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電気のない都会生活

朝から氷雨が降り続いた。

強風が氷雨を窓ガラスに打ちつける。

なんの変哲も無い硝子に

複雑な自然アートが表面化していく。

夕食を作ろうかという時刻になった頃

我が家も停電になった。


半日で室温が13度になる。

60時間が経過した頃

外の冷え込みの影響で10度まで下がった。



市内のホテルが満室になる。

停電の難を逃れた飲食店に

無料WiFiと電源を利用しようとする客が殺到する。

暖房の効いた駅のホームで

電源を確保し

座り込んだり寝転んだりしながら

中学生達が動画を観ている。


図書館が一時避難場所として開放されると

複数台の電子機器を持った人々が

充電目的のために押し寄せた。


3日目になっても

完全復旧の見込みが立たない。

人々の間で電力会社に対する不満が増していく。

愚痴るラジオリスナー達のイライラ声が

寒い部屋の中に響く。




25年ぶりにカナダ第2の都市を襲った自然災害。

快適な生活を享受すればするほど

生きる術を失うのかもしれない。







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