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水筒(魔法瓶)の歴史と製造方法

一つの商品が出来るまでには様々な技術・人が関わっています。普段生活していてこの商品はどのようにして製造されているか気になる方もいるかと思います。今回は皆様が一度は使ったことがある水筒(魔法瓶)の作り方について説明していきます。

魔法瓶の由来と歴史

魔法瓶とは内瓶と外瓶の二重構造でその間を真空状態にすることにより熱の移動を防ぎ長時間保温・保冷できるようにした容器 。魔法瓶の由来は、1873年イギリスの化学者・物理学者ジェームス・デュワーが真空容器による初めての放熱遮断実験に成功。1881年にドイツのヴァインホルトが原理を発見し、さらに同年イギリスのデュワーが二重壁ガラス瓶を製作。1904年にはドイツのテルモス社が商品化に成功し、商品名を「テルモス(サーモス)」と名付けた。

日本に魔法瓶が輸入されたのは1907年。同年の東京朝日新聞で、飯島魁が記者との対談で初めて「魔法瓶」と表現した、とされている。名前の由来は温度が保たれるのが魔法のようであることから「魔法瓶」と命名されたと言われている。

日本で初めて魔法瓶の国産化に成功したのは1912年。日本電球会社に在籍していた八木亭二郎が電球製造の際に用いる真空技術を応用し製造に成功しました。戦後の1963年には現在の象印マホービンやダイヤモンド魔法瓶が、「中瓶」の製造を自動化したことで生産数も飛躍的に伸長し、国内普及への大きな原動力となった。また1978年には、日本酸素(現サーモス)が、国産初の高真空ステンレス魔法瓶(携帯用)を開発、発売。その後各社が参入し、魔法瓶業界はこのステンレス製で大きく変貌してゆくこととなる。

魔法瓶の製造方法

《1》ステンレスを仕入れる

《2》パイプ状に成型し適切な大きさにカット

《3》内瓶と外瓶の作成
一つの魔法瓶に外瓶と内瓶と二つの瓶があり、底部と内瓶をくっつける。

魔法瓶の断面図(実物)

《4》内瓶と外瓶の間の空気を抜き、真空層を作る。

THERMOSホームページ
THERMOSホームページ

最後の工程で色や柄をつけます。シルク印刷、熱転写、レーザー印刷など柄のつけ方も様々あります。このような工程を経て魔法瓶はできあがります。工場次第では全ての部材が揃っていると3,000個/日も可能です。

ステンレス(stainless)とは

ステンレスは、英語で「Stainless Steel/錆びない 鉄鋼」と表記され、すぐに錆びてしまう鉄に代わる金属として発明されました。耐食性や強度を向上させるために、主成分である鉄にクロムやニッケルを混ぜることで作られる「合金」にあたります。ステンレスの歴史は浅く、紀元前から存在する鉄などに比べて、発明されてから100年ほどしか経っていない金属です。金属業界では SUS (Steel special Use Stainless) といい、JIS規格だけでも100以上の種類があります。ステンレス鋼は錆びにくいのが最大の特徴で機械部品の材料としてさまざまな製品に使われています。例えば車の部品や家電、産業機械でもよく使われています。身近な製品としては、スプーンなどの食器類もステンレス製のものがあります、主な特徴としては熱伝導率が低く、耐熱性や保温性に優れているため水筒に用いられることが多いです。反対に、放熱性に劣るため、熱を持ちやすいエンジンパーツなどにはステンレスが用いられることはまずなく、放熱性に優れるアルミが使用されます。

ステンレスはスポーツ飲料可なのか?

塩分を含むスポーツドリンクは、水筒内部のサビの原因になったりするため、かつては入れてはいけないとされていました。しかし最近では、内面にフッ素コーティングをしたり、ステンレスに錆びにくいと特殊な加工を施している商品もあります。(※そもそも加工がなくとも、環境次第ですがスポーツ飲料が原因ですぐに錆びることはほぼありませんが・・・)そのためスポーツドリンクを水筒に入れたいという方は、スポーツドリンク対応と表記のある商品、またはフッ素コーティングが施されているタイプを選んでみてください。

まとめ

今回の記事では魔法瓶の歴史と製造方法、そして素材のステンレスについて触れていきました。現在日本で流通している魔法瓶の大半は中国で生産されています。市場的にもサーモス、象印、タイガーを筆頭に多くの企業が参入しているためかなり飽和しています。昨年は炭酸ボトルが流行しました。次はどのような切り口での商品が出るのか楽しみです。

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