クソデカプリンキピア

  なんてタイトルだ。

 アイザック・ニュートンは言わずもがなの天才科学者ですが、彼の、物理学史的にも人類史的にもとっても重要な名著「プリンキピア」に目を通した方は案外少ないんじゃないかと思います。

 『プリンキピア』(正式名称:Philosophiae Naturalis Principia Mathematica。つまり自然哲学の数学的諸原理。クソ長いな!!)は、ニュートンさんの物理研究の集大成。その後加筆修正され、第三版まで出ています。

 「物理」と聞くと、学生時代に習った「運動の3法則」的な何かが思い浮かぶでしょうが、

 その「慣性の法則」「ニュートンの運動方程式(F=ma)」「作用反作用の法則」なんかが載っている本です。

 あとは有名な「万有引力の法則」。リンゴが地球に引かれるように、月も地球に引かれる、って感じで説明されるアレです。リンゴおいしいよね。

 あと地球は楕円軌道を描くとか、なんか色々あるんですけど長くなると人が引いていくのでやめておきます。

<とにかく本文に入りたい方は、ここからクソデカ見出し文字までスクロールしてビュンと飛んで下さい。>

 この『プリンキピア』、機会があればぜひ一回開いてみてください。

 全然、数式も、数学でよく見る記号も出てきません。私が大好きなシグマ記号(Σ。理由は、かわいいから)なんて顔も見せてくれません。

 それもそのはず、彼は最初から最後まで図を用いて、まるとか三角とか四角とかでごちゃごちゃやって証明しているからです。

( 読んで居るだけでも、あの相似の証明だとかに煩わされた学生時代の想い出が甦ってくるようです。)

 いわゆる「微分」の考え方も、図形的に窺うことができて面白いので、ぜひ。

 とりあえず、数式が一切出てこないので、文系の方でもきっと読みやすいはずです!そう、最初は文字の多さにびっくりすると思います。読める、読めるぞ…!という気になれるはずです。数字に拒否反応起こす方にも優しい設計。いいぞ。

 内容としてはそんなに難しくはありません。部分にもよりますが。

この本は、「第一編 物体の運動について」

 「第二篇 物体の運動について(抵抗のある媒質中における)」

 「第三篇 世界体系について」

から成っているので、手っ取り早く彼の面白い記述をみたい方は「第三篇」から見るといいです。多分三篇が一番面白いです。みんな大好き宇宙のことを言っているので。万有引力の法則的なのも載ってます。

 逆に言うと、二篇はひたすら数学の証明みたいな図ばっかり並んできついと思います。普通の高等教育を受けた方ならこの辺は飛ばしても差し支えないでしょうし、無理に読むことはありません。時間があれば、…って感じ。

 ためしに一篇の最ッ初の方を見ますと、ひたすらに「定義」を述べまくっているので「へ~ん」って感じで言っている事自体はなんとなくわかった気になれます。超失礼な例えをしますと、オタクの友人に、創作の世界観をめちゃめちゃ頭ごなしに話されている感じです。楽しいっちゃ楽しい。

 あの「絶対時間」「絶対空間」の話も一番最初に出てくるので興味があればぜひ。このネーミング、人類が好きなやつじゃん…(クソデカ主語)



 でもやっぱり、読む気を起こしてくれない限りは誰も読んでくれないと思うので、分かりやすく、時流に乗るのが苦手な私が、あえて誠意を込めて「クソデカ構文」でプリンキピアのあらすじをさらおうと思います。

 (クソデカの定義がよくわかりませんが、とりあえずハチャメチャに馬鹿々々しくおかしく修飾すればいい、と解釈しました。)

 その前に、この「プリンキピア」発刊に寄せて、エドモンド・ハリー(ニュートンに「プリンキピア」を書いてよ~って頼んだ張本人。資金面とか、ニュートンのやる気を持続させる面とか、いろんな面で貢献した。彼がいなかったら『プリンキピア』は世に出なかったかもしれない。)が載せた詩が、ほかでもないクソデカ構文、みなが恐れ入るあらんばかりの語彙力を振り翳した真のクソデカ文(いえ、それくらいニュートンは偉大なのですが)なので、ちょっとだけ引用したいと思います。オタク顔負けです。

