149「詩」秋の光の中で
早朝親友からLineが届く
今日は98歳の伯父が召されてお葬式です
雲が波立ち
穏やかな引き潮になっている
雲の上には
地上を青く染めながら空が広がる
高く高く
空は天国にまで続いている
雲が波立つ音が
聞こえる
その下で
思い出されることのない悲しみが
口を閉ざしている
音の雫が
一滴
悲しみに
落ちる
思い出したくない悲しみたちは
雫にほんの少し溶けて
昇華していく
昇華して
雲の引き潮にのり
そして
空の高みへ
天国に続く空間を
昇っていく
生きていた人たち
すべての悲しみたちが
昇っていく
またLineが届く
94歳になる母を連れてお別れしてきます
秋の光の中で
また会える日まで
お別れの言葉を伝えておいで
と返事を送る
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