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研修医の誤診

日本赤十字社愛知医療センター名古屋第二病院は医療過誤があり、入院した男子高校生が死亡したと謝罪した。これに報道は「研修医の誤診が原因」と報道した。

救急外来に1日に2度受診したが、担当が研修医で近医を受診するように返された。そして死んだと報道したのだ。しかも病院が謝罪。

確かにこれだけ見たら研修医が悪そうだ。医療関係者からも上級医に相談しなかったのか?とか病院は庇ってやれよという声が上がっていた。

しかし、病院の発表を確認すると入院後の初期治療に問題があったような内容が書いてあるのだ。おや?と思って時系列を調べてみると、この高校生は救急で2回来院した次の日に近医を受診している。その近医が緊急性があるとしてまた日本赤十字社愛知医療センター名古屋第二病院に送って、SMA症候群がわかって、初期治療に誤りがあり、一時心肺停止。その後持ち返したが16日後に死亡というものだ。病院も初期治療にミスがあったことを認めて謝罪している。

お分かりだろうか?研修医は確かにミスはしたが、死亡に至る原因はそこではないのだ。この説明を聞いて研修医が悪いよねとはあまりならない。悪いは悪いと思うが、入院後が問題だったのだ。

しかし遺族のコメントは「研修医の勝手な判断・誤診がなければこのような結果になっていなかった。本当に後悔しかない。16歳の人生を突然終わらせてしまったことを決して忘れないでほしい」となっている。

僕は真っ当なひとが病院の説明を聞いたならこうはならないと思う。
おそらく記者がこのコメントを言わせるような質問をあえてしていると考えている。例えば、病院が入院後の処置が悪いと言っているのに「救急の時の担当医になった研修医に言いたいことはありますか?」みたいなことを言えば、上記のようなコメントを取れるだろう。

これはマスコミの偏向報道だ。
「病院のミスで男子高校生が死んだ」より「研修医のミスで男子高校生が死んだ」の方がキャッチーだからだ。かなりひどい報道だ。場合によってはこの研修医は自殺しかねない。これから多くのひとを救うかもしれない前途ある若者を殺す可能性のある行為だ。
おそらく担当した研修医も心を病んでいるだろう。ひとを全く死なすことなく医師をすることは難しい。図らずもそうなることは多くある職場だ。これは今後の糧にするしかない。ただ、これを全ての医師が避けたら医療は成り立たないのだ。

遺族の「16歳の人生を突然終わらせてしまったことを決して忘れないでほしい」のコメントに尽きる。全くその通りだ。

それを忘れずその後この研修医が名医になって、多くのひとを救えば、この男子高校生も遺族も少しは救われると思う。

今回の問題は研修医の問題でも病院の問題でもない(問題がないわけではない)マスコミのモラルの問題なのだ。

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