見出し画像

AdobeMAXJapanから見る学会(学術集会)の企業展示の窮屈さ

Adobe製品はその質の高さゆえに業界のスタンダードで、使っていないと仕事にならない点からも、サブスク料金は「Adobe税」とも呼ばれます。

そのAdobeが主催するイベントの「AdobeMAXJapan 2019」は大盛り上がりで、恐らく赤字のイベントではあると思うけれど、ファンは強固になって、企業展示も盛り上がり、多くの「いいね」を生み出したイベントでした。

特に企業展示に関しては思うところがあって、学術集会の多くはグダグダなことが多いので、どの様に違っているのかという事を解説してみました。


ちなみに全体のレポや戦利品はコチラの記事で紹介しています。


学術集会のスポンサーは集まりにくい

・学術集会:研究者向けのAdobeMAXJAPAN

学会(学術集会)に行った事のない人も多いと思うので、簡単に説明すると、各分野での研究成果を発表して知識を共有しようというイベントです。

学会:組織自体のこと
学会(学術集会):イベントのこと

組織自体もイベントの事も気軽に「学会」と呼ぶので「学会に行く」と言ったら、あぁ、イベントに行くんだなーと思ってもらえばいいと思います。


色んなジャンルの学会という組織があって、主には会員費とかで運営をしているんですけど、当然それだけではイベントを開催できるほどのお金が集まらないので、企業展示やスポンサーを呼びかけて出資してもらいます。

ただ、この学会のスポンサー集めって、ジャンルにもよりますが大変で、色々なコネを伝ってどうにかスポンサーになってもらう様な事が多いです。


なぜ、スポンサーが集まらないのか?


それは、素人がイベントを運営するからです。


学術集会を運営するということ

学術集会の仕組みって普通のイベントではありえないんですけど、毎年担当者が変わるんです。学会に所属している委員の先生(大体教授か准教授)が毎年持ち回りで学術集会長としてイベントを運営していく形になります。

もちろん研究者としては優秀な先生しか選ばれないですが、イベント運営に関しては素人です。何とか前回の学会を参考にしつつ運営するし、毎年変わるのでイベント運営に関する知見が蓄積していくワケでもないです。

なので、お金回りの事で言えば、学会自体にもともと出資してくれている企業に打診してみるのと同時に、その学術集会長の先生のコネで打診をするという形になってくるので人望がめちゃくちゃ大事になってきます。


ちなみに、下手をするとイベントが赤字で自費負担ということもあり得るので、シャレにならないレベルでこのスポンサー集めは大事なことなんです。

自費で100万負担した噂も聞いたことがあるので、ホントしんどいです...。


学会の企業展示スペースの罠

とはいえ、関連性の高い企業であればスポンサーになってもいいかなと思うし、実際にめちゃくちゃ売れるジャンルもあるんですが「え?」と思う企業展示スペースも多いので、それを経験すると出資したくなくなります。

※ちなみに、私のよく参加していたジャンルの学会だと、書籍・寝具・マッサージ機が売れ筋でした。もちろん研究関連機器も売れてるとは思います。

・参加者の導線に無い展示スペース
・展示会場という隔離された展示スペース
・休憩スペースにある展示スペース

この辺りが学会で見かけるBADな展示で、あまり捗らないスペースです。


よく見かけるのが、参加者の導線に無くて隔離されている展示スペース

コレは、本当に見ていてかわいそうだと思うパターンで、そもそも参加者が通りがかる事自体が少なく、展示をした意味合いがかなり薄れます。


会場内の余った部屋とかに企業展示が設定されていて、大会場のエレベーターホールを挟んで反対側とかにあるので、参加者もちらっと覗いて終わりというか、そもそも部屋なので、中の企業の方の圧も強くて入りにくいです。

もちろん企業の方の責任ではないですよ。

コレは「入ったら、色々資料もらって説明受けないと出にくいな...。」という場所に企業展示スペースを設定している学会側が良くないです。


あと、休憩スペースに展示が併設されているパターンもありますが、良さそうに見えてあんまり良くないと思うのがコチラになります。

休憩する時にしか来ないので、基本疲れて座りに来る目的で参加者が入って来ます。となると、わざわざその会場で立って回ろうという気も起きないので、目には入るものの説明を聞き入ってくれる顧客にはなりにくいです。


企業サイドも研究関連の機器だと学会で周知してもらわないとという気持ちもあるし、偉い先生から言われたら断りにくいし...みたいな攻防もあるのですが、あまりにも悲しい展示スペースが多いのは問題だと思います。


AdobeMAXJapanはどうだったの?

画像1

一方で「AdobeMAXJapan」の企業展示は、入場口から各セッション会場に向かうまでのハブ的な中心のスペースに配置されていて、確実に人の流れのある部分での展示になっています。

当たり前に思うかもしれませんが、出来ていないイベントかなり多いです。


また、中心スペースのさらに中心にAdobeのブースが配置されていて、そのスペース自体への集客と移動の流れを作る効果を生み出していました。


もちろん、比較対象に上げた学会とは出展料も違うかもしれませんが(大がかりな学会はパシフィコとかでもやるので一緒かもですが)、展示されている担当の方も、1日の手ごたえがかなり違うと思います。


ということで、私は学会の悲しい企業展示に出会う事が多かったので、今回のAdobeイベントに参加してみて、やはりこうあるべきだよなと痛感したので、学会の展示の現状を嘆きつつ、情報をシェアしてみました。

学術分野でも産学連携を推しているケースはかなり多いので、真の意味で企業側のメリットも考えられる様な展示になっていくと良いなと思います。

もし気に入っていただけたらサポートいただけると嬉しいです!