31「詩」雨の朝
雨の朝
流れてきたテレビのニュース
猫が塗料に使う毒液に落ちて逃げました。
毒液に触れると皮膚炎を起こします。
猫に触れないでください。
猫は喉が渇いて水を飲みたかったんだろうか
水だと思って飲もうとしたんだろうね
毒液に落ちて必死にがんばって這い上がったんだ
濡れた身体を舐める
口や身体が爛れてくる
理由も分からない痛みに苦しむ
可哀想などとそんな言葉では言い表せない
理不尽さに
立ち尽くしてしまう
猫は死んでいると思われます。
触れないでください。
ニュースは続く
そんなことできないよ
自分の手がただれたって
毒液を取り除いてあげたいよ
助からないかもしれないけれど
それでも助けるよ
死んでいると思われる
なんて簡単に言うな
怒りにも似た気持ちが湧き上がる
なすすべもないことなのに
見知らぬ土地の遠くの出来事なのに
朝から泣いてばかりいる
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