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元BtoCマーケッターが語るBtoBの面白さとは?-マーケッターとデータサイエンティストが手を取り合う醍醐味

※本記事の内容は取材時のものであり、組織名や役職等は取材時点のものを掲載しております。

モノタロウが10年以上もの間、売上アップを続けている要因の一つとして、これまでに蓄積された膨大なデータ、そしてそれによる入念なマーケティングがあります。今回は、BtoC企業からBtoB企業でのマーケティングを求めてモノタロウへ転職された米島さんにオンラインインタビューを行いました。

Q.はじめに、モノタロウで日頃どういった業務を行っているか教えてください。

データマーケティング部門のCXプロデュースグループ長として、広告運用、SEO対策、そしてサイト改善や新サービスの提供といった、カスタマーエクスペリエンス全体に関してのプロデュースの統括を行っています。グループ全体としての業務は、お客様の行動・購入データを活用しての広告運用です。
当社の広告運用は数十億円と規模の大きいものになりますが、それを社内メンバーのみで行っています。

Q.モノタロウへ転職を考えたキッカケはなんでしたか?

私はモノタロウへ入るより以前は10年ほど、食品系のBtoC企業でマーケッターとしてECに関わっており、膨大なデータの利用・ユーザーの理解・施策の実施を強みにしてきました。
当社を知ったキッカケは、前職でモノタロウの社員と知り合うことがあったからです。売上やシステムの規模から、モノタロウの内部には多くのデータがあることも想像はしていたのですが、これが転職の決め手ということではありませんでした。

当時、BtoCという枠組みにいながらデータを活用することに”ある程度の限界”を感じていました。たとえば、お客様が過去閲覧、購入された商品、今売れている商品などを分析して、このお客様はお刺身を購入する確率が高い、という推定とそれに沿った施策を行うことは可能です。しかし、個人向けでは、テレビで取り上げられたものや、肉汁溢れる写真や家族団らんのイメージなどを用いることでも、お客様がショッピングを楽しんでいただくことができます。
データを全く使わないわけではありませんが、事業の売り上げをけん引する上では、データだけでなくクリエイティブの比率も高いです。

一方で、私としては、個々のお客様に合わせてサービスを提供することより、データ活用をさらに推し進め「再現性のあるマーケティング」を深めることに興味が向いていました。BtoCの場合、商品購入の動機は「楽しいから」といった心理面の影響が大きいです。

しかし、BtoBだとよりシビアに、業務に必要だといった合理的な判断がそこにあります。その合理的判断があるがゆえに、BtoBだと顧客間で共通の行動が起こりやすく、再現性が高くなります。その再現性をデータから生み出すことができれば、事業の成長により高く寄与できるだろうと考えていました。なので、データ量ではなく、「データを活用したマーケティング」というモノタロウの姿勢が自分と合うなと感じたのが大きな理由です。

また、モノタロウには日本でもトップクラスのBtoBの様々なデータが存在し、それを用いて再現性の追求を行えば、データドリブンなマーケティングを極め続けることが出来、日本トップクラスの知見を得られるだろう、という考えもありました。

Q.入社前と入社後でモノタロウへの印象は変わりましたか?

予想通り・期待通りだったのは、データを活用することです。しかし、ただデータを使って理解するのではなく、かなり細かいところまで確認する精度や、またその頻度の高さは想像以上のものでした。とはいえ、これは単にデータに細かいということではなく、そこまで行う理由があります。

BtoCの場合、1回あたりの注文数や金額はそこまで大きく変化しません。特に前職のような食品関係だと、その振れ幅も一定のところで収まります。人間が食べられる量には限界があるわけなので、それこそ翌日いきなり食費が5万円も増える、なんて事態はまず起こらないですよね。変化しても5,000円から1万円程度です。

一方で、BtoBの場合、1回あたりの注文金額は100円に満たないこともあれば数百万円規模であることもあり、BtoCと比べると振れ幅が大きいです。また、数百万円の注文がすごく珍しいということはなく、単価の高いものを購入する方、安いものを大量に購入する方と、その購入内容も多種多様です。

