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【過去問解説】第28回柔道整復師国家試験問題(午後)徹底解説

【2021/08/07 更新】このアカウントは柔道整復師・鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師・理学療法士・作業療法士・臨床検査技師・言語聴覚士などの国家試験対策の覚え方のコツ・ノウハウ・ゴロ合わせなどをお伝えしています。

【有料記事】
 ⏩ 柔道整復師 第28回国家試験問題(午後)
 についてを徹底解説

1問1問を徹底的に本当に徹底的に解説しているので、派生問題が出てきてもかなりの確率でわかると思います。

またこれは柔道整復師の過去問ですが、鍼灸師・あん摩マッサージ師学生やその他医療従事者を目指す学生の方であれば参考になる問題も多く含まれています。

このノートは国家試験 【午後の範囲】までをまとめています。
※問題17に関しては、教科書に記載が無いため解説をしていません。

ただスマホでざーっと読んでいても頭には残りにくいので、ぜひ別途メモ帳に回答を書きながら、読み進めてみてください。

※問題文の画像は割愛しています。
 解説には掲載しています。

【Back Number】
 ▶第28回柔道整復師国家試験問題(午前)徹底解説
 ▶第28回柔道整復師国家試験問題(午後)徹底解説
 ▶第29回柔道整復師国家試験問題(午前)徹底解説
 ▶第29回柔道整復師国家試験問題(午後)徹底解説
 ▶第30回柔道整復師国家試験問題(午前)徹底解説
 ▶第30回柔道整復師国家試験問題(午後)徹底解説

全問題文はこちらで確認ができます。
参考:https://www.zaijusei.com/doc/2020_28_gogo.pdf



第28回 柔道整復師国家試験問題(午後)

問題1 癌とそのリスク因子の組合せで誤っているのはどれか。
1. 胃癌  – 塩・塩蔵物
2. 大腸癌 – 肥 満
3. 乳癌  – ヒトパピローマウイルス
4. 食道癌 – 喫 煙

問題2 健康増進法との関連性が低いのはどれか。
1. 健康日本21
2. 国民健康・栄養調査
3. 受動喫煙対策
4. 長寿医療制度

問題3 喫煙と肺癌発生の疫学的因果関係の検討で正しい組合せはどれか。
1. 関連の強固性 – たばこの煙には様々な発がん物質が含まれる。
2. 関連の一致性 – 肺癌発生率は喫煙者が非喫煙者に比べ高い。
3. 関連の時間性 – 長期間の喫煙歴が肺癌の発生に先行する。
4. 関連の整合性 – 喫煙と肺癌発生の関連は、様々な国の研究で認められる。

問題4 近年の我が国の死因で最も多いのはどれか。
1. 悪性新生物
2. 心疾患
3. 脳血管疾患
4. 老衰

問題5 介護予防対策で有用性が低いのはどれか。
1. がん対策
2. スタンダード・プリコーションの実施
3. 生活習慣病の予防
4. ロコモティブシンドロームの予防

続きの問題文に関しては、公式サイトよりご確認ください。

引用元:https://www.zaijusei.com/doc/2020_28_gogo.pdf


問題 1 解説

問題 1 癌とそのリスク因子の組合せで誤っているのはどれか。
1. 胃癌  – 塩・塩蔵物
2. 大腸癌 – 肥 満
3. 乳癌  – ヒトパピローマウイルス
4. 食道癌 – 喫 煙
答え:3

【解説】乳癌とヒトパピローマウイルスは関係していません。

ヒトパピローマウイルスは子宮頸がんのリスク因子となります。

乳癌の危険因子は初経年齢が速い、閉経年齢が遅い、授乳歴がないなどが対象となります。

なりますが、国家試験にはおそらく出ないと思います。

その他のリスク因子(リスクファクター)も確認していきましょう。

【胃癌のリスク因子】
 ▶加齢
 ▶塩分のとりすぎ
 ▶喫煙
 ▶ヘリコバクターピロリ菌
 など

【大腸癌のリスク因子】
 ▶運動不足
 ▶飲酒
 ▶肥満
 など

【食道癌のリスク因子】
 ▶飲酒
 ▶喫煙
 ▶バレット食道(食道腺癌)


問題 2 解説

問題 2 健康増進法との関連性が低いのはどれか。
1. 健康日本21
2. 国民健康・栄養調査
3. 受動喫煙対策
4. 長寿医療制度
答え:4

【解説】もともとの栄養改善法というものが元になった法律。
これは法律なので目指すとかそういったものではありません。
違反者は法を破ったということになります。

ここ最近話題になっている、飲食店のたばこ吸える・吸えない問題もこの健康増進法の受動喫煙対策に関係しています。

医療従事者としておさえておかないといけないのは、タバコはあらゆる癌のリスク因子であること、そしてそれを吸う人だけでなく、その周りの人にも悪影響を及ぼすことです。

【健康増進法と関係があるもの】
 ▶健康日本21
 ▶国民健康栄養調査
 ▶受動喫煙対策
 (屋内の原則禁煙・喫煙室接地・喫煙室への標識掲示義務付け・20歳未満の喫煙エリアへの立ち入り禁止)

