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6/18 ラストレクイエム『Art of Madness』プレイレポ

『ラストレクイエム』12セッション目、GM6回目はGF誌掲載のシナリオである。ここまで6回のGMはすべて公式シナリオなんだから、公式の供給はありがたい。

例によって、公式シナリオなのでネタバレ部分の感想は後半にまとめて書いておくので、通過済みの人やGM予定の人以外は閲覧に注意してほしい。

0.PCの話をする前に

▼BGM!

前回の『狼の刻』に引き続き、フリー音源をお借りしてシーンのBGMを流してみた。Discordってほんとに便利。前回はツールに不慣れだったこともあって不手際の方が目立ったが、そこから色々と練習してみてPLの気が散る要素を少しだけ減らした結果、セッション後に「良かった!」って言ってもらえた。

しかしまぁ、いわゆる「■描写」ごとにフリー音源を探していたんだけど、この世界の奥の深さに軽くめまいがする思い。なんで「探偵 事務所」とかでワラワラ出てくるんだろうねマジで。

はるか以前に、MDが出た頃にアニメやゲームのサントラを使ってBGMを使ってGMをしていた頃もあったんだけど、あんまり反応が良くなくて「労多くして益少なし」としばらく遠ざかっていた。……が、今回の反応でちょっと調子に乗ってしまったおれであった。またやろう。

▼キーワード

結構昔から、今回予告とハンドアウトをPLたちに開示するときに、追加情報を流している。

・テーマ
→大まかなシナリオの雰囲気だったり、シリアス系とかネタ系とかハクスラ系とか、ジャンルの話を書いている。うっかり予告とかがポエムすぎたりすることがあるから、その予防線としてGMの口調でしっかり書くのが目的。
最近特に注意書きとして多い書きっぷりとしては、「HOのモチベに従って進むとビターエンドになります」みたいな書き方かな。別にモチベに従って進むなって話ではないんで、心構えみたいなものなんだけど。

・登場NPC
これはうちの環境でNPCのイラストをPLに外注していることから派生した文化。
ハンドアウトで示唆されているNPCについての注釈を別記している。HOで渡されるヒロインの来歴なんかを別に書いておくというわけだ。

で、このところここに更に1つ加えているのが「キーワード」。これもテーマと同じく予告とハンドアウトの分解ネタなんだけどね。

今回のシナリオだと「アート(特に絵画)」
普通にPCを作った上ではあんまりPCとアートの関係について設定する人もそう多くはない(昔は「PCに100の質問」みたいなものもあったものじゃが)。そんな中で、シナリオの重要キーワードについてのスタンスを予め決めておいてもらう、というシカケだ。

アートについてのスタンスを決めておいても、実際に卓で出会うアートがその通りに出てくるかどうかは分からないけど、「こんなものは自分の思っているアートと違う!」っていうセリフを活かすためにも、「自分のアート感」というのを先に出しておいてもらおうという狙い。今回はかなりうまくハマったと思っている。

1.プリプレイ

▼HO①/PC①:巫女神 太陽

PC①は探偵枠。『月夜の晩餐』(おれが参加してない回)『しあわせの真帆路町』、『ミラクル巨星』(note未掲載)と、公式シナリオの探偵枠を総ナメにしているPC、巫女神太陽(ナイトメア/メディック、ディテクティブ)だ。経験点を消費して「夢」にまつわる特技を一気に押さえ、先祖返りながらかなり強力なナイトメアへと成長しつつある。人のオドを感情の形で捕食しているところとか、並み居るPCの中で最も人間離れした&ゴシックらしいPCと言える。

面白かったやり取りと言えば、「謎が解けた喜びの感情を食うってことは、キミに依頼したら達成感が損なわれるってことじゃないか」「人に手伝ってもらったら達成感は損なわれるものだろう?」と悪びれないところ。ステキ。でも程々にね!

