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デジタルイラスト試行錯誤

イラストが上手い人はすごい。でも、私のような普通の人間にはメイキングを見ても凄すぎて何をやっているのか分からない。 特にデジタルイラストの専門用語に疎い私は置いてけぼりなのです。

今回は、デジタルイラストの描き方に疎い私が、試行錯誤の行き当たりばったりの、多分正しくない方法でデジタルイラストに挑戦するドキュメンタリーです。

プロではないけれど、絵を描くのは好きです。少し前に思い切ってお気に入りのイラストアプリの有料版も購入しました。使える機能がぐんと増えたのが嬉しくて色々いじっていましたら、今までいまいち分からなかった「レイヤー」機能の使い方が突然分かりました。
デジタルイラストを描かれる方はご存知かと思いますが、レイヤーとは複数の透明な土台に各部分を描き分けて、それをひとつの画面に全部重ねて一枚の絵として仕上げることの出来る機能だそうです。たとえば人物と背景を別々に描いて重ねることが出来るので、きわの部分まで綺麗に仕上げることが出来ます。描いている土台が違うので、背景を描いているとき、間違って人物部分に描き込んだり消してしまう心配もありません。すごい。
私は真のレイヤー使いを目指すことにしました。
レイヤー王に!おれはなる!!!!

きっかけとして

どうしても描きたい絵がありました。大好きな友人があるとき“あなたの絵柄でこんなシーンのイラストが思い浮かんでキューンってなったよ”と話してくれたのがきっかけです。
嬉しかったし、素敵なイメージだなとは思ったものの、私の画力がイメージに追い付いていないというのが正直なところでした。“電車に乗って片耳ずつのイヤホンで音楽を聴いている少年少女のイメージ”との事だったのですが、
・座っている状態の人間がうまく描けない
・背景、しかも電車内(描いたことない)を描く画力がない
・水彩で描きたいが細かな部分を綺麗に書き込めるか不安

と、特にネックになっている点が3つありました。

気になりつつ一年近く経過して、デジタルイラストを学びだしレイヤーの使い方も発見した頃、同じ友人がひとつの目標に取り組んで毎月成果を出し、とても生き生きしているのを目の当たりにしました。「私も一ヶ月何かに取り組んで達成したい!」と刺激を受けて、そのとき思い浮かんだのがイメージのままになっているイラストのことでした。デジタルイラストにも多少慣れはじめ、一年前より技術も上達した今なら水彩風の画風であの絵を再現出来るかもしれないと考えたのでした。
いや、出来るかもじゃない!
やるんだ! 気合いだ! ……そんな感じでありました。

制作開始:下描き

まずはとにかくイメージで描けるところだけと思い、何も見ないで人物を描いてみました。

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【結果】 描けなかった。

そんなことってあります? あったんですけど……。だって絵ってちょっとしたことでも難しいじゃないですか。

この角度の服の襟元、シワのでき方、腕の感じ。指の部分とか全然描けなくて泣きそう。全然分からない。顔しか描きたくない。 

そう、本音を言うと顔しか描きたくないんです! 私、顔しか描けないんです!

と、いうことで画像を検索して、それらしき資料写真を集め、見て描いたりトレースしたりしてみました。

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お手本があるとなんとなく服と人体の形がつかめてくる感じ。
少年少女は制服でと思っていて、ブラウス×ワイシャツスタイルに決定しました。夏のイメージです。それから4パターンくらい構図とポーズの候補を絞りました。

③にしました。

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何で背景がこんな感じになってるの? と思われるかも知れませんが、私にもよく分かりません……。絵を描くときってちょっと夢中になり過ぎて記憶が曖昧なところがあります。

あと、下絵の二人がくっつきすぎ!と思ったので物理的にカット→移動して無理やり引き離しました^^

今回のイメージはほんわりしたかわいい雰囲気にしたかったので、あまり人物を画面に大きく収めすぎると描き込みすぎてリアル寄りになってしまうと思いました。電車内の空気感や窓の外の景色も効果的に使いたかったので、メインは車内、人物は全身を描いてその空間に溶け込ませることに。「人物 座る ポーズ」「電車 高校生」「靴 描き方」「制服 描き方」「イヤホン 片方ずつ」……とにかく検索して資料を集めます。こうやって簡単に資料写真などが手に入るのはすごく便利でありがたいです。

