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全国最中図鑑

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日本を代表する和菓子の一つである「最中」。香ばしいパリパリの皮とともに餡を頬張れば、口の中にふわっと広がる品のよい甘さ。なんとも幸せな気分になるお菓子です。編集スタッフが取材の途…
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2022年12月の記事一覧

「全国最中図鑑」42 火山桜島もなか(鹿児島県鹿児島市)

鹿児島のシンボル・桜島は、北岳・南岳から成る複合活火山で、年間200万人の観光客が訪れる鹿児島屈指の観光地。今も噴煙を上げ、灰を降らせ続けている世界的にも珍しい火山だ。周囲約50キロ以上、面積約80キロ平方メートルで、名前のとおり元は島だったが、大正3年の大噴火で対岸の大隅半島と地続きになった。 誕生したのは約2万6千年ほど前。日本の火山の中では比較的新しい火山だが、有史以来頻繁に噴火を繰り返してきた。噴火の頻度は数週間に一度のこともあれば1日に2、3回の時もあり、鹿児島のニ

「全国最中図鑑」41 とんち彦一もなか(熊本県八代市)

熊本県八代地方には、昔から伝わる「彦一とんち話」という民話がある。 彦一は、一休、吉四六と並んで有名なとんち話の主人公だ。誰がモデルなのか、実在の人物なのか、などは不詳だが、設定は肥後国熊本藩八代城の城下町の長屋暮らしの下級武士で、定職は持たず、農作業や傘職人などの賃仕事をしながら生計を立てていたと言われている。暮らしは当然貧しかったが、苦しい生活の中でも明るさを失わず、近所の人々相手に、常にとんちを働かせた笑いを振りまいて貧乏な仲間たちを元気づけた。そのとんち話は後世まで語