このデータのばらつきをいかに整理するかがBtoBのマーケティングでは問われます。お客様の行動にばらつきがあるからこそ、データを細かく見ていかないとはたして施策がうまくいったかどうかが判断できないんですよね。購入金額の平均値の推移はもちろん確認しますが、それだけに留まらず、商品の購入数が多い・少ない、購入単価が高い・低いなどの条件でお客様を分け、それぞれがどうなったのかを分析して、サービスを確認していきます。
たとえば、平均値は変わっていないものの詳しく見てみたら大量に購入される方の売上が下がっていたとしましょう。そのようなお客様に対してのフォローを行わずにいると、将来的にそのお客様は他社へと移ってしまいます。だからこそあらゆる観点からデータをつぶさに分析しなくてはならず、モノタロウに入ってからは変化を正しく理解するための引き出しが増えたなと感じています。

後は、インパクトの大きさはモノタロウ入社後に大きく感じました。
当社の事業は1,500億円という非常に大きな規模の単一ECであり、割合で0.1%の改善だとしても、売上金額では1億円のアップになるので、その一発一発のインパクトの大きさは非常に実感しています。

また、さまざまな業種・企業規模・役職・部門のお客様がおり、そういったことからの学びも多いです。「●●という施策はこの業界・企業規模の方にはよいが、別の業界になると通じない」といったことがよくあるので、ノウハウはかなり貯まります。データ量の多さは想像していましたが、多種多様なお客様の存在や、与えるインパクトの大きさといったことは、モノタロウに入社して改めて感じました。

Q.モノタロウで働くなかでやりがいを感じる場面を教えてください。

非常にたくさんあり、なかなか1つには絞れないのですが、それでも選り抜けば2つ挙げられます。

1つは別分野の専門家と同じ部門で働いていることです。たとえば、データマーケティング部門には我々マーケッターとは別にデータサイエンスの専門家がいて、その方々はマーケティングとは別の方法論で分析・予測・類推し、仮説や施策の精度を高めているのです。学会に足を運んだり、文献を読み込んだりしながら施策を立てるなど、これまで自分が専門性を高めた「マーケティング」とは違った引き出しを持っている人が沢山います。

ただ、データサイエンティストが常に正しく予測できているかと問えば必ずしもそうではなく、そしてそれはマーケッターも同様です。互いにどこかしらが足りないので、成熟したメンバーほどマーケッターあるいはデータサイエンティスト、他分野のメンバーと組み実行しています。たえず、テクノロジー・データサイエンスのあたらしい知見を取り込むことで、常識のレベルが上がりつづける環境下で取り組みを行っているため、アドレナリンが出ます。

もう1つ、これはモノタロウぐらいの規模の会社だとかなり珍しいと思いますが、社内の業務がひと通りわかる状態にあることです。それがモノタロウで働く魅力であり、やりがいの根底にあると感じています。モノタロウでは商品調達や販売またはお客様対応はもちろんのこと、配送まですべて自社で行っています。そのように幅広く行っていながら、社員数がまださほど多くないので、自分以外の人々がどういった業務に従事しているかが把握可能です。

小さい会社だと絶対数が少ないから自然とそうなりますが、海外にも進出しているようなモノタロウでもこの状況が実現しているのはかなりすごいことでしょう。社内の業務を把握できていることのメリットは、将来の拡大に備えて自ら行動し変化させていけるという点ですね。

現在の業務のやり方を単に続けていても、今後モノタロウがさらに成長し規模が拡大した際には通用しなくなります。将来のことを見据えた上で、技術や部門を横断しつつ新しいことにチャレンジしていける環境が整っています。前述のマーケッターとデータサイエンティストの例と似ていますね。あちらは部門内に専門が異なる二者がいて、それらが互いの専門分野を活かしながら課題を解決していく、という構図ですが、「部門」が「社内」に変わっただけで同じようなことがモノタロウのあちこちで起こっています。