健康増進法は非常に長いので全部まとめていると日が暮れてしまいます。
国家試験に出題されているところだけは覚えておきましょう。


問題 3 解説

問題 3 喫煙と肺癌発生の疫学的因果関係の検討で正しい組合せはどれか。
1. 関連の強固性 – たばこの煙には様々な発がん物質が含まれる。
2. 関連の一致性 – 肺癌発生率は喫煙者が非喫煙者に比べ高い。
3. 関連の時間性 – 長期間の喫煙歴が肺癌の発生に先行する。
4. 関連の整合性 – 喫煙と肺癌発生の関連は、様々な国の研究で認められる。答え:3

【解説】これもタバコに関する問題です。3問目…このように国家試験は世間の話題とリンクすることが多々あります。

今年の受験はもちろんあの感染症ですね。
あの感染症そのものは出ないと思いますが消毒や換気などの問題は見直して置くといいですよ。

【ヒルの因果性の基準】
 ▶強固性:強さは他の存在頻度に依存する。
 ▶一致性:異なる対象者・地域・状況・期間で繰り返し観測される。
 ▶特異性:1つの原因が1つの結果をもたらす
 ▶時間性:原因が結果の時間に先行する
 ▶整合性:生物学的知識などで説明ができる。
 ▶類似性:同様の暴露・疾患で同じ因果関係が確率している

・・・

ややこしい…

【関連の強固性】
 要因Aにばく露された群の疾患Bの発症率(罹患率)が、非ばく露群に比べてどの程度高いかを判断する。

例:喫煙者の肺癌の罹患率は、非喫煙者の5倍以上高い。
今回の選択肢で言えば「 肺癌発生率は喫煙者が非喫煙者に比べ高い。」に当たります。

【関連の時間性】
 要因Aへのばく露があって、その後疾患Bが発生しているかを判断する。

例:喫煙によって、肺癌が発生する
選択肢「長期間の喫煙歴が肺癌の発生に先行する。」

【関連の一貫性】
 要因Aと疾患Bとの同じ関連が異なった地域、集団、時間でも一貫してえられているかを判断する。

例:1950年の日本でも2020年の日本でも同じ関連性がある。
 アメリカと日本を比べても同じような関連性がある。
選択肢「喫煙と肺癌発生の関連は、様々な国の研究で認められる。」

【生物学的説得性】
 要因Aが疾患Bを招くという説得性のある形態学的、機能的な説明ができるかを判断する。

例:動物実験ではたばこ煙にばく露された動物に呼吸器系のがんが多発した
 細胞実験ではたばこ煙成分を負荷した培養条件で、遺伝毒性や催奇形性が確認された
選択肢「たばこの煙には様々な発がん物質が含まれる。」

【関連の整合性】
 発見された要因Aと疾患Bの関連性は現在一般的に認められている
疾患史や経過と矛盾しないかを判断する

例:現在発見されている統計とも一致する。発がん物質の研究内容とも一致するなど

よくよく漢字の意味合いをたどればなんとなく解けそうな気もしますね。


問題 4 解説

問題 4 近年の我が国の死因で最も多いのはどれか。
1. 悪性新生物
2. 心疾患
3. 脳血管疾患
4. 老衰
答え:1

【解説】近年っていつなんだよ!って話です。
いずれにしても1位と2位は同じなのでここまでは覚えておきましょう。

【2017年版日本の死因】
 1位:悪性新生物
 2位:心疾患
 3位:脳血管障害
 4位:老衰

【2019年版日本の死因】
 1位:悪性新生物
 2位:心疾患
 3位:老衰
 4位:脳血管障害

【2019年版日本の死因のゴロ合わせ】
 あしのろいのう
 あ(悪性新生物)し(心疾患)のろい(老衰)のう(脳血管障害)


問題 5 解説

問題 5 介護予防対策で有用性が低いのはどれか。
1. がん対策
2. スタンダード・プリコーションの実施
3. 生活習慣病の予防
4. ロコモティブシンドロームの予防
答え:2

【解説】大抵聞いたこと無いような単語が出た場合は疑ってください。

【スタンダード・プリコーション】
 標準的予防措置策
 医療・ケアを提供するすべての場所で適用される感染予防策

なので介護予防とは有用性や関係性は低いと言えます。

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