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はじめよう自動搬送 – 台車を運ぶ便利な機械の選び方 ④

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全自在輪台車と固定輪台車


全自在輪台車は全てのキャスターが自在輪なので、どちらの方向にも自由に動くことができ、その場でグルグル回ることも、斜めに進むこともできます。微細に見ると動き始めに規制はありますが、基本的には自由な方向に動かすことのできる台車です。

一方で、複数の自在輪キャスターの中に固定輪が1つ以上ある台車が固定輪台車です。
これらの台車は固定輪を中心にその場回転ができます。また固定輪の回転方向に動きが制限されることで、台車の進行方向を決めることができます。一般的に固定輪を複数個配置する場合は、キャスターの軸が合うように隣り合って配置します。複数の固定輪の軸位置がずれる程、直進性が増します。

現場により様々な台車が運用されています。同じようなカゴ台車を配備している現場でも、それぞれの使い方によって全自在輪台車で使用する場合と固定輪台車で使用する場合があり、現場での用途を良く把握する必要があります。

以下の環境がそれぞれの特性に合っていますが、実際には出荷先の制約条件等で変わったり業界の慣習で決まっている場合も多いです。

【全自在輪台車】
・移動距離が短く、小回りが必要
・狭い所に押し込むような動きがある(縦列駐車)
・積載荷物が軽い
・台車を折り畳むなど固定輪が使えない

【固定輪台車】
・直線的な動きで移動が長い
・積載重量が大きい


全自在輪台車を紐でひっぱると、直線でも台車は左右にふらつきカーブでは遠心力で外回りし、一度軌道をそれるともう戻れません。
一方後ろの二つのキャスターが固定輪の台車は、直線では安定して引っ張る人に追従しカーブは台車が内側に入りますが、再び直線コースになれば元の起動に戻り追従します。
このようなことから、固定輪が重要な役目を果たしていることがわかります。


台車に棒のアームをつけて引っ張ってみるとどうでしょうか。全自在輪台車では、左右に振られる台車に対して作業者が常に踏ん張って軌道を修正しなければ、思うように進むことができません。
また固定輪台車では、紐で引っ張った場合と同様に曲がる際にはカーブ内側に台車が入りますが、直線になると元の軌道に戻ります。

カギは固定輪

固定輪の位置を後ろと前で入れ替えて引っ張ると、どうなるでしょうか。

固定輪が後ろにあると台車はカーブで内側に入りましたが、固定輪を前にするとカーブの外側を走りました。
具体的には、固定輪を中心に台車の後方がカーブの外を走ります。
人に掛かる振られる力も大きくなり、踏ん張って横揺れを抑える必要がありました。

まとめ

ふらつき・横振れ: 全自在輪台車 > 固定輪台車

固定輪の位置: 後ろにすると軌道の内側を走行し、前にすると外側になる

AGVで牽引する場合を考えると、全自在輪台車ではより大きな力で横振れに勝つ必要があります。
また、固定輪の位置で走行する軌道が大きく変わることを考慮する必要もあるでしょう。
AGV・AMRで思う通りに台車を牽引するには、キャスター(特に固定輪)がカギになりそうです。

AGVで牽引する

<実験>台車の種類とアームの取付を変えて牽引すると

牽引(けん引)するためのJIGはAGVを選ばない 台車 カゴ車 かご車 カート

それではAGVに台車を取り付けて搬送実験をしてみましょう。
ここでは、実際に見かける台車の取り付け治具2種類(アームをしっかり固定したもの、アームをピンで引っ掛けているもの)に対して、全自在輪台車と固定輪台車を組み合わせた4つのパターンで直線やカーブにおける進み方の違いを比べます。

1⃣ 固定アーム × 全自在輪台車

直線ですぐに台車が大きく振られましたが、AGVは人のように軌道修正することができず、カーブで大きくコースアウトしてしまいました。
その後も正しい軌道に戻ることはできませんでした。

2⃣ 固定アーム × 固定輪台車

直線はキレイに進めましたが、カーブはAGVが頑張るも曲がることができませんでした。

3⃣ ピン引っ掛け × 全自在輪台車

直線から台車が左右どちらかに振られ、まともに進めないままカーブでは外側に大きく振られてしまいました。荷を積んでいたら崩れてしまっていたでしょう。

4⃣ ピン引っ掛け × 固定輪台車

人が牽引した時と同様にカーブの内側に台車が入るものの、直線もカーブもキレイに走れました。

結論

AGVで台車を牽引しながらきちんと走行するためには、アームのピン固定輪が必要ということが分かります。
その理由を、AGVと固定輪台車の連結モデルで確認してみましょう。

牽引(けん引)するためのJIGはAGVを選ばない 台車 カゴ車 かご車 カート

2⃣ の固定アームと固定輪の組み合わせは、いわば固定輪が4つの台車です。よってカーブを曲がれません。
4⃣ も固定輪が4つになりますが、途中にあるピンが軸となりカーブを曲がれるようになります。

つまり、AGVで台車を牽引するには固定輪により走行を安定させ、可動軸によりカーブを曲がることができるようにすることがPOINTとなります。

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