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3/19 ラストレクイエム『絶望の輪舞曲』プレイレポ

最近は自分の周りでラストレクイエム率が上がっている。
こういう定着の条件としては何よりも卓仲間に受け入れてもらえるか、っていうのがあるが、加えていかに普段GMしているメンバーが自らGMをやるに至るか、っていうのがある。
旧版天下繚乱ではそれをクリアするのが凄く難しかった印象だが、新版になってプレイ率が上がったのは周りのGM率だったと思うからね。

さて、そんな前フリをしつつ、今回のGMは猫屋敷さん。ラストレクイエム初GMである。なんとまあ、おれが公式シナリオを順繰りに遊んでいる間に残るメインGMが相次いでオリジナルシナリオを遊ばせてくれるとは!

定着への道は熱意で舗装されている、なんてね。

さて、そんな猫屋敷GMのラスレクデビューシナリオは昭和のロマンホラーを思わせる恐るべきレムレスとの対決を描いたものだ。少しばかり公序良俗に反する部分もあるかもしれないが、これを読んでいる諸兄はすでにご承知のとおり、この物語はフィクションです、というやつだ。

プリプレイ

今回のハンドアウトは3種、どれもソロプレイ用のハンドアウトだ。いつものことながら、プリプレイからセッションは始まっている、の格言を地で行く色々な組み立てが既に始まっていたのが印象的だった。今回はそこも少し文章を割いて書いてみたい。

PC①:強羅 神爾(ごうら・しんじ)

PLはMOO。ファフナー/パンドラ/クランという仲間内では3人めのファフナー(アームズに次いで多い。ゴシックでは独走中)。3人作ったおれのPCの中では初の人間の要素がない純血のゴシックである。

1954年に生み出された新世代のパンドラ族。遡ること10年前にネオの生み出した世界を滅ぼし得る根源の力によって、不可逆なほどに変質してしまった竜の財宝を核として生み出された造られし竜である。
ゴシックとしての姿は、鱗とも思えぬ黒き岩をまとい、秀でた背びれと尾を特徴とする竜人である。その背びれは「根源たる破滅の力」をまとって青白く輝く。
プロトタイプは、その根源たる破滅の力への恐怖から逃れるためにレムレスに堕した狂気の科学者と戦い、相打ちとなった。東京を火の海に変えたその戦いは、神祇庁による記憶操作も十分に及ばず、同様のモチーフの映画の公開によって曖昧な物語として記憶に残される処置がとられたという。

残された財宝を使って新たに造られた最新世代である神爾は、作り主たるファフナーの命を受けて始まりの地、東京へと送られた。
造り主たる古きファフナーからの命令はただ「好きにせよ」。
それでも、与えられた本能として「過ぎたる力により他者を虐げる者を止める」性質を持つ(因縁:使命、決意:反抗)彼は、結果的に人々の守り手となった(願望:守りし者)。そして、今、最も止めるべき者――レムレスを止めるために、レイヴンともなったのだ。
造り主の真意を測りかねるファフナー族の間を転々としながら、彼は今日も夜を彷徨い、暴力を灼く。

「俺は……"暴力を灼く者"だ……!」
いわゆる寡黙で誤解されやすいけど誰かを守ることをためらわない系ヒーロー。人の常識に疎く、ズレたところがある。

キャラクターシートの紹介文より

といった塩梅で、内外でも知名度の高いあの怪獣王をモチーフにしたキャラクターである(パンドラ入りだけどメカのほうじゃないからね)。歴史の真実とは逆に科学者がレムレスだったところとか、単純に人を守りたい、というタイプの守護者ではなく、「暴力を押し留めようとする本能」が結果的に守護者たらしめている、というズレとかをやってみたくてデザインした。
(まぁ、『メタリックガーディアン』のアウトレイジ級でも怪獣を作ったりしていたので、定期的に遊びたくなる題材なのだが)

そうだね、あとは『コンクリート・レボルティオ』。あのアニメを見ていなかったら人の身に概念としてゴジラを落とし込む着想は得られなかったと思う。ちょっとハイコンテクストな作品だが、オススメ。