「偉才 アイザック・ニュートン氏のその数学‐物理学的業績 われらの時代と民族の栄誉(ほまれ)に」という早速デカい前置きと共に、

見給え
この大空の姿を
この巨大な質量の玄妙な平衡(つりあい)
また最高神(ユピテル)のその計算を
そして事物開元の時
万物を創成し給うた創造主(かみ)も侵されず
永劫の御業の基礎を固めた諸法則をだ
……ここについに知ったのだ、
……なぜ結節者(しき)は 還って来るのか
なぜ増大者(とき)は 前進(ゆ)くのかが

↑河辺六男他『世界の名著 26ニュートン』中央公論社、1971を参考に、多少表記を簡単にした。「……」は中略を表します。

 …ちょっと何言ってるか分かんないけど、

とりあえずすげーーーな!!!っていうハリー氏の賞讃がうかがえます。とにかく、すごい本です。現代語訳すると、尊い、に尽きるんですかね。わかりません。

 このクソデカ頌歌に気圧される事なく、まあ有名どころの記述をさらっていこうと思います。

 …と、本文に入る前に、著者(ニュートン)による序文があります。読者への序文です。つまりニュートン氏が私たちに向かって書いてくれた文です。うれしいですね(?)。

 ですがこれは特にクソデカにする必要も、最低限の教養として絶対に読まねばならないという訳でもないので飛ばします。ごめんね。手に取った時は読んでみてください。



クソデカプリンキピア (自然哲学における数学的クソデカ諸原理)

注:本当に知りたい方は原文をお読みください。これは手っ取り早く適当に名著の概要をさらいたい怠けた人向けに正確さを犠牲にしているものです。

公理、または運動の法則

法則1 すべてのあらゆる皇帝もブルドーザーもマイケルも、物体は、その微塵も微動だにしないぴったり止まった状態を、またはエターナル直線ブリザード上の、永遠に同じ速さでエキサイティング運動する状態を、外からのクソデカ大爆発によって状態をバビュン!と変えられない限り、そのままクソ永遠に続ける。

馬鹿力でアホみたいに東京ドーム五億個分遠くに投げられた物体は、空気の抵抗によってナンパされず、重力によって下方へ両手投げされない限り、その運動をクソ永遠に続ける。

無限に魂を込めて分割された各部分がもいちどゴギュン!と全員集合することによって物体の微小部分自体をずっと直線運動から引きもどしている孤独に揺れる楽しい大天才神の遊具(コマ)は、空気によって「嬢ちゃん、こっちで遊ぼうぜ」されない限り、クソデカバニッシュウルトラ回転することを永遠にやめない。でけえ惑星とか東京タワー九億塔分の彗星とかいった滅茶苦茶ばりなまらばか大きな物体は、抵抗のクソ小さな空間中で、前進運動もミラクルクルクル円運動もさらにめっちゃクソ長~~~い京都銀行的な時間続く。

法則2 運動の変化は、物体に及ぼされるオーイ!動けや!という力に応じてクソデカくなり、そのオーイ!動けや!力がドガシャン!と思い切り及ぼされるエターナル直線ブリザードの方向にサライをBGMにして行われる。

あるヤベェ力があるヤベェ運動を生み出すとすると、2倍の力は2倍の運動を、231432864倍の力は231432864倍の運動を、全部いっぺんにパシャーン!とブチかまされようが、順次に引き続いてベシ!ベシ!とかまされようが関係なく生☆誕する。

そしてこの運動は、物体がその前からノリノリで一直線に一週間に700万kg痩せる運動をしていたとすると、そのクソデカ運動と同じ向きに力が加えられるなら速さがクソ加速され、逆の向きなら速さはしょんぼり減速し、クソ半端な斜めの角度から加えられるなら斜めに力が大合体していい感じに中和される。

法則3 作用に対して反作用は、俺が死んでも永遠に常にお互い向きに関しては霄壤の差的に逆向きでピッタリ等しいデカさ。ていうか、二つの物体のお互いの作用はマジで永遠にいつも等しいデカさで、アホみたいにぴったり反対の向きに働く。

