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子どもの現代的健康課題について考えてみた

社会の急激な変化は、こどもたちの心身の健康状態にも深刻な影響を与えています。学習塾や習い事などで多忙な生活を送ることによる生活習慣の変化、いじめや不登校などメンタルヘルスの問題の深刻化、携帯電話やインターネットに依存しがちな子の増加、ボディ・イメージのゆがみなど、多様化、深刻化するこどもたちの心身の健康課題を解決するため、学校ではこどもたちの実態に即した様々な支援が求められています。

 学校の中で、養護教諭は心身の健康に関する専門知識をもち、健康診断や健康観察などの保健管理的な活動を通して、集団的・個人的な健康課題を把握しています。また、保健室では実際の健康課題を前に、健康教育を行っています。養護教諭がその特性を生かして健康管理・健康教育やメンタルヘルスの問題への支援を実践することで、こどもたちが直面する健康課題の解決の支援につなげるととも、自分の成長に期待をもたせ、健康で生活することの重要性に気付かせることができるといえるでしょう。

 こどもたちの健康課題を解決するため、様々な学びを取り入れています。一つは行動科学の考え方を生かした健康教育への取り組みです。行動科学はアメリカの心理学者スキナーが起こした学問です。行動科学は心理学の一種ですが、行動を基準にして物事を見ると言う、他の心理学にはない特質をもちます。「なぜいまあるような方法で行動するのか」「どのようにして習慣を身に付けるのか、また失うのか」これが行動科学のテーマです。健康によい行動をとるために、どのようなアプローチを行うことができるのかと考えていきます。

 次に、心理学を生かした取り組みです。こどもたちの心身の健康ニーズは、個別のケースにかかわること(学習・進路、プレッシャー・緊張、対人関係、恋愛)に加えて、多くのこどもたちがもつ基礎的な健康ニーズ、発達のニーズに応じて提案する必要があります。そこで、定期的にスクールカウンセラーや養護教諭が中心となり、こどもたちや先生方へ、心理学の学習会を行い、自らの健康について、主体的に学ぶ姿勢を育成するものです。心理学に関する知識やスキルの伝達といったことを促進することで、日常へ柔軟に健康教育を取り入れていきます。

 平成20年度に改正された学校保健安全法では、こどもの心身の健康課題を解決するため、養護教諭を中心に、関係教職員が連携して行う保健指導が法律に位置付けられました。もとより養護教諭には、教科保健や学級活動の授業のみではなく、個別の保健指導、保健管理、健康相談など様々な側面から児童を支援できるという特性があります。多様化・複雑化するこどもたちの心身の健康課題を解決し、よりよく健康に生活しようとする態度を育むため、養護教諭の特性を生かして行う健康管理、健康教育の在り方について、改めて検討していきたいものです。

 「自分の健康を管理する力」を身に付けるために、「健康」ってどんなこと?これからの健康のために、目標をたてること、自分の食物アレルギーについて理解すること、学校だけではなく、家庭でも、地域でも、こうした意識をもって、健康教育への取り組みを進めて欲しいと思っています。

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