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#4 傘:吃音のある人の平等 10. Coming together in collaboration: Elephants, canyons and umbrellas in the stammering community

こんにちは。
ものくろです。

今回は、前回「10. Coming together in collaboration: Elephants, canyons and umbrellas in the stammering community #3 吃音コミュニティにおける峡谷」の続きからになりますが、第10章は本記事#4で終了となります。

傘:吃音のある人の平等


Disability as the umbrella term

雑談になりますが、「Disability is an umbrella term covering impairments, activity limitations, and participation restrictions.(ディスアビリティ(当人の身体状況と社会環境との間に生じる齟齬という意味での障害)は、インペアメント(当人の持つ身体の特性という意味での障害)、活動の制限、参加の制限を包括する総称である。)」だそうです。
日本語では、「deficit, disability, impairment」を全て「障害」と訳してしまうのですが、実際には上記のように細分化することができるようです。業界によりますが、言葉の定義はとてもとても大事ですよね。同じことについて議論していると思っていたら、言葉の定義が人によって違うために議論が噛み合わないことがあります。逆(?)もあって、違うことについて話していると思ったら、実は同じことについて話していることもありますね。

吃音コミュニティの中には意見が分かれる領域も多いかもしれないが、およそほぼ全ての吃音のある人が同意できる領域もあります。これらの問題によって、私達は吃音の傘の下に協力することで、統一的な目的のために戦うことができます。パトリックにとって、最も切実な問題は吃音のある人の平等です。
私達は、吃音のある人に対して偏見をもった社会で暮らしています。そのせいで、吃音のある人が人生で成し遂げたいこと全てを達成できないことがあります。研究によって、吃音のある人は一般的に流暢な話者よりも「弱そう」、「自信がなさそう」、「劣っていそう」と見られることが分かっています。Kenneth St. Louis(ケネス・セントルイス)は、著書『Stuttering Meets Stereotype, Stigma and Discrimination(吃音とステレオタイプ、スティグマ、差別との出会い)』の中でこのことについて記述しています。この偏見は、人生のあらゆる場面で現実的な影響を及ぼします。

・吃音のある子どもは学校でいじめられる可能性が高い。
・吃音のある人は一般の人よりも精神衛生上の問題のリスクが高い。
・吃音のある人は就職から排除される可能性があり、就職するのがより困難になる可能性がある。

このことは、多くの読者も実際に経験したことがあると思います。吃音コミュニティの中には、対立、分裂が存在するのかもしれないが、それはほぼ全ての吃音のある人の生活に影響を与えている吃音に対する日々の偏見や差別の問題と比べれば大したことではない。

マイケル・ボイルの第11章で詳しく述べられているが、吃音に対する社会スティグマに挑戦する様々な方法があります。吃ることへの誇りは、おそらく社会スティグマに対する強い反応だが、専門家による啓発活動など他にも様々な方法があります。これらは並行して行うことができるもので、衝突するものではありません。同じことが吃音コミュニティにも当てはまります。私達は、グラントとアンのように協力し合うことができるのです。私たちは違いを議論するかもしれませんが、社会を全ての吃音のある人にとってより良い場所にするという目的に向かって、確実に協力しなければなりません。

今回で第10章は終了となります。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
ではまた〜


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