今回のHOはかなりラスレクらしさが出たHO。
「関連項目:捜索対象」ということで、探偵の依頼として人探しを請け負うというもの。

これまでのゲームのように「コネクション:〇〇」ではなく、「関連項目:〇〇」として渡されることによって、探偵キャラの捜索対象と事前に知り合いだったりしておく必要がない、という点。このゲームが(基本的には)レムレス討滅をテーマにしたシンプルな遊び方を基礎としている部分の1つだと思っている。

ということで今回は母親から連絡の取れない娘の捜索依頼を受ける導入(ここまではWEB公開HOだからセーフ)。今回はじめてバディとなった、同じくHO①枠のPC④を「ワトソン君」などと呼びながらの探偵ムーブはさすが複数のレムレス事件を解決に導いた探偵、といったところ。

▼HO①/PC④:雁来 美華

ということでそんなワトソン君なPCは16歳(自己紹介の途中に17歳になったんだっけ?)の女の子・雁来 美華(かりき・みか)だ。
PLは坂崎さん。今回が初登場のPCである。他のシステムでも時々作成している「敵を討つことを教えられ、育てられてきた少女」の類型(いわゆるチルドレン枠とかね)に連なるPCで、今回は陰陽師の家系という設定だ。

陰陽師、ではあるんだがスタイルは「イノセンス/メディック、クレリック」。陰陽師成分はステータススタイルの方であり、あくまで精神に働きかける技術としての陰陽術を操る、というのが彼女のパワーソースだ。

このゲームのイノセンスはあくまで戦闘補助のサポーターの呼び名ではあるんだが、某『ブレカナ』のアングルスのような純粋さ(少女としてのそれと同居するレムレスへの容赦なさ)として現れている。
なんせ、支援系のスタイルを重ねていながらも精神攻撃はそれなりの火力も出せるし、秘技を重ねたコンボは「戦闘不能を回復させてそのままメインプロセスを取らせる」という、「立て、そして戦え」な必殺技。

とりあえず、そんな苛烈ガールに育ちかけているのをなんとか引き戻そうとする数少ない肉親(引き戻そうと行動している者が少ないという意味)、兄の手によって、ヴァルハラのレイヴンとしてだけでなく、都内の高校に通うことにもなり、社会勉強として探偵・巫女神の助手も務めるようになった。

いいのかその探偵依頼人を見て(その悩みの深さや純粋さに)舌なめずりするような男だぞ。

▼HO②/PC②:天乃御 シエル

HO②枠は『ラスレク』のスタンダードオブスタンダード。レムレスの活動を示す呪素が原宿で感知されたため、ヴァルハラからレムレスの発見と討滅を依頼される、という枠。少なくとも基本ルールブック範囲でPCを作って、このHOに参加できないPCはおるまい、という盤石っぷりだ。

PC②は今回デビューの2人め、天乃御 シエル(あまのみ・~)。PLはクリスくん。ルシファー族のクラン「天界」からヴァルハラに派遣されており、戦闘装束はまさに戦いの天使もかくやの絢爛なもの。
ヴァルハラのカヴァー組織、「ファンタジックフィルム」からデビューしているアイドルとしての姿を持ち、レムレスとの戦いをごまかすためのダミー番組では戦うヒロイン「機動天使セラフィエル」を演じている…ということでスタイルは「ルシファー/アームズ、タレント」だ。

そんな彼女だが「天界」仕込みの至ってローフルな性格の持ち主。今回は荒っぽい相方のPC③狼谷に「もう!」って怒りながらのやり取りが至るところに。スタイルのタレントに引っ張られがちだったが、しっかりとした「天使」としての立ち位置に、おれは懐かしの『真・女神転生』で東京タワーにいた広告塔のメシア教徒(正体:天使)を思い出したりしていた。

いやまぁ、代表作はあくまで「機動天使セラフィエル」なんだけどね。

おれが狼谷とバディを組んだ時は「内向的で、基本的に狼谷のような人物とは相容れないんだけど、その破天荒さから目を離せない」みたいなおとなしい少女PCを使ったんだけど、シエルの方はしっかりとツッコミを入れるタイプ。
荒々しい戦士系PCと組ませるとおいしい枠を次々と埋めていかれているあたりも、狼谷のキャラクターとしての定着っぷりだと思う。

▼HO②/PC③:狼谷 燎

PC③の担当は猫屋敷さん。エントリーしたPCは、直近では『狼の刻』にも出演していたヴァルハラの武闘派エージェント、狼谷 燎(かみや・りょう)だ。「アームズ/ベルセルク、エージェント」なスタイルは伊達じゃない。破槍ゲイボルグを携た彼の必殺の一撃は経験点30点消費によってさらなる磨きがかかる。ステータススタイルのエージェントも含め、現在のおれたちの『ラスレク』箱庭の中で文句なしのトップエージェントである。
(火力だけなら何人か居るんだが、ホストだったり学生だったりでエージェント感が足りないんだよね)

