生活保護は令和時代に適応できるのか?~自動車保有の是非から考える。

こんにちは。生活保護CW(ケースワーカー)のものかきもどきです。

急にムシムシ暑くなってきましたね。1歳の娘は、庭でジュース屋さんごっこという名の水遊びをしています。要するに絵の具を使った色水あそびですが、最後は全部の色が混ざって青汁のようになるのがお決まり。

さて、このnoteはコロナ危機をきっかけに生活保護をもう一度捉えなおそうという趣旨で書いています。

今回の記事では、↑で挙げた3つの論点の②番目。

昭和初期に大枠ができた生活保護制度が、令和の現代においても柔軟に適応できるのか

について、代表的な「自動車保有の是非」について議論することから考え始めたいと思います。


生活保護受給者は、車に乗っちゃダメ!?

生活保護を申請するときに多くの方がぶち当たる壁として、「車を手放してください」というものがあります。

生活保護受給者には基本的に自動車の保有が認められません。理由としては、①資産としてお金に換えられるものは全て換えた上で保護を受けること②保護費ではガソリン代や保険料、車検費などの維持費が捻出できない、③事故を起こしても賠償能力がない④保護を受けていない世帯と比べて自動車は贅沢品…というものがあります。

例外として、身体障害者の場合。また、夜勤などどうしても車通勤が必要…などもありますが、例え田舎でもほとんど自動車の保有は認められていないのが実情です。


車を手放すと自立も遠のく…もはや贅沢品ではないのでは?

理由から考えれば、私自身もCWとして自動車が保有できないのはやむ仕方ないかと思うことはあります。しかし、これが大きな自立の妨げになっているように思えてならないのです。

現行の生活保護制度ができたのは戦後間もない昭和25年。その頃からしばらくは自動車は贅沢品でした。ですが、都心はともかく、今や地方では車で移動することを前提としたライフスタイルが組まれているのではないでしょうか。

特に地方では、車通勤ができなければ就職先は大きく限られます。もちろん、CWは電車や自転車で通勤できる範囲で探すように、という指導はしますが、それでは受給者の方に合った仕事が見つからず。。。ということもあります。

また、一度保護申請して車を手放すと、そもそも保護費は毎月生活できるギリギリの金額しかないので、貯金して車を買うことは難しく、ましてやローンなど組めるはずもなく。。。再度、車を持つ、ということはかなりハードルが高いです。

まとめると、①生活での必要性が昔と比べてかなり高いこと(贅沢品とは言えない)、②一度手放すと再度の購入は難しいことから、もう少し保有を認める方向に議論が進んでも良いのでは?と、現役CWである私自身は考えています。

自動車保有に関しては、保護申請時に6か月以内に自立するなら自動車保有していてもいいですよ、というルールが一応あります。そのルールをもう少し緩和する。また、処分価値のない(大した金額で売れない)車の保有は、通勤に現に使用する場合は認める、など検討しても良いかと考えています。


車保有を隠し続ける受給者…その実情とは?

CWとして衝撃の経験でしたが、ある日担当している受給者の方が「自動車事故で救急搬送された!」という連絡が病院から飛び込んできました。(個人情報のためやや加工しています)

自動車にひかれたのか!?と驚いて聞くと、「自動車同士の事故で運転していた」とのことでした。

車保有を隠して車での通院を続けておられたのでした。

彼女の病状を考えると、車がなければ通院先を変えざるをえなかったと思います。ですから、CWに隠して車に乗っていたのでしょう。

それを不正受給だ!と批判することは簡単ですが、ある意味、制度上認められない以上隠すしかなかった、ということもできます。

さまざま難しい事情はありますが、やむをえない事情、自立を妨げるという観点からも、自動車保有の是非についての議論が盛り上がるといいなと思います。

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さて、本日の記事はここまで。本当は、クーラーが買えないこと、シャワーが贅沢品とされていること、ネット環境が整えられないこと…などもこの記事で書こうかと思っていましたが、車がボリューミーな内容だったので次の記事にします。

また、扶養照会(親に援助してください!とお手紙を送ること)についても近々取り上げていこうと思っています。これがマジ令和に合わないので(いきなりEXIT風(笑))


のろまなペースで申し訳ありませんが、徐々に更新するので、良かったらフォローして次も読んでやってください!




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