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アルコール好きDNAを制御するもの

私はお酒に弱い。でも、飲めないわけではない。
お酒そのものはどんな種類でも好きなのに、体が受け付けない。アルコール5%ほどのものを少し飲むだけで顔も体も真っ赤になり、心拍数が急激に上昇する。そんな私を見てパートナーは「安い妻でよかった」と笑う。

母方の親族は酒豪が多い。気分よく酔っ払って電話してくるアルコール依存気味の伯父もいた。大酒のみ筆頭は、祖父の弟である大叔父。とても優しい人だったけれど、酔っ払うと声が大きくなり、何を言っているのかわからなかった。
母と一緒に訪ねると「よく来たね!」と大音声で話しかけられ、その恐怖で半泣き状態。ところが、食事の時間になると大叔父の隣にちゃっかりすわり、酒の肴を食べさせもらってご機嫌になっていたという。なまこ酢を美味しそうに食べるまだ2歳児の私に「こいつは酒飲みになるぞ」と嬉しそうにしていたらしい。

今でもなまこ酢が大好き。酒の肴系の食べ物全般が好きなのに、残念ながらお酒に弱い体質だ。大酒のみだった大叔父の勘ははずれた。酒好きの下戸。神様はなんて意地悪なんだろうかと思ったこともある。

だけど、きっと私の遺伝子は私を不耐性にすることで私の体を守っているのかもしれない。「お酒に強かったら、今頃アル中になっていたかもよ」と母は言う。母方の親戚のことを考えればその可能性が高かったことは明白だ。母方の先祖から受け継いだ遺伝子を持っていながらも、あえて飲めないようにスイッチをOFFにしているのではないか。

***

最近、曾祖母のことが頭に浮かぶ。毎朝新聞を読み、煙管で煙草を嗜み、
戦時中は女と子供だらけの家で独裁的に振る舞った。私が生まれる前に亡くなっていたので、母から聞く思い出話の中の人でしかない。
残っているのは、アルバムに貼ってある1枚のセピア色の写真だけ。

それなのに、なぜだか曾祖母が近くにいるような気がする。
人の体は、遺伝子に制御されているのだろう。私自身がコントロールしているのではなく、遺伝子に生かされているのかもしれない。曾祖父母の遺伝子を祖父、大叔父が受け取り、母を通して共通する遺伝子の一部を受け継いだ私。確実に曾祖母の血が流れている。
私のアルコール耐性の遺伝子スイッチをOFFにしたのは、女手ひとつで家族を支えた曾祖母かもしれない。


やってくれるじゃないの、ひいばあちゃん!
でも、守ってくれてありがとう。



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