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109「詩」恋する

恋するなどということは
とっくに捨てました
そんな恥ずかしいことは
ずっと昔に捨てました

今は思い出したくもないのです
固く重い蓋をして
閉じ込めたまま
長い長い月日が経ちました

恋した人
いますよ そりゃ わたしにだって
どれもこれも思い出したくない
深い傷になりました

素敵な思い出なんかじゃありません
恋の歌は聞きたくありません
深い傷がうずきだす
いつだってそう

その代わり
恋の心が入っていた空間に
違うものが入っているのに
気づきました

恋より
もっと柔らかく
もっと奥深く
果てしなく大きなもの

わたしを離れて
わたしとは違う人の心が
しなやかに あたたかく しあわせにと
祈りのように願うもの

それさえあれば
どんな暗闇でも歩いて行けそうなもの
その先に光があるに違いないもの
そんなものに気づきました

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