今回のハンドアウトでは、そんな暴力を止める性質も相まって、郵便局強盗から被害者を守るために割って入ったヒロインを助けるところからの導入。そんな彼女が、母親のことが心配だ、という流れで協力することになる流れだ。「母親……よく分からないな」なんていう無感動系ボケをカマしながらも、色々と人の感情の機微に敏感なヒロインに気に入られ、悩みごとの相談を聞くに至った。

PC②:鬼頭 赤願(きとう・あかね)

PLはクリスくん。スタイルはアームズ/モノケロス/デイリーライフ。女子高生ながら、モノケロス=鬼の膂力を持って戦うパワーファイター。一度火がつくと自らの傷も省みぬ狂戦士のごとき闘志に囚われてしまう。

キャラクターとしてのデビューは前回のセッション『ヴァルハラ襲撃!? 魔獣型レムレスを倒せ!』で既に果たしていたという新人レイヴン。
プレイレポでは割愛していたけど、あのセッションのミドル戦闘はクラスメイトを守るために現地で聖痕を刻み、魔獣型レムレスとその操る使役獣に戦いを挑んだんだけど、戦いの中で体内のゴシックの血が暴走した彼女を、PCたちが取り押さえる(彼女は一度火がつくと自らの傷も省みぬ狂戦士のごとき闘志に囚われてしまうのだ!)というものだった。

GMのPCとしてスタイル的に当たりどころが悪ければ即死というところを生き延びることができた彼女は、晴れてPCとして生まれることができたわけだ。セッション中は明かされなかったとは言え、GMがPCとして使おうと思っているPCと殴り合うのは中々肝が冷える思いだった。

まぁ、そんな彼女は現地での特例的なレイヴン任用から数ヶ月の訓練期間を経て正式にレイヴンとなった――が、今回のハンドアウトでは(一般的な「ラスレク」のシナリオにあるような)ヴァルハラからの討滅依頼ではなく、通っていてお世話になっている喫茶店の店主(このやり取りも良かった)の悩みに答えるというもの。
この店主こそが、PC①のヒロインの母親、ということでシナリオの構造的にはダブルヒロインということになる。

新人キャラクター、というところを前面に押し出し、更には初陣前に正式な依頼ではない形で人助け。彼女を主役にした長いキャンペーンのマイルストーンをひとつひとつ築いていく丁寧なプレイングだ。

一歩間違えればデビュー前にトゥームストーンになっていたことをおれは忘れないだろう。

PC③:我上 陰(がじょう・かげり)

PLは名前出しNG。アームズ/オルフェウス/サーヴァント。表の顔は夜の街のホスト。しかしてその実態は、アヴァロンへと旅立った王の帰還を待つためにオルフェウスへと転化を果たした円卓の騎士・ガウェイン!

我上 陰がうぇ いん

ということだ! 同時に、太陽が登る間は無双とまで言われたその力は、ゴシックたるオルフェウスへの転化に際して失われた。もはや我が頭上に太陽は輝かず、陰があるのみ、というダブルミーニングなのだ!

ゴジラなネーミングをしといてなんだけど、このゲームは異能使い(※)じゃない。

※異能使い:PCに自身の能力になぞらえた名前をつけているとボーナスが得られる「真名システム」なるものがありました

PLさんの設定によりかつてのブリテンへの侵略者たちにもレムレスたちがおり、長く眠りにつき目覚めた我上はいつか戻ってくる王のために少しでも良い世の中を作るためにヴァルハラに協力している。

データ的には某FG○を思わせるゴリラ。ゴジラとコラボだね!
初期で秘技5レベル、10点成長で絶技取得、全てダメージに費やす勢い。聖剣の力を宿した〈手刀〉から放たれる全力のダメージは絵札使用で[外]45点。
ガーデンオーダーか! ダメージチャートは21までしかないんやぞ!?

