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16 ゲバラの幻影【プーノ編】 「しあわせの花束とゲバラを探して——南米大陸縦断の旅」|北澤豊雄

 キューバ革命の指導者チェ・ゲバラが、23歳のときに旅立った南米大陸縦断の旅。のちに『モーターサイクル・ダイアリーズ』という書籍で広く知られるようになったその旅は、多くの若者たちに影響を与えた。日本でも「いつかはゲバラと同じ旅路を辿ってみたい」と夢見ていたひとりの男がいた。北澤豊雄、職業ノンフィクションライター。機は熟し、いままさにその男の思いが実現しようとしている。そして北澤は、この旅にもうひとつの夢の実現を加えた。最良の伴侶を見つけることである。ゲバラの青春の軌跡をたどりながら、プロポーズの花束を贈る女性に巡り合う、果たしてこの奇妙な組み合わせの夢は叶うのか。北澤の南米大陸縦断の旅がはじまった。


体調不良と寒さで元気出ず
急いで高地の町にサヨウナラ

 チリとの国境のタクナから標高3,800メートルのプーノまでの道のりはバスで7時間ほどだがそこはアンデス山脈の大動脈だった。窓越しに乾燥した山肌などを見ながら連綿と続くアンデスの山塊をいくつも越えていく。車内に異臭が立ちこめたのは子供の嘔吐物のせいだった。10歳ぐらいの女の子が青い顔をしながらビニール袋を握りしめていた。


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2023年3月15日(水)発売!花嫁とゲバラを探して 〜南米婚活紀行


北澤豊雄
1978年長野市生まれ。コロンビア留学などを経てノンフィクションライター。著書に、コロンビア・パナマ国境の無法地帯を旅した『ダリエン地峡決死行』、国家破綻寸前のベネズエラを取材した『混迷の国ベネズエラ潜入記』(いずれも産業編集センター)。

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