ザイダベック考

 特撮テレビ番組『アクマイザー3』には折からの(広義の)オカルトブームの影響を受け、地球内部の空洞に住むアクマ族という設定が出てくる。原作の石ノ森章太郎はオカルトに詳しかった。というのはあちこちで聞く話である。

 その第1話から、そしてエンディングテーマでも登場するのが「ザイダベック号」である。空飛ぶ幽霊船(もう「空とぶゆうれい船」って言ったらそりゃ石ノ森章太郎だよね)から飛べそうにない怪魚のような、そしてアメリカ国旗を模したようなカラーリングの飛行船形態に変形する。無理やりだろう。

 石ノ森章太郎原作の特撮ものの敵はしばしば(『秘密戦隊ゴレンジャー』、『ジャッカー電撃隊』、『電子戦隊デンジマン』あたり)古風な飛行マシンで攻撃してくるが、ザイダベック号もまたその1つと言える。人間をさらっていた敵側から(というよりアクマイザー3が裏切り者なのだが)奪取するのである。

 未確認飛行物体の歴史を調べると、「帆船が空を飛んでいた」という話が出てくる。1743年の英国アングルスイ(アングルシー)島での事例等が知られている。船底に竜骨まで見えたという話だ。その次の時代、1896年~1897年になると後から考えて飛行可能とは思えない飛行船が米国で目撃されている。外輪で進んでいたとか、先端が機関車のカウキャッチャーのように尖っていたとか、中には魚のような形状もあったと聞く。

 石ノ森章太郎だったら未確認飛行物体の歴史は知っていても不思議ではない。だから「帆船から飛行船形態への変形」にそれが込められている可能性もあると思う。考え過ぎか? いや、もう一段変形して葉巻形母船になるともっと分かりやすかったんじゃないかと思ったりするのだ。

 確かに考え過ぎかも知れないが。

余談 エンディングテーマ『すすめ! ザイダベック』作曲の渡辺宙明もかなりのUFOマニアだったのである。

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