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「孤独感」を温かいココアで満たせたら

「秋の夜長」なんて呼ばれる時期がやってくる。すでに夜がふけると肌寒く、つい大好きなコーヒーに手が伸びてしまう。ぐるりと巡り戻ってきた季節に、熱いコーヒーが幸せを感じさせてくれて心地良い。それと同時にどうにもいい難い切なさもあり、パソコンと一緒に薄い毛布にもぐってみても落ちつかないままだ。

落ちることも高まることもない静寂につつまれた薄暗い部屋の中、冷めないコーヒーをすする音だけが聞こえる。よくいえばベストな状況なんだろうと思う。まっすぐに意識をパソコンに向けただ文章を捻りだしていく作業に没頭していたらいい、とても贅沢な時間(仕事だけど)なんだろう。

そんなとき、予感も予兆もなくやってくるやつがいる。正体はわかりきってるけど、「いつ・どのタイミングで・なにがトリガーで」やってくるか予告はしてほしい。せっかく仕事をしようという気分になっていたんだから、予定をたてさせて!……なんてめちゃくちゃな思いで今これを書いている。

結局なにがやってきたかというと、なんてことはない。猛烈な「寂しさ」だ。一瞬息がつまるほどの重さで「孤独感」がぶわりと覆いかぶさってきた。こいつのことを最近忘れていて、どう対処しようか考えていたら完全に仕事への「やるぜ!」という気持ちが萎んでしまったのだから悔しい。納品したばかりで、前倒しで進めようとしていた今だからまだよかった……のかもしれない。いや、やっぱりよくない。どうしようもないので下書きをしていたワードを閉じた。それでもこの気持ちをどうにかくしたくて、久しぶりにnoteに向かっている次第である。

私を飲みこもうとしている「寂しさ」と「孤独感」は、まったく形のないものでないところが厄介だ。どうあっても埋まらないものを抱えて笑って、しんどさにグチをいったり、好きなことをしてきっと皆生きているんだろう。私もそうだけど、私には信念なんてない。手探りな生き方をしているから無意識に不安が積もり、「いつ顔をだす?今か?いったれ!」というようにタイミングを無視して牙を剝いてくる。私自身の無意識のそれに迷惑すぎるとクレームを入れたい。

一度あふれた「寂しさ」も「孤独感」も、ただあふれたというだけ。それ以外のダメージはないのだが、心がつぶれる感覚はいつまでたってもなれるものではない。苦しい。涙もバカみたいにでてくるし、いっそ寝てしまおうと思ってもひっこむ気配がないから困ってしまう。どうやってやりすごしていたか本当に思いだせないのだ。コーヒーは冷めてしまい飲みやすくはなったものの、それにも謎の寂しさを感じてしまう始末……。自分のめんどくささに脱力しながら、涙がかれるまで自分自身につき合おうと決めた。

勢いのまま書きなぐったのは数ヵ月ぶりだ。少しだけ息がつけるようになってきた気がする。もし今私と同じように「寂しさ」と「孤独感」に飲み込まれそうになっている人がいたら、ここにも同士がいると知ってほしい。ほんのちょっぴりでも繋がっていると。「だから安心して」などというつもりはないが、さり気なく同士へアピールしてみたい気分になったから。

さて、次はココアにしよう。甘い甘いミルクココアを、やさしさを、思いがけずやってきた長くなるだろう夜に贈ろう。涙がとまるか、朝がくるか、どちらが早いだろうと思いながら。


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