漢方の教科書『傷寒論』の通りに処方をすると漢方は効かない

武術研究家のモノノフです。以前の投稿で『西洋医学と東洋医学』というのをしました。西洋医学と東洋医学では前提が違うというものです。西洋医学が全盛である現代において東洋医学はオカルト要素が多いような扱いを受けたり、漢方は効かないとか、西洋医学で原因不明のものにとりあえず漢方使うとか、西洋医学の医者としてどうしようもないヤツが逃げて行き着くとことか、医者の中でも色々言われています。

それもこれも西洋医学と東洋医学は根底の考え方が違うのに、西洋医学の価値観で東洋医学を見る結果起きています。これは唯一神の宗教が八百万の神という発想を否定しているようなものです。そもそも考え方が違うのに自分の価値観でしかひとを見ない結果起きるのです。

東洋医学では五行(木、火、土、金、水)のバランスを整えること、この流れが遅滞なく流れていることが良しとされています。そしてこの五行には各内臓が振り分けられていて、それは西洋医学でいう臓器の分類ではなく、『概念』だという話をしたと思います。そして、流れが悪いところがあると身体に症状が出ます。あるひとは胸が苦しくなったり、あるひとは胃がもたれたりします。同じところが同じように悪くてもひとによって症状が違ったりします。ここが西洋医学では理解できず、「オカルトだ!」と言われてしまうところです。

挙げ句の果てに、漢方の教科書である『傷寒論』、漢方を勉強するベースになる本なのに

『傷寒論』の通りに処方しても効かないことが多い

のです。もちろん、症状に対して処方して効くものもあります。ただ、圧倒的にそれが少ないのです。ここを理解する上でも時代背景を慮らなければなりません。西洋医学と東洋医学を理解する時と要領は同じです。
本が書かれている時代は数千年前なのです。

『傷寒論』を書いたひとは張仲景(ちょうちゅうけい)というひとだと言われています。当時流行病(腸チフスと言われている)で、親戚の半分だか2/3だかを失って、そういうことをなるべく防げないかということで、『傷寒論』をまとめたとされています。書かれたのは数千年前の話で平均寿命が27歳だったと言われています。出産時や子供のうちで死ぬことが多く、栄養状態も悪かったことが推察されます。この時代のひとと、人生100年時代と言われている今とで、ひとの体質が同じわけないと思いませんか?

この体質の差を理解せず、『傷寒論』の通りに処方しても効きません。この体質の差を理解した上で、五行のバランスを見つつ、処方して初めて漢方は効きます。しかも、場合によっては西洋医学では原因不明や、治療できないものでも治ることがあるのです。漢方は薬自体が効いているというよりは、身体の機能を最大限活かすための処方になります。基本的には自分の身体が治すのです。ヒトの身体は機能すればかなりの病気を治すことができます。

ということで、漢方の勉強は『傷寒論』がベースなのに『傷寒論』の通りに処方しても効かない理由でした。東洋医学は西洋医学より歴史があります。残っているにはそれなりに訳があるのかなと思います。ただ、医者によって実力が雲泥の差があるのです。そこが非常に問題なのです。合気道も似たような問題を抱えています。技術自体は本物なのになぁ・・・

モノノフ






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