マガジンのカバー画像

全国最中図鑑

81
日本を代表する和菓子の一つである「最中」。香ばしいパリパリの皮とともに餡を頬張れば、口の中にふわっと広がる品のよい甘さ。なんとも幸せな気分になるお菓子です。編集スタッフが取材の途…
運営しているクリエイター

2022年2月の記事一覧

「全国最中図鑑」 22 貝合わせ最中(京都府京都市)

京都三大祭りのひとつ「葵祭り」が行われる下鴨神社と上賀茂神社の中間あたりに本店を構える京橘総本店の名物最中、宮中古来の雅な遊び「貝合わせ」をモチーフにした優雅なお菓子である。 本来、貝合わせは、貝殻の色合いや形の美しさ、珍しさを競ったり、その貝を題材にした歌を詠んでその優劣を競いあったりする貴族の遊びだった。 また貝合わせは、夫婦和合の象徴として、また結婚や夫婦円満などの良縁を表すものともされている。 ハマグリ型の小さな二枚貝を型どった外観は、つい手に取ってみたくなる可愛らし

「全国最中図鑑」 21 かまくらもなか(秋田県横手市)

明治35年創業の和菓子の老舗・木村屋は、初代が東京・銀座の木村屋総本店で修行を積み、暖簾分けしてもらい、ここ横手で開店した店である。代々、創意工夫と遊び心に溢れたさまざまな和菓子を創案し、人気を得てきた。 かまくらもなかは、雪深い横手の冬の風物詩・かまくらをモチーフにしたもので、かまくらの灯りや暖かさを表現している。かまくらの中で、子供二人が火鉢にあたりながら餅を焼いている様子を型取っていて、かなり手の込んだ造形。横手の町の厳しい寒さの中で、かまくらでひとときの暖を取る子供た