心不全の新しい治療薬:ベリキューボ錠
こんばんは。うしくんです。
6月23日に承認された医薬品があったので、そちらから勉強していきたいと思います。
今回は、「ベリキューボ錠」慢性心不全のお薬ですね。
効能効果は、「慢性心不全ただし、慢性心不全の標準的な治療を受けている患者に限る。」となっています。
慢性心不全の患者は、本当に多いです。
高齢者は、心臓の機能が落ちているので誰しもが心不全になってしまう可能性があります。
日本での死因順位の第2位は心疾患ですが、その中でも心不全がもっとも多く約8万人/20万人(心不全で亡くなった人/心疾患で亡くなった人)(2017年の人口動態統計の概況)にもなります。
そんな、心不全の治療薬「ベリキューボ錠」について学んで見ましょう。
この記事でわかること
1.心不全ってなに?
2.ベリキューボってどうやって効くの?
1.心不全ってなに?
心筋梗塞って聞くと心臓が詰まったのかな?ってわかりますが、
心不全って聞くとあんまりイメージがわかないかもしれません。
定義:急性・慢性心不全診療ガイドライン(2021年改訂版)
なんらかの心臓機能障害,すなわち,心臓に器質的および/あるいは機能的異常が生じて心ポンプ機能の代償機転が破綻した結果,呼吸困難・倦怠感や浮腫が出現し,それに伴い運動耐容能が低下する臨床症候群
難しく考えずに、とりあえずは原因は色々あるけど心臓の機能が落ちて、血液を全身に送れなくなった状態ってことを覚えておけばいいと思います。
理由として、心臓の拡大・心臓の筋力の低下・体液量の増加など多岐にわたります。
お薬の副作用によって、心不全になるような場合もありますね。
心不全の症状って?
右なのか左なのかによっても違いますが概ね、動悸や息切れ、呼吸困難、むくみがおこります。
高齢者では、うっ血性心不全(ポンプ機能が加齢で落ち血液を全身に送れないで滞っている状態)が多く、呼吸苦や浮腫んでいる人が多いですね。
2.ベリキューボってどうやって効くの?
心不全が、心臓の機能低下によって血液を送れない状態になってしまった。ということは分かりましたが、
ベリキューボはどのようにして効果を出すのでしょうか?
添付文書
心筋収縮力、血管緊張、心臓リモデリング等の生理機能の調節に関わる環状グアノシン一リン酸(cGMP)を生成する可溶性グアニル酸シクラー(sGC)を、一酸化窒素(NO)非依存的に、またNOを介して刺激し、cGMPの生成を促進する。
知らない言葉で嫌にならずに一個ずつ理解しましょう。
まずは血管拡張のメカニズムについて説明します。
血管は、内膜・中膜(平滑筋)・外膜と3つの膜に覆われています。
その中で、内膜にNO(一酸化窒素)が発生すると、平滑筋の中にあるsGC(可溶性グアニル酸シクラーゼ)が活性化させます。するとsGCは、GTP(グアノシントリリン酸)からcGMP(環状グアノシンモノリン酸)に変化させ平滑筋を弛緩させるように働きます。
単語に馴染みがないので、わかりにくいかもしれませんが、
要は、NOが平滑筋を拡張させる酵素を活性化するよ。ってことです。
酵素を活性化するので、平滑筋は拡張します。
★慢性心不全では、このNOが低下しているという特徴があります。
では、今回のお薬は、どこに効果を出すのかな〜というと
sGC部分ですね。
つまりNOの代わりにsGCを活性化させてあげるわけです。
そうすれば、血管は弛緩しますよね。
cGMPは、他にも心保護作用や収縮機能の改善などにも働きます。
補足;NOを介して刺激し、cGMPの生成を促進ってあるけど、sGCの代わりになるだけじゃないの???
sGCにベリキューボが結合すると、NOとsGCの結合安定性が高まる作用もあるそうです。
なので、ベリキューボは、酵素を動かす作用に加えて、NOを結合するのを支える2つの作用を持っていることになります。
以上、作用機序をベースでのお勉強でした。
実際には、どのような患者に適しているのか、高齢者での効果がどのくらいなのかなど市販後調査に期待です。
病態の勉強をするときにまた、詳しくターゲットをどこにするかについて勉強したいですね。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?