言えないこと、言わないこと

今後の進路について考えていたら、言う相手、場所、時期、状況、すべてをよく吟味しなければとても人に言えないような結論が出てきてしまった。

もともと何か考えが出てきたときは、いつか必ず言わなければいけないことか、時と場合に応じて言ってもいいことか、絶対に言ってはいけないことか、というのを相手に応じて区別しようとしている。している、というのは、実のところできていないからだ。どの箱に放り込もうかと考え込んで、たいてい言えずに終わってしまう。

絶対に言ってはいけないことだと決めたら、何か隠しているという素振りすら絶対に見せてはいけない。何か隠されているけど何なのかは分からない、という状態はだいぶ精神衛生に悪い。隠していることすら隠せないくらいなら、すべて言ってしまった方が結局は双方のためになるんじゃないか。そうは言っても言えないことはどうしてもあるので、結局隠し事がばれないように距離を取ってしまう。

その考えが「言ってもいいこと」の箱に振り分けられない限り、その件に関しては何も言わない。どんな考えが浮かんでも、自分一人で向かい合い整理していく。整理作業をしていることすら隠すので、端から見れば普通に生きているだけなのになぜか追い詰められているように見えるんだろう。

この結論も、そこに至った思考背景も、間違っているとは思わない。だけど少なくとも、これまで私の近くにいてくれたうちの何人かを傷つけるような考えだということは分かる。何人かの人生観に真っ向から対立し、これまで同じ道を歩み、これからも同じ道を歩んでいこうという相手の提案をほとんど正面から拒絶するものだということも分かる。だから、結論そのものは近いうちに明かさざるを得ないにしても、理由は言えない。言いたくない。同じ夢を見ているのだと信じ切っている相手に、必要もないのに冷水をぶっかけるような真似はしたくない。相手その人自体を嫌いになったわけじゃないから。相手の言っていることも正しいと分かるから。だけど、その正しさは私にはどうしても合わないことに気づいてしまっただけだから。

だけど、相手を傷つけると分かっていても、自分の考えを曲げられない。このまま相手の望むとおりしていれば、傷つくのは私の方だ。たぶん、ごく短い期間でなら傷ついたことすら悟らせずに相手の望むように振る舞うことができる。でも間違いなくいつかぼろを出すし、そうなったときの「裏切った」「裏切られた」という気持ちの大きさは現時点で拒絶するときの比ではないだろう。上手くやれば今ならまだ浅い傷で済む。はずだ。

こうして言えないことが降り積もっていく。この秘密主義者め。

こんなこと書いてるからリアルの知人にこのアカウントはさらせないんだ。

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