をしやすくするとともに、
交通事業に限らず幅広い分野とパートナーを組むことができる。
金のつるはし
アメリカのゴールドラッシュ時代に大きな利益を上げたのは、実際に金を採掘した人に限らず、金の採掘に必要なつるはしやジーンズを売った人たちです。
MaaS においても、MaaS そのものだけではなく、多様な「つるはし」にも事業機会が眠っています。
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