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からくりとすり合わせの技

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愛知ものづくり産業史 機械産業編
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#からくり

からくりとすり合わせの技④ 重工業化の進展(祖業の活用)

からくりとすり合わせの技④ 重工業化の進展(祖業の活用)

日清戦争(明治27~28年)や日露戦争(同37~38年)を経て、政府は軍備拡張のために国内産業構造の転換(軽工業から重工業へ)を図り、民間重工業の成長をうながした。これを受けて愛知県下で創業した機械各社は、祖業の経験を活かして、今日の愛知ものづくり産業に直接つながる三つの製品を実用化した。

一つ目は工作機械。陸軍の要請を受けた大隈麺機商会は、明治37年に旋盤の生産を開始する。以後、陸軍向けの旋

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からくりとすり合わせの技② 西洋製品の国産化(江戸時代の技の流用)

からくりとすり合わせの技② 西洋製品の国産化(江戸時代の技の流用)

江戸末期、鎖国が解かれて欧米諸国との国交が結ばれると、西洋の機械製品が続々と国内に流入するようになる。産業力(国力)の差を痛感した幕府や有力諸藩はこぞってこれらの国産化に取り組み、その志は後の明治政府にも引き継がれた。

こうした中、愛知のからくりとすり合わせの技は、ときの起業家のアイデアのもと、木の技、鉄の技ともども欧米の先端技術と融合する。その結果、近代的な機械産業がめばえ、木鉄混製(フレー

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からくりとすり合わせの技① からくり製品の誕生

からくりとすり合わせの技① からくり製品の誕生

ここまでの素材加工の技とは視点を変えるが、機械工学に関わる「からくりとすり合わせの技」も外せない。からくりとは、ぜんまいや歯車などを使って道具を自動的に動かすしかけ(自動装置)のことである。また、すり合わせとは、異なる素材や複数の部品を相互調整しつつ、一つの製品へと仕上げる手法のことで、現在、日本のものづくり産業界の誇る強みの一つとして世界的に認知されている。

ときは室町後期にまでさかのぼる。

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