見出し画像

AI vs 経験則 予測対決結果報告 & 1-3月クールアニメの進捗数字

みなさま、昨年9月に2022年の10-12月クールのアニメ作品の予測をAIとコノサー(目利き)で行ったのおぼえていらっしゃいますか?今回はその結果報告です。また2023年1-3月クールのアニメ作品の初速数字もお伝えしますので、最後までお楽しみください!

AI vs 経験則予測対決結果報告

昨年9月のMonthlyMALでは、10-12月クールの作品のメンバー数、およびメンバーのはね率(放送前と放送後を比較して、メンバー数を何倍に成長させたのか)をAIと経験則の2つのアプローチで予測しました。メンバー数ではほぼ同じ作品を予測していましたが、はね率に関しては両者で違いがありました。結果着地がどうなったのかを確認していきます。

まず、AIと経験則、それぞれの予想は以下のようなものでした。色のついているタイトルは、緑はAIだけが、黄色は経験則だけが選定したものです。

さて、結果はどうなったでしょうか?以下、はね率の上位20作品のデータです。

※メンバー数4万未満のものはグレーアウト

■より正確に予測できたのはどちらか?

最も高いはね率となったのは「外見至上主義」でしたが、本予測では数字がある程度大きくないと数字のぶれが大きくなる(10,000でも、元の数字がが10ならば1,000倍になってしまう)ため、着地数字4万以上を対象にするルールで行いました。そのため、4万以下の作品はグレーアウトいたしました。

まず注目したいのは、10-12月クールの話題作「ぼっち・ざ・ろっく」のヒットを、AIが「はね率1位」で予測できた点です。経験則が1位で予測した「悪役令嬢なのでラスボスを飼ってみました」は17位となり、順位という観点ではAIに分があったように見えます。一方で、経験則予測が挙げた10作品はすべてがTOP20にランクインしており、跳ねる作品を高い精度でチョイスできたことが伺えます。

ここにはAIの予測に用いたロジックが絡んできているようです。AIは予想がしにくい「アニメオリジナル作品」を除き、かつ着地10万以上の作品で学習を行っているため、10万未満のタイトルにおいてはズレが大きくなっています。メンバー数10万人以上の作品に絞ると、AIが6作品、経験則が5作品を当てています。

■AI予測を行った担当者の振り返り

今回AI予測と経験者予測は、ともに優れた結果を出すことができましたが、得意領域の違いが浮き彫りになりました。これについて、AI予測を行ったデータアーティスト社の山本さんからコメントをもらいました。

「AIが一位と予測したぼっち・ざ・ろっくが今期を代表する跳ねたアニメとなったことにまずホッとすると共に期待を感じています!
今回の予測では跳ねるアニメに敏感なユーザーがいち早く登録していることを重要視したAIを作っていて、作品の詳細な内容を加味できていなかったことが、経験層と比べ、上位以外の細やかな予測が外れた原因だったと思っています。
ただ実は、そのような状況を突破するために一部新しい技術も試験的に導入していました。最近AI界でバズワードとなっているChatGPTをご存知でしょうか?人間のように自然な会話が出来るAIです。実はそのChatGPTの元となるAIエンジンにアニメのあらすじを理解させてそれも予測時に加味していました。
今回の検証でAIと共に『経験則 = 作品の内容的な理解が重要であることがわかりました。ですので今後はアニメに敏感なユーザーが『登録している』という事だけなく、その人たちが放送前にアニメに『どんなコメントしているか?』等の作品の内容に触れる情報もAIの予測に入れていければと思います。
これからも人間とAIとで協調しもっと高い精度で跳ねるアニメの予測が出来ればとおもいます。
最後にこれは私の夢の話ですが、いつかはアニメのクリエーターの方に、ファンの声をAIが集約して届け、皆が作品作りに参加していける世界が実現できたらと思います。」

いかがでしたでしょうか?
予測対決は初めての試みでしたが、ヒット予測という領域に新たな可能性を切り開くことができたと思います。引き続きこうしたデータに対するアプローチは続けていきますので、是非ご注目ください。

2023年1-3月クールアニメ作品の進捗数字

現在メンバー数TOPとなっているのは「ヴィンランド・サガ SEASON2」でした。前クールも高い評判で、根強い人気を感じさせます。上位には2クール目以降の作品が多いですが、PSゲーム原作の「NieR:Automata Ver1.1a」が5位に位置し、新たなアニメシリーズの動向にも期待ができそうです。こちらの進捗は、次回以降のMonthly MALでお届けしますのでお楽しみに!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?