現実では小顔が良しとされるのに、特にアニメ系の人物のプロポーションは頭が大きめのリカちゃん人形みたいなバランス感です。私が学校で学んだのは、顔が小さくて手足の長いファッション画だったので少し違和感があります。何でこういうデフォルメなのかなと思ったのですが、リアルさが薄らいで幼さやかわいさが強調されるのですね。私も若干それに寄せました。


背景作成


次は電車内を描くための資料集めです。
友人は地元の特定の鉄道を挙げていたので、まずそこのホームページを見ました。内装にも何種類かあり、窓のタイプ、座席などの色もまちまちのようです。補足的に他の方の電車内のイラスト、別角度の車内写真などを集めて私なりの電車内下描きを何とか完成させました。定規、たくさん使いました。ごちゃごちゃし過ぎかなと思って、つり革などは省いてしまいました。後から見てみるととてもシンプルな線なんですが、私はここまで行き着くのにかなり苦労しました。

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あやふや感も残るけどまあいいや! 下描きの完成です。 これをガイドにいよいよレイヤー使いとなって着色をしていきます。

↓ これは没下絵。足元にそれぞれのリュックを描いてみたのですが、やっぱり足もちゃんと見せたい……。あと女の子はリュックじゃなくてスクールバッグにしようかな、ということで上のようになりました。

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レイヤー機能で着色してみよう!

いよいよレイヤー使いになります。イラストアプリ内の下描きです。矢印の先のボタンがレイヤー機能です。

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このボタンを押すとこう。

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一番右上のプラスマークを押すと、どんどんレイヤーが追加出来ます。描いた後のスクショなので、部分ごとの着色が細かに分けられているのが確認できると思います。ぼかし、滲みも容易な水彩機能を使っていきます。

まず人物から。最初は肌レイヤーです。

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水彩っぽい! 実際の水彩は修正が難しいのですが、デジタルだとやり直しがきくし、頬の微妙なつやぴか感も思うように表現できて嬉しいです

。目立ちませんが私にとって大事なポイントです。

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ほらかわいい……。


こんな調子で髪、服、靴、バッグとレイヤー毎に分けて着色を進めていきます。

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女の子の方の髪色をより濃い目にしました。リボンの赤も思い切り濃く塗ったのもこだわりです。靴の形や角度もいまいちだったので塗りながら修正。スクールバッグは座席から落ちそうだったので、奥に引っ込めました。
人物と小物はこれで仕上がりました。


続いて背景着色に進みます。

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ノスタルジー感も加えたかったので、薄いベージュを車内全体に。それから空と海。
車内背景は、本当は細かくレイヤー分けして慎重に塗っていたのですが、塗り終えた後に結合してしまったらしく、完成形しか残っていませんでした……。面白い機能とかも色々使ったんですよ。光も加えました。

アップはこんな感じ。かわいい……。

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最後に下書き線のレイヤーを外して、完成です!!

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車内広告風に写真加工アプリで文字を入れて色味調整もしました。葉書サイズにしたので、プリントすればポストカードに。描き終わったときには、息も絶え絶えな感じでした……。


おまけのレイヤー遊び

レイヤー画面にある目のマークを押すと、簡単にオンとオフを切り替えられるのもレイヤーの楽しいところだなと思いました。こんなふうに組み合わせ次第で別の作品になるみたいで、二度楽しいと思いました。かわいい、かわいいな……。

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まとめ

レイヤー王にはなれませんでした。でも、凄い絵師の方とは違う、私の独自のデジタルイラスト試行錯誤について書くことができたのは楽しかったです。

今回はレイヤーを使うことが目的でしたが、実際やってみてレイヤー分けすることでこんなに綺麗に仕上がること、特に下書き線をさっぱり消せるのが嬉しくて、皆さんこんな風にやっていたんだな、と思いました。違うかもしれないけど。これからもレイヤー使いを極めていきたいと思いますし、他の機能も使いこなせるようになりたいです。

そして、友人がとても喜んでくれました! 絵ってもっとサラッと描いてるのかと思った(きっとそういう人もいると思います)、でもこんな風に描いてるんだって知れて良かったと。「最初にこの絵を見たとき“頭の中見た?”って思うほどイメージ通りだった!」と言ってくれたのは嬉しかったです。誰かのイメージする絵を忠実に再現することが出来たら、絵を描くことはもっと楽しくなるんじゃないかなという可能性を感じました。

真のお絵描きマスターを目指して、俺の冒険は始まったばかりだぜ!!

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