……という圧倒的アタッカー。個人的にはここまでブッ飛んだ演出をカマすと神業との区別がつきにくくなるレベルである。

ハンドアウトでは公式NPC・島田徳次郎の営むBARにて、敵討ちの依頼を受けるというもの。これもヴァルハラを経由せず、店の古い馴染みの無念を代わって晴らしてほしいというハードボイルドな荒事師枠である。

……そう。
猫屋敷GMはラスレク初GMにしてレムレス討滅依頼という基本ルートを踏襲しないシナリオを繰り出してきたのだ!
この敵討ちのハンドアウトが特にそうなんだが、かなりN◎VAとかナイトメアを遊んでいる雰囲気だった。

コネクション周り

PC間コネクションはPC①→②→③→①…というスタンダードなもの。ハンドアウト取得からセッションまでの間、Discordのサーバ上で色々とすり合わせをしてくのがおれたちの流儀だが、その中でもPC間コネクションは大事な”お題”になる。

最初に動いたのは鬼頭@クリスだった。我上とのコネクションとして「新人研修時代に、その騎士然とした立ち居振る舞いに『尊敬』というもの。自身の新米っぷりを先輩レイヴンとの関係性で強調する狙いだ。

次は強羅@MOOから鬼頭へ。鬼頭が先輩との関係性を作っているのを見た上で、ラスレクではあまり想定されていないやり方だが「初見での第一印象」というコネクションをにすることに。暴走したら狂戦士のように戦う自身の危険性を押し留め、関わった人のために尽力するその姿を好ましく思うという『親近感』を取得。今回はハンドアウトで母子それぞれに関わるので初見であっても支障はない、という判断。

最後に我上から強羅へ。こちらも既に関わりがあったという流れではなく、初見の印象という形でのコネクションを選択。円卓時代から竜…ファフナー族とは何かと関わりがあったということで『興味』というコネクション。明確な意図とかははあまり明言しないタイプのプレイヤーだが、ファフナー族全体に対する興味から目を向けてみれば新しい時代の作られた竜、ということにしっかりとリアクションを取ってくれた。普通じゃない存在に対してまずは上辺だけの部分で興味を持つ、からの興味を持ってみたら面白いんじゃねーの、ってパターンは初見でのドラマとしては教科書に載りそうな立ち回り。上手いなぁ。

ついでにここで追記しておくと、今回おれのPC、強羅は両サイドに対して初見のコネクションということになった。万が一の保険としてGMは、情報項目に「PC②がその情報を追っている」といった合流を促すための仕込みがしてあったのがお見事。

ハンドアウトとの関係

そう言えばこのゲーム、ハンドアウトとの「コネクション」を結んだりはしない。あくまで「関連項目」ということで、ここには個人名の他に組織名なんかが入ってもいい。ハンドアウト取得時に自動的に取得されるキーワードみたいなものだ。
幼馴染の彼女を謎の怪物から助けた、というハンドアウトの関連項目が幼馴染だったとして、そこに関係性をしっかり作りたい場合には、ハンドアウトで「関係:庇護」のような指定をすることなしに当事者間でしっかり話をしてすり合わせましょうね、っていうことだと思う。
(公式シナリオの中には、コネクション表で関係を決めておくと良い、みたいなサジェスチョンもある。それでもあくまで、「庇護」のような指定をするものではなく双方のすり合わせということだ)

ここでも見事に動いたのは鬼頭とヒロイン母との関係だ。
GMからの提案もあり「家を空けがちの鬼頭の両親が時々面倒をお願いしていた」ということで、ヒロイン母の喫茶店には放課後よく顔を出して、夕飯をごちそうになったりと、かなり親しい間柄を構築していた。
シナリオ終盤でレイヴンとなっていることがバレてしまって「いつから?」って聞かれる流れもあったんだが、これも考えてみたら「鬼頭赤願キャンペーン」のマイルストーン回収だよな。