Q.会社視点で新しいことに挑戦し続けられる環境、ということですね。

この場合の「チャレンジ」はただ既存のものをアップグレードしていくものではなく、次に訪れる成長を逆算して先回りしての施策推進ですね。新しい配送センターを立ち上げる際に初めてロボットを導入してみたり、よりリアルタイムでWEBでのパーソナライズを行ったり、過去にはそういったチャレンジを試みました。

ここで重要なのは、ロボットができたから導入してみよう、新しいパーソナライズ方法を開発したから導入してみよう、という、思いつきで新しいことを取り入れているわけではないという点です。

まず将来に起こる変化が当たり前として考えられていて、ではその変化に際してどういったものを準備しておかなければならないか、そういった観点でどの方も動いています。社内の業務を把握できていると、この準備の優先順位がわかるのです。

だから、自分の範囲内だけで仕事をしているという感覚は薄く、会社運営にまで関わっている実感を持てます。それこそベンチャー企業に入った気持ちです。

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Q.前職での経験が活かされているなという場面はありますか?

これこそ最も語りたかったものでした。

BtoCとBtoBでまったく異なったマーケティングを行っているかというと、そんなことはまったくなく、共通する部分はいくつかあります。

その1つが、お客様の期待を理解してサービスを提供する、ということです。システムやメソッドが複雑化していくとどうしても忘れがちですが、マーケティングに限らずあらゆるビジネスの一番先には人間がいて、その方々にどう満足してもらうかこそが課題なのです。

もちろんBtoCとBtoBでは合理性など、商品の買い方や費用、購入品の目的などさまざまに違いますが、お客様が何を期待しているかを理解し、それにサービスを適応させていくというプロセスに変わりはありません。BtoCでもBtoBでもまず行うのが現状や課題の把握で、そのために購買傾向などのデータを利用し仮説や対応案を考え、そして施策を実施したり検証を行ったりします。BtoCでは購入された方に直接ヒアリングを行うこともあって、そこで培ったスキル、お客様の裏の心情を理解するとか本質を見つけるなどの能力はBtoBである当社でも大いに役立っています。

Q.今後ここを改善していきたい、モノタロウでこういったことをやっていきたいという展望はありますか?

もちろんありがたいことではあるのですが、モノタロウは現在成長を続けており、それに応じて商品数も増えつつあります。この商品数増加にあわせてサービスも複雑になってきているので、いかにして伝えるべき相手に伝えるべき情報を提供するか、という点が大きな課題だなと考えています。

とはいえ、これに限らずモノタロウが抱える課題の多くは現在改善に向かって取り組み中であり、そういった意味でも勝率はとても高いかなと、まだまだ伸びしろがある企業だなと思っています。

モノタロウでやってみたいことは、やはり当初からの希望である「再現性のあるマーケティング」です。モノタロウという環境はこの再現性のあるマーケティングを実施するうえでとても恵まれている、と入社してから今日までひしひしと感じています。

せっかくそういった環境にいるのだから、このマーケティングを極めていきたいです。モノタロウは海外にも進出しているので、マーケティングによって現地の事業者にサービスを提供し、かつ国を超えても通用するように「再現性のあるマーケティング」の精度を高めていきたい、と考えています。

Q.この記事を読んでいる方にメッセージをお願いします!

BtoBマーケティングを行いたい人にとって、モノタロウは非常に良い環境です。また、データ方面の技術でなくとも、なんらかの強みを持った人がその能力を発揮する場としてもモノタロウは適しています。

フラットな組織なので、若手であっても日本人じゃなくてもいろいろな人が各々の立場から提言し、そしてそれを経営層含め各々が傾聴する環境が整っています。他者とは異なる強みを持っているという人、また自らの考えを実現するために動いてみたい人はぜひモノタロウに来てみてください。

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