秋に恋している人の話

四季でいうとあなたはいつが恋の季節ですか?

わたしは恋そのもの自体に四季感まったく何もないんですが、秋そのものに恋をしている人なので秋は恋をしているような人になり、そのすべてが痛みです。

先程も何時も通りカーテンを開けただけなのに、向かいのマンションの壁沿いに映し出された影と光のコントラストに嗚咽が漏れました。

「もう上着が必要だな」と確信した頃には金木犀のほのかな香りに包まれながらグラデーションになって燃えた夕暮れと浮かぶ雲のシーンに心を奪わるわけですが

それとは裏腹に冷たい空気にさらされそれが鼻の奥に突き刺さり脳天が揺らされもう忘れてしまっていいことや思い出せないことすら言葉になる。居ても立ってもいられないそんな刹那に弾き飛ばされたくなり実際に「秋に恋している」というダメな方の自分自身をピックアップしてしまい

「超新星は爆発しない」

という矛盾したメモ書きを残しほんとうにどこか遠くに行くことがかつて数度ありました。

今では頭も身体も大人になってしまったので、その分だけ守るものが増えています。

なので

「これは寒くなって全部凍ってしまう前の出来事なんだ。冬になれば人は温かくすることを考えるし春になれば全部溶けて川になって流れていくよ」と子供に絵本を読み聞かせるような穏やかな気持ちで対応可能な反面

「もうおやすみなさい」と言ってる木の枝に「がんばれえ」と応援し続け、健気にもなんともないフリを演じ続ける。そんな人間のエゴイズムで心そこにあらずのまま、笑うことだって出来るのです。

秋は「芸術の秋」と美しく表現されがちですが、どっちかというと「病気の秋」として萬栄。「メンヘラの秋」とも言えるでしょう。

これを全体的に何をどう対応しろと指示されてるかというと「なにかに集中して頭を空っぽにしてろ」ってことです。

つまりいろんなことを理性で対処しにくい秋は恋の季節に最も不向きなのはわかっていながらも、そうだからこその「恋」なのかもしれない。

わたしを衝動的にさせる、そんな秋が好きなのです。

#秋 #好き #恋の季節 #衝動

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