メインプレイ

拾い出しの感想などなど。

合流までのユルい展開

今回はヴァルハラから離れた導入ということもあり、全員が新規作成のキャラクター。導入となるオープニングは、各キャラクターの人格を引き出すために、それぞれのNPCと話す尺を十分に取ってくれていた。
事前にハンドアウトとの関係性をしっかり構築していたり、公式NPCだったりで、各PCの顔見せ+NPCとの関わり方まで十分に描けてたんじゃないかと思う。

そうやって各自のOPでキャラ性を演出した上で情報収集につなげ、自分以外のキャラクターの関与に気づいた上で、次のシーンから合流に…というのは教科書どおりの展開だ。
GMがそれを助けるために、相互のコネの薄さも考慮して与える情報の中に「この件は〇〇が追いかけているようだ」みたいな情報を混ぜていた、というのはさっきも書いたとおり。

強羅のOP


強羅@MOOの感想としては、無口系キャラクターとしてテキストチャットの方に「(うなずきながら聞いてる)」とかを駆使しながらのやり取りになった。「ん」っていう無声音がマイクだとわかりにくいし、なんだったらうなずきながら聞くのはオフセだと実際にやって対応できたりするので、この辺の「聞いてますアピール」は大事だよな。

郵便局強盗にとらわれる形になったヒロイン!という状況で
おれ「GM、ここでヒロインに刃を振るおうとしてくれませんかね?
という振りからのナイフの刃を素手キャッチ

人外演出としては悪くない…と自画自賛なのだが、よく考えてみたら強羅の装甲値はスタートアップに鱗(のような黒い外皮)を纏うことで強化されるので、いまいちデータとの整合性は無かったな。まぁ人外演出のそれっぽさで押し切った、というところか。

強羅・鬼頭の合流

それぞれが情報を得た上で、いきなり一堂に会する画面がやかましくなる。
標語レベルの立ち回りだが、今回はこんなところにも気を回し、合流は順番に行っていくことにした(ただしプレイ時間が伸びたりの影響は出るので使い所もある)

ヒロインのお願いで、その母親の身辺を探る怪しい男の痕跡を探る強羅と、同じくヒロイン母からストーカー?についての相談を受けた鬼頭。この取り合わせなら、TRPGerの7割くらいは、男性PCが誤解を受ける展開を演出するだろう。そうなった。
ネコに目掛けて聞き込みをかける強羅(これも悪ノリというか人外演出)と「まさかあなたがストーカー?」と声をかける鬼頭。
こういう状況を作った上で、PC間のコネクションによって「何だお前か」ってなるのが一般的な落とし所だ。初見コネだとそうはいかない(推奨されざる所以でもあろう)

今回はヒロイン-ヒロイン母がそれぞれお互いのコネクション。「知り合いの知り合いルート」で合流を果たすことに。
鬼頭「もしかしてヒロインちゃんのボーイフレンド?」
強羅「(男性の…友人か)ああ」

みたいな誤解を生みつつ、ヒロイン母の営む喫茶店(鬼頭にとっては昔から通い慣れた場所だ)に向かうことに(これで『フルメタル・パニック』の相良宗介みたいなやつだ、という話をもらった)

そしてそこで見たものは……。

我上の合流

ヒロイン母に向かって跪き、花などを手渡しつつ
我上「やはり貴方には人を惑わす魅力がある」(ストーカー被害のことを知っていたら言えないセリフである)

などと、ここでもストーカー疑惑に繋がりかねない行いをする円卓の騎士。

流石にここでまで「初見コネクション」を広げていたら大変なことになっていただろうが、ここはPC間コネクションを生かして鬼頭ちゃんが「なにやってるんですかーー!」とツッコミ入れて事なきを得る。

その後の情報共有でもヒロイン母と遠ざけるつもりなのか、喫茶店のボックス席で強羅と我上の大柄男子ふたりが片側のボックス席に押し込められたりのコミカルな絵面が面白いシーンになった(でも考えてみたらJKな鬼頭ちゃん含めて3人なら自然な配置か)