今回は初登場となるPC②に対し、すっかり定着した感のあるPCとしていい感じの掛け合いを見せてくれていたのはPC②天乃御の項でもだいぶ書いた通り。安定したやり取りと言えば、PCたちに討滅依頼をもってくる埋葬局局長・稲生光希ともフランクに話す姿がかなり板についていて、そういう立ち位置も結構好きなキャラ。

解説が他のPCより少なめなのも定着してきたからだと思ってほしい。

▼みんなの「アート」

ここで、先に出していた今回のテーマ「アート」に対する各PLの見解を。

・PC①:御子神の場合
アートに関しては知識はある。 内容に関しては、金額や世間の評価より、そこから感じ取れる情念を汲み取り、独自に評価してる感じ。

人の精神をオドの形で得るナイトメア族らしさに溢れる答え。おれたちが美味そうな料理写真を見るような感覚だろうか?w

・PC③:狼谷の場合
興味がない物が殆ど(絵画はここに含まれる)。武器防具等、戦闘に関わりが有ったものなら見物くらいはするかも。うん、あれだな……小学生みたいだなw

こちらは予め門外漢宣言。「興味がない」という旗振りのままセッションを進める(これも造形の深いPCとのいい対比になる)か、それとも今回のセッションで興味を覚えることになるか。「知らない」宣言は結構可能性に溢れている。

・PC②:シエルの場合
宗教美術は多分そこそこ身近なものだったでしょうから、造詣は多少あるし、身近なものによる安心感みたいなものがある感じ。

こちらは造詣ありな旗振りに、自分の出自の設定を絡めた宣言。普段のセッションでも、判定によらない「知ってることにする/しない」の機会が巡ってきたら、こんな感じに過去設定に絡めたりするよな。

・PC④:雁来の場合
アートについては「観ることで伝えるもの」、との認識持ってます。地獄絵図とか見て言葉だけでは伝わらないものを伝える、っていう

こちらも自身の陰陽師設定からの地獄絵図の例え。実際、ビジュアルってのは圧倒的な情報量を持っているものだし、使う言語すら超えたものものあるからね。この辺が魔術に依らない陰陽術使いから出てくるのは面白い。

2.メインプレイ(ネタバレなし)

▼光る事前準備

今回のセッション、PC③シエルとPC④雁来がともに今回がデビュー戦となるわけだが、とりわけ光っていたのは、二人共が神業の演出をしっかりと準備してきたこと。

PC③シエルの方はまさに天使の裁きの如き演出での《断罪の刃》。『ラストレクイエム』だと神業の経験点獲得には一定の条件を満たす必要があり、《断罪の刃》の場合は「畏怖を与える」なのだが、まさに畏怖を覚える美しさ、というわけである。演出面でそう思わせる流れなのは強いねぇ。

PC④雁来の方は、陰陽師の呪文のカンペを作ってきて披露していた(これは特技に至るまで準備していた。スゴい!)。確実にスポットライトが当たる神業だからこそ、こういったセリフの長回しもしやすいという利点がある。

▼大喜利になる経験点ルール

そんなPC④雁来は、アート関係の情報収集ということで、クレリックのステータス神業《説得》を用いて情報収集の自動成功という効果を得た。
本来、演出等はしない情報収集シーンだが、神業使用ということでシーン開始(特に経験点ルールが有るため、ひっそりと使うよりは何らかのリアクションが分かるほうが良い)。

PC④雁来さんが演出用に登場させたのはルールブックのパーソナリティズより"サムP”こと東十条修。なるほどメディア関係ということで、アート関連の情報を得ようとしたわけだ。サムPからは「キミもアイドルにならないか?」みたいなことを言われながらも、真摯な《説得》によって情報を得るに至る雁来。

しかし……「どうやって平穏をもたらそうかね」と困る一同。

教訓:抱え落ちしないために神業を使うのは分かるんだけど、経験点条件を満たすビジョンが無かったらそれは抱え落ちじゃなくて投げ捨てである。

どうにかこうにか、PC④雁来さんが陰陽術の修行一辺倒になっていることを心配している兄、がいる設定をGMが思い出し、サムPとのやり取りが終わってシーン閉じる時に兄貴(後ろ姿)が「そうか…美華はスカウトには応じなかったんだな…」と胸をなで下ろすシーンをカットイン。

真摯な《説得》じゃなかったら口説き落とされてたかもね!

