目標は「休む」と言えるヒロシの生き方

「休みたい」

　と語れる芸能人がどれだけいるだろうか。それも視聴者の前で。若手とか現役バリバリの世代ではなおさらだろう。言っても本放送ではカットされたり、「親しい周囲にもらしていた」という感じになるだろうか。

　新雑誌「起業時代」ＣＭ発表で、キャンプ芸人としての活躍が続いているヒロシ氏が、今年の目標に「休」という文字の書かれたフリップを出し、「休みたいのよ」と発言した。確かにテレビやネット上の動画等を観ている限り、ヒロシ氏からは多忙な様子が伝わってくる。けっしてヒマには見えない。

　自分が古い人間なので、「休みたい」なんて言いそうにないビートたけし氏との対比で、芸能人は休みたいなんて言わないと考えてしまうのだろう。
　全くの想像だが、萩本欽一氏は知らない所で交渉して仕事を減らしていそうだし、横山やすし氏は言う前に休んでしまいそうだ。ダウンタウンの松本氏は半ばネタとして今日は休みたいと言うかも知れない。タモリ氏は周囲にしか言わないタイプかな。ドリフにいた頃の荒井注氏はドリフ以外の仕事でラジオなんかに出ていたら言っていたかも知れない。
　そう言えば荒井注氏は釣りを趣味とし、カラオケの店で食べていこうとした点はヒロシ氏に似ている。

　私の中でビートたけし氏とは違う意味で全く休みたいと言いそうにない芸能人は、「好きな事だけをやっている」を体現しているような所ジョージ氏である。

　ヒロシ氏はＣＭ発表イベントでは「仕事をしてもお金を払ってくれない会社がある」等の点を強調していた。
　よくよく考えてみれば「起業」とは社長になる事であり、それを勧める雑誌のイベントで、既に社長であるヒロシ氏が(「自由ですよ」とは言うが)社長の辛さをメインに語るというのは、まるでスポンサーの方を向いていなくて、「大丈夫か？」と思う。
　また、「起業する人は起業するんですよ、それくらいのパワーがないとやっていけないですもんね」とも言う。自分の好きな事をやりたいから独立したのだと思うが、そこからさらに「好きに生きたいんですよ」とも言う。

　おそらく、全部スパッとやめて南の島で農業をしても、また違った意味で大変な部分から「好きに生きたい」を求めるのだと思う。それは多分ヒロシ氏もそうだし、我々の多くもそうなのだと思う。