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49「詩」紫陽花

紫陽花の花びらは
誰かの言葉に揺れるたびに
色を変える
時間をさかのぼって
記憶から引き出された言葉が
雨のひとつぶひとつぶに溶けて
紫陽花の根元に降り注がれる朝
湿った大地に生きている無数の生きものたちが
大きく伸びをし口いっぱいの雨で
息づく夜明けの
瑠璃色からゆっくり赤みを増していく空
の欠片をいとおしみながら
一瞬一瞬の色を身体に
塗り込め
紫陽花がなみだのように咲いている

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