という、もはや大喜利的なノリでなんとか条件パス。
やり過ぎ注意ではあるが、こういうところからお話が拡がることもあるし、個人的にはこの大喜利も『ラスレク』の魅力の1つだと思ってる。

3.メインプレイ(ネタバレあり)

例によって1ページほど余白を入れるので、後の閲覧は計画的に。


















▼依頼人:母へのアレコレ

HO1チームの依頼人は行方不明になった娘の母親。シナリオ情報によれば「失踪の翌日に探偵に依頼」ということで、「早!」ってな感想が出ていた。
そんな中PLから「日娘のところに上京する予定なのに連絡が取れないからなおさら心配だったんだよ!」というフォロー。TRPGのこういうところがたまらなく好きだ。

一方で、調査を引き受けてもらって、例を言って去る母親。ホテルを取っているのでそこに泊まる、という彼女の言に「合鍵を渡されていて娘の部屋に泊まる、という程ではない関係性か……」と思わせぶりな探偵・巫女神。
そこにGMから「そこ掘り返しても何も出ません、彼女は単なる導入のための依頼人です」というフォロー。TRPGのこういうところがたまらなく好きだ。

▼まさかの合流事故

引き金の1つは、HO①チームとHO②チームとの橋渡しとなるPC間コネクションである。

ルールブックにも「基本的に友好なコネクションを結ぼうね」と書かれてあったり、基本的に全PC登場を前提に考えているゲームだったり(登場「しない」宣言で進むのだ)、このPCの合流についてはセッション進行のしやすさには注意を払われているものだ。

しかし今回、そんなHO①チームとHO②チームの橋渡しとなるコネの1つ、PC①巫女神からPC②シエルに向けてのコネが「反発」となっていた。いわゆる優等生キャラクターに対しては自然な感じではあるのだが……。これが思わぬ展開の引き金を引くことになる。

「探偵が依頼人のことをベラベラ喋るのはなぁ」
と、合流時に目的をしっかり告げず。結果的に行方不明人のマンション探索はHOごとに別々のチームが別々に行う結果に。
いやはや、令和にもなってまさかの合流事故である。だがしかし、ちょっとしたボタンの掛け違いが重なればたやすく引き起こされることを改めて痛感したものである。

ま、クールダウンを置いて事なきを得たり、その後のケアについては令和らしさを感じたものだったけどね。

しかし、PC間コネクションって、PCの設定強化のために「この二人ならこういう関係になるだろう」っていう結び方がある一方、「せっかくスポットライトが当たるコネクションなんだから、"ワンオブゼム”じゃない特別な関係が良いよね」っていう結び方もある。一長一短ではあるんだが、この辺はPCのストーリーへの関与度合い(いわゆるPC番号)とかも絡み合う話になりそうだな。今度ちょっと考えてみようか。

▼それぞれの「アート」

今回のボスキャラは、アートに魅せられ、その才能も持ちながら魔術師としての生まれのために、それを捨てざるを得ないという状況を覆すためにレムレスとなり、他人からオドを奪うことでさらなる画才を手に入れる力を得てなお、レムレスであるがゆえに決して満たされる事はなく。結果として次々と人々からオドを奪っている……という状況にあった。

シナリオ的には、描いている犠牲者の絵は確かに強い才能を感じさせるが、どれも苦悶に満ちた恐怖感を思わせる……というものだった。そのため、多くのPCから「そんなものは芸術じゃない!」と言われるに至った。

巫女神の宣告は特に苛烈だった。「苦悶の感情こそが素晴らしいものなのに、それを模写してみせるだけとは片腹痛い」……いやはやナイトメアにしてみたら料理の絵を書いて料理は手を付けない、みたいなもんだもんな。

激高するボスをさらなる精神攻撃で煽りながら(GM:バックの取り合いはしたくないので怒りの声を上げて攻撃を仕掛けます)、最期はそんな巫女神の《胡蝶の夢》にて討滅されたわけだが……。

