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59「詩」夕焼け

暑さは身体の細胞の中まで熟れた果実のように
ねっとりと歪ませていた

夏になると水の箱買いが極端に増える
山積みになった段ボールを下ろし
パックヤードから客の元に運ぶ
繰り返し繰り返し

仕事を終える
くたくただ
話すのも億劫になっている

空を見上げる
夕焼けの色が粒子になって放射状に降っている
私の肩に降ってきた粒子を
片手で受け止めると
やわらかい

よく見ると秋の粒子が混じっている

歪んでいた細胞をねぎらうように
秋の粒子が
手のひらから落ちた

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