他のものをガンプッシュしたり引いたりするものは神羅万象なんでもかんでも、ドッペルゲンガーかお前ら?出会った瞬間対消滅?(概念)と言いたいくらいぴったり同じ大きさだけそのものによってプッシュされたりひかれたりする。つまりお前がいいねするとき、同じ大きさでそいつからいいねを逆向きに食らっている。

綱に縛り付けられた石(なんでこんなことやってんの?っていう質問は極刑。)をクッソイケメンの馬が引くときは、クッソイケメンの馬もまた石の方に引きもどされて石のパねェ手ごたえを感じる。なぜなら、真ん中にいる憐れな綱は、引っ張られただけゆるまろうとするんで、石を馬の方向に、馬を石の方向に引き合せちゃうんで、まあそんな感じになる。

あるクソデカ物体(東京ドーム5000兆個分)が他の物体(すなわち死)にビギャァアアアン!!と衝突し、そのクソデカ力で他の物体(すなわち死)の運動を変えようとすると、そのクソデカ物体もまた自分自身のクソデカ運動において逆向きの同じ大きさのクソデカ変化を受けてしまうだろう。これらのクソデカ作用による変化は、速度ではなくレモン50億個分くらいの運動量のクソデカ変化において等しい。もちろんそれらの物体がその他の村人Cによって妨げられない場合に、である。正反対の向きに起こるクソデカ速度の変化は、運動量がクッソそっくりおんなじような感じに変わるんで、各パネェ物体(神of神代の産物)のデカい質量に逆比例するから。


これがクソデカ三大物理法則です。デカいですね。

クソデカさながらに、壮大に想像力を駆使しながらお読み頂けたことかと思います。

意外と長いんですよね。私の体力はクッッソヘボいので、もう終わります。次回はあの万有引力の法則(F=GMm/r^2)の一部をクソデカプリンキピアにしてご紹介します。具体的な数字は多分みんなクソデカでも嫌だと思うので、適宜いい感じに省略します。とりあえず流れをお楽しみ下さい。とりあえず今は結論部分だけ適当にまとめたものを下に掲げます(微妙なんでお急ぎの方は読み飛ばして下さい)。


命題8.定理8 たがいに重力で引き合う二つのピッカピカにまんまるい虹色のクソ謎いデザインの球体、名前をそれぞれジョナサンとマッカートニーとする。この物質が、ありとあらゆる方向においてそれぞれの球の中心から同じ距離のとこではおんなじ感じ(とりあえず普通にいいかんじの偏りがない球体だと思ってくれキャシー。)だとすると、マッカートニーに対するジョナサンの質量は、それらの(中心間の)距離の2乗に逆比例するだろう。

ところで俺は、ありとあらゆる惑星全体のミラクル重力が、それぞれを構成する部分の無限に多くの重力をねるねるねるねして合成したものであるのか?ということや、個々の部分は各部分からの距離の2乗に逆比例(一方がクソデカくなると、他方がクソ小さくなる関係。)することが分かった後も、果たして、さっき言ったような多くの力から超ねるねるねるねパーパッパラーン合成したクソデカ力にも逆2乗的なものがマジきっかり精密に一分の狂いもなく成り立つものか、それとも事実はクソ適当でニュアンスだけ合ってればまあ良し安いバイト代で雇った模試採点学生の正誤基準のように大体そんな感じになるだけで精密には成り立たないのか、超疑いを持っていた。なぜなら、十分にあべのハルカス九億個分大きな距離では正確に成り立つこの関係も、惑星のスレッスレ表面のクソ近くでは、各部分の距離がカッシャーン!!とは同じじゃなくて、位置も相似(おま俺状態)じゃないんで月とスッポンに違ってくることがワンチャンありえる的マーヴェラスチャンスis existからだ。けど結局、これが等しいことをこの俺がパワポでプレゼンしたった。それは第一篇の命題75,76で示した通りってわけ。