いつの間にここまで深く…?という転換点

まずはストーカー?の正体を追わねば、ということで被害者であるヒロイン母にも話を聞いてみたところ、ストーカーと思しき人物は我上の敵討ち依頼の亡くなった側。
ストーカーを最後に確認したのと、敵討ちの相手が殺されたのがだいたい同じ時期という事がわかり

強羅「解決したな(全然解決してない)」なんて話が飛び出たところで、窓の外に動く影。追うPCたち。

そして追っていった先のビル解体現場で、自動人形の群れに取り囲まれるPCたち。このミドル戦闘も、追跡の判定の成否でペナルティが生じるなどゲーム的にニクいところを突いてきて大満足だったのだが。

戦闘が終わった後に残された血染めの手記から、とんでもない真実が明らかにされる。
この、追跡劇からの襲撃、そして真実が明らかになるまでの一連の流れで一気にラストレクイエム感というか、日常パートからの落差みたいなものを感じてPLは内心で総毛立つ思いだった。ホラーの文脈。

15禁くらいの真相

ホラーを感じたのは血染めの手記に記されていた真相だった。
書いたのは我上が敵討ちを頼まれていたルーシッドという男。彼は敵の黒幕に記憶を操作され、最近になって(黒幕の覚醒に呼応して)事態を「思い出し」たのだった。

彼が黒幕に記憶を操作される前、守ろうとして戦ったのはヒロイン母のそのまた母親。恐るべきレムレスたる邪竜は、母親を殺しその娘を孕ませ記憶を奪い、更にその娘が母となり、娘が15になったときに記憶を戻し、娘を孕ませ母を喰らい娘の記憶を奪い……という恐るべきサイクルを繰り返していたのだ(タイトル回収というわけだちくしょう)。

正直ドン引くレベルの身の毛もよだつ邪悪。見出しの通り15禁くらいの展開である。オープニングで仲良く話していた母子にもその運命が迫ることもそうだけどだったらこの母子の関係は――!?って昭和のロマンホラー感まで漂ってくる始末。
ちょっと前までボックス席で小さくなっていたあの日常感が見事に瓦解していく。この感覚はなかなか味わえない(そうホイホイと味わいたくない)。

GMのファインプレイ

このファインプレイはあわやエラー!っていうのを回収した系のリアクションの妙味なので、仕込みと言うより瞬発力と機転に重きを置いたもの。
手記の中にある固有名詞(黒幕の名前)に対する情報収集を優先して「黒幕」って何者だー!なんてひどいやつだー!ってな方に意識が集中してしまい、手記の記述への対応がおろそかになっていた状況。
手記を読まないと、肝心の情報に出てくる邪竜の邪悪なるサイクルの犠牲者=ヒロイン母子っていう部分が見えてこないから、おれなんかはきっとそこが最後に明かされるんだろう的な発言をしてたしね笑

そこでGM「スマンがちょっと手洗い休憩を挟ませて」と水を入れた。

再開後に、血染めの手記の内容が整理された文章が開示されてきたわけだが、GM、実は休憩中にテキストを追加していたのである。

水を入れて情報を整理しやすくするだけでもファインプレーだが、そこに整理用のテキストをしっかり用意してくるのも素晴らしい。

手記本文には、ヒロインの母を守ろうとして敗れた男が、次の悲劇を防ごうとしてヒロイン母に近づいた(そしてそれがストーカーの疑惑になった)ことまで記されていた。なるほどそれが伝わってなかったら焦るよな。

ということでPLへのディスインフォメーションへの対応として、言葉ではなく文章で説明したほうが良いという判断からの休憩提案の素晴らしさ。
ぶっちゃけて「手記の方読んでもらわんと分からんのよそこ」って言うのも正しいことなんだけど、「PLの早とちり」みたいな形にせずに、整理した情報という形で伝えるところにGMの優しさを見た気がする。

こんな邪悪なラスボスが楽勝なわけがない

PCのゴリラっぷりときたら

強羅:20+カードの外敵ダメージ!
鬼頭:[差分値]+14+カードの外的ダメージ!
我上:35+カードの外的ダメージ!

