ある「ナチスの円盤」
ナチスドイツの開発した空飛ぶ円盤という話がある。
しかし、その真相のほとんどは円形翼の固定翼機、円形翼のジェット式VTOL機、ジェット式のオートジャイロ、ダクテッドファンを多用したマルチコプター、そして円盤によく似た形をした新発明のエンジン等(エンジンだけでは飛行できない)といった所である。
つまり、ミステリアスではあるけれど、決して実現不可能ではない。あるいは存在しても不思議ではないという事になる。
え? 砲塔を逆さに付けたヤツ? それは言うまでもないだろう。
皆神龍太郎氏のナチスの円盤に関する文章を読むと、言外に、それを調べるのはムダなような事を言われているように感じる。
多少、不明な点もあるのだが。
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「モデルグラフィックス」誌1990年1月号に、突如として第三帝国の空飛ぶ円盤の記事と作例が載った。矢追純一に先駆ける事4年である。(これ以前には落合信彦氏の本がある)
当然キットなんて物はない。フルスクラッチであった。
遊び心でもあるのだろうが、部隊マークも製作。秘密兵器説についても大きく間違ったものではないだろう。
この作例で参考にしたのが「1972年にVFW-フォッカー社が製作した模型」という事で、それ以上の情報はない。フォッカー社は伝統ある航空機メーカーである。
この記事には他に、シュリーファーの円盤や、ミーテの円盤とされるものの解説もある。
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そして1994年、矢追純一氏の「ナチスがUFOを作っていた」が特番と書籍で発表される。
その中で、ヘンリー・スティーブンス氏への取材が行われ、「ロサンゼルスの戦い」やフーファイターの話が出てくるのだが、「空飛ぶ亀」という興味深い存在の話も出てくる。
この「空飛ぶ亀」は戦時中ウィーンの秘密工場で作られた、ジェット推進の無人機で、電磁波で相手方エンジンの点火装置を狂わせて墜落させたという。
あれ? これって、「モデルグラフィックス」誌に載ったものと、そっくりじゃないか?
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現在ではより鮮明な画像を発見できる。
(元画像が出ている所が発見できず。出来次第リンク張ります)
NOT REAL?
どうやらこの模型、1972年のVFW-フォッカージャーナル(4月号?)に載った物らしいが、貼り合わせた照明のブラケット、3本のボールペン、プラスチックモデルの部品を組み合わせて作られたのだそうだ。
これはその模型の写真が載った(「モデルグラフィックス」誌の作例の参考になった)「LUFTFAHRT」という雑誌で後になってネタばらししたようである。
ドイツ語の文章のタイトルは「批判的でない読者の騙されやすさ」。
いやはや、便利な世の中になったもんだな。
おそらくスティーブンス氏の方はガセネタをつかまされていたのだろう。
追記 パイロンズオフィス「ドイツ空軍計画機1945」にもナチスドイツの空飛ぶ円盤の項目があり、「モデルグラフィックス」誌の記事が下敷きになっているようであるが、矢追純一氏の番組と本以降、その怪しさが分かってしまったのか、内容は大幅に否定的に書き変わっている
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