私が横着してドチャクソ過程を飛ばし過ぎたので意味が分かりませんね。やっぱりこれに関してはもう一章を新しく作って順を追います。めんどくさくならないように気を付けます。

 ところで、同じく『プリンキピア』内に収録されている「哲学における推理の規則」の一部を見てみましょう。(これは原文の意のまま)


規則1.自然の事物の原因としては、それらの諸現象を真にかつ十分に説明するもの以外のものを認めるべきではない。

……すなわち、自然は何ごとをも軽々しくは行わない、またより少なくてすむときに、より多いのは無駄である。なぜならば、自然は単純を喜び、余計な原因で飾りたてることを好まないからである、と。


なるほど。単純な説明を好むのですね。余計な装飾は以てのほか。


つまり、クソデカの否定です。なんてこった。

天才は四百年後の愚人の思考も先に制しておくようです。





 こんなオチになりましたが、ニュートンもプリンキピアも個人的には普通に好きです。高校時代にまともに『プリンシピア(中野猿人さん訳)』(緑っぽいハードカバーで、クソ分厚い)に触れ、他に借りる人が居ないのをいいことに半年以上借りていました(念のため言いますが、わざとではないです。そう簡単に読み切れないんです本当に…。例の第二篇は特に、幾何学より代数学のが好きだったので余計にヒ・・・みたいな顔をして読んでおりました。日本語の解説(中野氏の)が本当に有難かった)。青春だ。

 もし読んでみようというのなら、もし手に入るなら中野さん訳をお勧め致します。理由は解説がクソ丁寧で横書きだからです。現代物理学の経過(といっても、ニュートンの時代からして、という意味でして、今となっては昔の時点での「現代物理」ですね)を踏まえての一歩踏み込んだ解説ですから余計に分かり易いことと思います(相対論との関係等ちょろっと)。

 私が手にしたのは結構分厚いやつ(5、6cm…?)でしたが、調べたところ、新しいもっと手に入れやすい版が出たのですね。それは篇ごとに出ていて三冊あるみたい。2019年!最近。もう私が見たやつは絶版になっちゃったのかな。図書館にはあるんじゃないかな。分かりませんが…。

 ちょっと財力(すべての根源)が無いので、中野さんの分厚い邦訳は家に置けるわけもなく、ですがプリンキピアくらいちょっと参照できる位置に置いておきたい…と思って、数年前にフリマアプリで偶然見つけた「世界の名著」シリーズのプリンキピア(河辺さんの、上に文献として挙げたもの。)を700円くらい?で落札しました。

 ですが、それは一般人にとっては読み辛いったらありゃしないと思います。現代人、死す!!って感じです。内容自体に興味がある人はまだ大丈夫かと思いますが、そもそも縦書きだし、見づらいですし、漢語にラテン語のカタカナルビを振ったりして見た目がえげつないオタクの造語みたいになっています(それはそれで面白いんで良いんですけど(?))。そして言葉遣いが古めかしいですね流石に。現代語ではあるのですが…。あと縦書きに相当な頻度でアルファベットが横向きに打たれていると謎に読み辛いんですよね…。

 ということでクソデカ文章に目を当てて下さっているような現代人の方々には合わないと思うので、横書きの方を御勧め致します。新しい方をおすすめします。新しいやつほどやっぱりレイアウトも現代人好みに改編されたりするので。河辺さんのやつは古かったのもあって気付く範囲でも誤植がありましたので…。

 長くなりましたが、ここで一旦失礼致します。

 ちょっとでも、なんかニュートンの著作を読む気になったりしてくれたら嬉しいな~~~なんて思っています。原作()も壮大な話をしているので、いわば高品質なクソデカ、でしょう。

 クソデカ偉人によるクソデカ著書。それは数学といっても必ずしも無機質な文ではなく、彼の哲学や世界観が滲み出ているので、人間性を感じ、案外心に響くところがあるかもしれません。


参照…『世界の名著26 ニュートン』中「自然哲学の数学的諸原理」河辺六男ほか訳、中央公論社、1971
「哲学における推理の規則」などの引用……『プリンシピア―自然哲学の数学的原理 』中野猿人訳、講談社、1977 から

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