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日本全国写真紀行

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取材で訪れた、日本全国津々浦々の心にしみる風景を紹介します。ページの都合上、書籍では使用できなかった写真も掲載。 日本の原風景に出会う旅をお楽しみいただけます。
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【日本全国写真紀行】46 長崎県長崎市茂木

長崎県長崎市茂木 通称「長崎の奥座敷」、 美味い魚と「びわ」が自慢ののどかな港町「茂木」という地名は、古くは「裳着」と記されていた。その昔、神功皇后が三韓征伐の際、この浦に船を入れ、上陸して裳(衣の下袴)を着けたことから「裳着」になったと言い伝えられる。そんなことから地名が? と驚くが、昔の地名の名付け方は案外そんなものだったりする。この小さな浦に皇后が立ち寄って着替えをすることなど、そうそうあるものではない。その名前が今も町の象徴である「裳着神社」に残っている。  茂木は

【日本全国写真紀行】 14 岡山県倉敷市本町

取材で訪れた、日本全国津々浦々の心にしみる風景を紹介します。ページの都合上、書籍では使用できなかった写真も掲載。 日本の原風景に出会う旅をお楽しみいただけます。 岡山県倉敷市本町 <重要伝統的建造物群保存地区> 倉敷市倉敷川畔  古くから運河として活用された倉敷川を中心に広がる伝統的な町並みが倉敷美観地区である。寛永十九(1642)年に幕府の直轄地となり、倉敷代官所が設置された。以降、備中国の年貢米や農産物が集散する商業港としての役割を担い、経済的に繁栄した。やがて富を蓄

【日本全国写真紀行】 13 岡山県苫田郡鏡野町奥津

取材で訪れた、日本全国津々浦々の心にしみる風景を紹介します。ページの都合上、書籍では使用できなかった写真も掲載。 日本の原風景に出会う旅をお楽しみいただけます。 岡山県苫田郡鏡野町奥津 藩主が鍵をかけて入った「殿様の湯」、今は誰でも入れます 奥津温泉は、岡山県北部の鏡野町にある温泉で、湯郷温泉、湯原温泉と並ぶ美作三湯のひとつ。「奥津」の名の由来は、高瀬舟が訪れていたことから。「奥まった場所だが船が出入りする地」という意味でつけたれた名だという。 江戸時代には津山藩の湯治場

【日本全国写真紀行】 12 広島県豊田郡大崎上島町木江

取材で訪れた、日本全国津々浦々の心にしみる風景を紹介します。ページの都合上、書籍では使用できなかった写真も掲載。 日本の原風景に出会う旅をお楽しみいただけます。 広島県豊田郡大崎上島町木江 潮待ち、風待ちでにぎわった港町。 今も色濃く残る遊郭のあと。 大崎上島は竹原港からフェリーで三十分、瀬戸内海西部の大小数百に及ぶ島々で構成される芸予諸島の一つに数えられる離島である。 その玄関口、木江港は、深い入江を持つ天然の良港だ。享保年間(1716〜36)頃から沖を通る沖乗り航路の

【日本全国写真紀行】 4 長野県下伊那郡天龍村坂部

取材で訪れた、日本全国津々浦々の心にしみる風景を紹介します。ページの都合上、書籍では使用できなかった写真も掲載。 日本の原風景に出会う旅をお楽しみいただけます。 下伊那郡天龍村坂部 峡谷の隠れ里は、熊谷直実(くまがいなおざね)の子孫が住む同族集落  下伊那郡天龍村は長野県の南端にあり、村の南側は愛知県と静岡県に接している。  村の面積の九割以上が山林で、中央を南北に流れる天竜川とその支流が深いV字渓谷を作り、そこに小さな集落が点在する。  ここで紹介する坂部も、その峡谷の

【日本全国写真紀行】 3 新潟県佐渡市赤泊

取材で訪れた、日本全国津々浦々の心にしみる風景を紹介します。ページの都合上、書籍では使用できなかった写真も掲載。 日本の原風景に出会う旅をお楽しみいただけます。 佐渡市赤泊 佐渡随一の渡海場として栄えた港町  佐渡島と本土を結ぶ航路の発着港は、フェリー航路のある小木と両津がよく知られている。それらの港の知名度には及ばないものの、佐渡の歴史に重要な役割を果たしてきた港が赤泊港である。  赤泊は、古くから佐渡の南の玄関口として栄えてきたが、江戸時代に相川金銀山が開発されると

【日本全国写真紀行】 2 兵庫県南あわじ市沼島

取材で訪れた、日本全国津々浦々の心にしみる風景を紹介します。ページの都合上、書籍では使用できなかった写真も掲載。 日本の原風景に出会う旅をお楽しみいただけます。 兵庫県南あわじ市沼島 我が国最初の国土「オノゴロ島」 まず二神は、天と地の間に浮かぶ天浮橋(あめのうきはし)に立ち、天沼矛(あめのぬぼこ)をおろしてどろどろとした海水を「ころころ」とかきまわした。矛を引き上げるとその先から塩が滴り落ち、それが積もって小さな島になった。これが我が国最初の国土、オノゴロ島である。

【日本全国写真紀行】 1 京都府宮津市上世屋

取材で訪れた、日本全国津々浦々の心にしみる風景を紹介します。ページの都合上、書籍では使用できなかった写真も掲載。 日本の原風景に出会う旅をお楽しみいただけます。 京都府宮津市上世屋 日本の原風景の要素が、すべてここにある 「二度と行こまい丹後の宮津 縞の財布が空になる・・・・・・」(お囃子〜丹後の宮津でピンと出した〜)  有名な民謡『宮津節』の唄い出しである。子どもの頃、何度か聞いたことがあって、このフレーズがとても気になった。一体誰が、何をピンと出したのか、それを何で宮