というデストロイヤーな面々。ダメージ軽減特技を持ってるのは強羅のみ、鬼頭ちゃんなんてバーサーカーっぷりをアピールするのに〈†呼吸〉まで取ってカウンターの構え。

こうなれば「当たったら消し飛ぶ高機動戦闘、カードの切れ目が命の切れ目」みたいな戦闘デザインにしてくると思いきや。

鬼頭「あぁぁぁぁッ!」…〈†闘神〉〈†一刀両断〉!ダメージは[外]の28点!!とかカマしたら

GM「外の装甲21点。ダメージは7点ね
…オンラインじゃなかったらPL一同、顔を見合わせるレベルだった。

GM「腕に傷を受け動きが鈍ったよ。でも敵はまさか自身の装甲を貫いてくるとは思っていなかったようで痛みに咆哮を上げる」と演出は結構いい感じだったのがまたニクい。

それならば、とこちらも最大火力で応じようとするわけで…
我上「これが失われた聖剣の輝き!」ダメージは45点!

と、切り札ルールまで使って理論値最大ダメージを叩き出したところに

GM「〈†黄金の鱗〉で17点軽減。ダメージはやっぱり7

オラワクワクしてきたぞ!
N◎VA系列とか言いつつこの圧倒的数値交換!
これがラストレクイエムの戦闘か!
ダメージチャートは21までしかないんだぞとか言ってごめんなさい!

なんとか2ラウンド目、GM側の手札枚数が少なくなったところに防御特技を使わせ、Aを切ってダメージギリギリ10を狙うことで後は神業による撃破(痛みに慣れてない設定をふんだんに活かし、飛び交う《断罪の一撃》、《修羅の如く》をことごとく悲鳴を上げながら逃げ惑いつつ神業で防ぎ(畏怖を与えたり恐怖を与えるのが経験点条件だものね)、最後は我上の太陽の聖剣の力で討滅されるに至った。

いやはや、起死回生の切り札と思ってた新兵器が怪獣に全然効かなかったときのあの絶望感を覚えたよ。怪獣モデルのPCやってた身としてはクヤシイw

エピタフとの連携

そうそう、いい加減長くなったけど今回のシナリオのキレイだったところ。

このゲームではPLに対するメタ情報(PCはなんとなく気配でそれを察するようなイメージ)で、最後に戦うレムレスが所有する神業を伏せられたカードをオープンする形で知ることができ、これにより相手のスタイルとかが分かったりする。これをエピタフと呼び、PCの行動の成否(情報収集の成功が一般的)や実際に神業を使用することによって明らかになっていく、というゲームギミックになる。

今回は戦いに敗れた男の記憶を奪い…とか孕ませた娘の記憶を奪い…といった情報が明らかになるタイミングに紐付けで、精神操作に長けたゴシック種族「ナイトメア」のカードがオープンになるあたりはPCの納得とPLの納得が上手くリンクしていい感じだった。

そしてエンディング

我上はバーに敵討ちの報告に向かい、「わが王が戻ってくるこの地を少しでも平和なものに」と決意を新たにし、戦いの中で目にした黒い肌の竜人のあり方に思いを馳せ(興味コネの回収である。曰くアーサーも竜要素とか)。

鬼頭は蘇った惨劇の記憶とともに生きていく決意をした母親をこれからも支えていくとともに、同席していた強羅に「初陣の仲間が強羅さんたちで良かった」という新米ムーブで見事に締め。

そして強羅は、ヒロインを脅かす暴力は去った、と彼女の前から去るシーンでのエンディング……をやると言ってるのに袖にすがりつくヒロイン!(彼女はナイトメアの影響が強いんだってさ!)
こう、物分りがいいばかりじゃないのも魅力的だよね!
そして「いつ戻ってきてもいいからね!」なんて強がる彼女の言に、そういえば同族たちの元を転々とするだけで帰るところなんて無かったな……と、海に帰るゴジラのように振り返ることなく去りながら思う強羅くんだった。


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