朝倉未来に効かなかった合気道
武術研究家のモノノフです。
朝倉未来選手と僕が尊敬しまくっている塩田剛三先生のお孫さん塩田将大さんのコラボ動画。格闘技ファンなら見たひとも多いのではないだろうか？
合気道やっぱり使えねぇじゃねぇかという声が聞こえてきそうですが、解説しましょう。他のひとの解説動画などもありますが、僕の感覚でいうとほぼほぼみんな見えていない。なんなら塩田将大さんもわかっていないせいで残念な感じになりました。
誤解しないでほしいのは僕は塩田将大さんには期待をしています。期待できない合気道家がほとんどの中、塩田将大さんは期待できる合気道家です。何が期待できるのかというと分析力です。一つ一つなにが起きているのかどういうことを意識してやっているのかをよく分析しておられます。将来達人と言われるひとになる可能性のあるひとだと僕は思っています。
では、何故そのひとの技が効かなかったのか？それは
「中心力」
です。
僕に言わせると朝倉未来選手は飛び切りの天才です。多分世界で十分通用すると思います。ではどう言ったところがというと、もともと「中心力」を保ったバランスで戦っているファイターです。このタイプの人の特徴は一見体勢を崩しているような位置でもKOパンチを出したり、やたらパンチが痛いとか言われます。僕は朝倉未来選手のパンチを受けたことがないのでわかりませんが、多分あっていると思います。このタイプのひとに技をかける時は相手の力とぶつかっては絶対に行けません。技が一つ耐えられたなら次の違う方向に行く技に切り替えないといけなかったのです。次のポイントは
「技の切り替えをできていなかった」
です。他のひとの解説動画で「痛がらせていてはダメだ」とか「痛くない方向にしないと行けない」といっているひとがいました。塩田将大さんはそれができるひとです。他の動画を確認すればわかります。しかし、それでうまくいかなかったから痛い方向の方でやってみるかと迷走していたと僕は考えています。本当は全く違う方向に行く技に切り替えるが正解でした。解説動画で「痛がらせてはダメだ」と言っていたひとは朝倉未来選手に同じことしても確実に朝倉未来選手に耐えられます。朝倉未来選手が技を耐えられた理由は塩田将大さんの技の方向を間違えていたからではなく、朝倉未来選手が『圧倒的に強い「中心力」を持っていたから』です。
さて、そこに気がついていないひとは塩田将大さんを見当違いの評価をするわけですが、塩田将大さんにそういった評価を受ける原因は確かにありました。それは合気道の練習を合気道家としかしていないところです。それも「中心力」を理解していない合気道家と。本当は合気道家同士の練習をしていると技をかけてはかけられて、しかし本気で抵抗しているとある日耐えられるようになる。耐えられたものは何故耐えられたのかを考え、次はこうしてみようと次の手を考えて切磋琢磨するものだ。耐えられた側はこの間は耐えられたのに今回は耐えられないぞ？どう言うことだとなるわけだ。それがお約束のような練習ばかりしていると「中心力」は養われない。相手にも自分にもだ。ここが塩田将大さんの落ち度だと思う。
正直真面目に合気道と向き合っていたらああいった状態にはなるものだ。要するに技がかからない人間に出くわすことだ。たまにあぁいう天才がいるのだ。世の中は本当に怖い。凡人の長年の努力を平気でひっくり返してくる。岡本正剛という合気道家がいる。このひとも本当にすごい合気道家ではあるが、自伝で若い頃に外人に技をかけきれず耳元で「金をくれたらコケてやってもいい」と言われ、非常に悔しい思いをしたという記述があった。おそらく、同じことが起きている。岡本正剛先生ですらそういうことがあったのだ。岡本正剛先生は結局技を磨きに磨いて、触れた程度で相手を投げられるようにした。もうとんでもない意地を感じる。
ということで、なぜ朝倉未来選手に通じなかったのか。それは
「中心力」を理解していなかった
技の切り替えができていなかった
ということだ。
おじいさん（塩田剛三先生）ぐらい技がキレていたら１発でいけたかもしれないが、それにはまだ鍛錬が足りない。
塩田将大さんには技の分析の方向は悪くないので、「中心力」を鍛えることと、もっといろんな相手をとってほしいと心から思う。
朝倉未来選手は「中心力」を使えている上に打撃で十二分に鍛えているし、おじいさん（塩田剛三先生）は１５５cm４５kgという体躯だが、「中心力」に必要な筋力だけはモンスター級だったと考えている。僕から見たら鉄の芯が入っているようだ。
合気道は決して弱くないと僕は信じている。
モノノフ
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