巫女神「そいつの一番大切にしている記憶を見せる!(経験点:夢を見せる)」
GM「それでは、魔術師である父親がなにかの気の迷いで連れて行った少年の日の美術館の記憶が浮かんでくる。全てはこの時の彼の心に芽生えたほのかな気持ちから始まったのだ(どアドリブ)。キミはその記憶を抱かせたまま覚めない夢に落とすこともできるし、奪い去って倒すこともできる」

巫女神「奪い去る!」

GM「消えていく――消えていくぅああああ!」

ということで、見事に討滅は果たされた。

わけだが。
絵を志しながら、魔術師として変えられないレールとの狭間に苦しんだ魔術師がアートを否定されて消えていくのはなんともやるせない。

個人的な分析だが、「苦悶の表情の恐ろしい絵」だったのがボタンの掛け違いだったんじゃないかなー。犠牲者がいて、実際に手をかけ、そして恐ろしいものとしてそれを絵にする。

「どこか畏怖すら覚える、生きているような美しい絵」を展示しておいて、地下のアトリエではオドを奪われて無惨なミイラと化して立っている犠牲者と同じポーズで、イーゼルには同様に「生きているような美しい絵」が掛かっている……の方が良かったのかも。事前にアートに対する想いを聞いていただけに、苦悶する犠牲者の絵、では「許せねえ悪党!」っていう方向に行くのが自然だものな。

このシナリオを再演するときには、ぜひともやってみたいアレンジだ。

▼それでも拾う者

芸術家が、それでも持ち続けていた魔術師の家系を表すリング。灰になって消えた彼の遺体からそれを拾い上げたのはPC③狼谷。

「俺にはアートは分からないが……アンタのそれはアートだったんじゃねえのか」

と言って、《偽装工作》とともに指輪を握りつぶし、小片はその灰の中に煌めきながら散っていく……という演出。

PLのスゴいところは事前に「あれはアートじゃない、と言っていたPLをディスるつもりはない」と宣言した上での立ち回りだったところ。

そして、《偽装工作》により、あくまで画家は病死として扱われ、犠牲者たちにもそれぞれのカバーストーリーが用意されることとなった。

結果として、「謎の死を遂げた画家の遺作」は残され、その才能を感じさせながら人を不安にさせるような絵柄は、その画家の死のミステリーとともに一定の評価がされている……というGMのエンディング説明にPLは言ってのけた。「そんな風になればと思って絵のことは隠さなかったんだよね」

まんまと手の上で転がされた気持ちより、バトンをキレイに受け取れた気持ちの方が勝っていたものだ。あのときはお互いに、PLの持っているメタなエピソードの方を向いていたのかもしれない(これはあまりにもローカルなネタだな)。

▼GMの失敗談

先に書いておくが、PLは「セッションを楽しんだ」の経験点にチェックを入れているので、ここからの話はGMがうっかりしていた、という話であって「セッションを楽しめなかった」というたぐいの失敗談ではない。

よりPCたちのマインドセットをうまくやるために、出来ていたかもしれない選択肢を論じるところだ。

おれは今回のシナリオを『ラスレク』最初のGF誌シナリオにふさわしい、『ラスレク』らしいレムレス討滅シナリオだとPLにも伝えていた。どちらかというとファーストシナリオ『月夜の晩餐』とかのようにね。

ところが蓋を開けてみれば、才能と血筋との天秤の末に強行に走ったという「かわいそうな〇〇」枠(〇〇にはジャームとか殺戮者を入れよう!)。
その点で言えば、「かわいそうなレムレス」に寄り過ぎないために「苦悶の絵」があった気もする。

このあたりの咀嚼が不十分で、冒頭のマインドセットとして「気持ちよくレムレスを倒す」ノリになりそうなところ、セッションの方では「かわいそうなレムレス」感をむしろ増幅させる方向にハンドルを切ってしまった、というのが今回の失敗の顛末である。

ま、『月夜の晩餐』にしても寿命の短いベルセルクの方にウエイトを置けば、それなりに考えさせられるシナリオにはなったんだから、この辺はシナリオのミズモノの部分だな。

*          *

と、いうわけで最後に反省ネタをぶっこんだりしてるからこんなに遅くなるんだよ、というほぼひと月前のセッションレポでした。
教訓はシナリオテーマを貫くこと。もしこのシナリオをこれから遊ぶGMが読者にいたら、ぜひそのあたりに気をつけて遊んでみてほしい。

それでは、良いセッションを。

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