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広報専門家の視点から見た、「情報」への対価。目に見えない資産に価値を見出す企業が成功する。

「情報」と一口で言っても、インチキ臭い、情報商材ということではありません。ここでいう「情報」とは、インテリジェンスに近いものであり、ヒューミントや調査結果やデータから導き出されたものや、世の中にまだ出ていない、報道機関や記者などが持つ情報を言います。

日本では、特に「情報」に対する価値を見出せない経営者や企業が多く存在していることに気が付きます。他社や業界の動向など、自社に関係する内容から、監督官庁のワーキンググループの動きや法規制の動向など、世の中に公表されてからでは遅い、「情報」に対して広報担当者は触れる機会が多く、またそれを有効活用ができる企業は、成長のスピードが速いと感じます。
 たまにクライアントや営業先の会社から、このデータや調査結果を欲しいと言われることがありますが、契約前や業務委託がない中で、自分たちが調査した内容やその「情報」分析結果、シュミレーションや調査に基づく仮説やビジネスモデルのシュミレーションなどを渡すことはありません。
安易に、そのデータが欲しいという方に限って、利用の仕方や加工方法、そのデータから導き出される仮設などを理解されず、無駄になるケースが多いことに気づきます。

「情報」は鮮度が命。

「情報」にとって一番大切なことは、鮮度です。その情報がいつ取得され分析されたものなのかによって、とるべき手法や戦略が変わってきます。
当然、他社にとっても重要な情報であれば、それをいかに早く決断し、利用するかに成功のカギはかかっていると言えます。そんな中で、このデータだけが欲しいとか、決定するまで数カ月を要している企業は、広報の目から見ると、明らかに機会損失であり、決定したとしても、思ったような結果が出ないことが多くあります。
その情報をどのタイミングで入手し、調査・分析を行うかで、「情報」が精度の高いインテリジェンスに変化します。
このインテリジェンスは、広報ならではの視点や情報網によってもたらせられ、使い方によって、有効な手段となり得ます。

日本企業における情報に対する対価の考え方

最近は、徐々に変わってきていますが、情報に対する対価に関して、認識していない企業が多いのもまた事実です。
広報担当者のネットワークによる事前情報は、世の中に出ていないものが多く、あくまでうわさであったり、報道機関や記者の間で知ってはいても報道されていなかったりする場合もあり、それをどのように使い、事前に対応するかなど、非常にセンシティブで高度な対応が求められます。

特に、経営戦略や事業戦略、新規事業のフィジビリティ調査など、会社の根幹にかかわる周辺情報や法令などの情報は、価値があるとわかっていてもそれに対する対価を支払うという傾向にまだありません。

すでに欧米の企業では、広報組織にこのような情報を収集する能力を求められることも多くなってきており、特に災害や事件事故、他社の動向に至るまで、インテリジェンスを求められるようなことが多くなってきています。
これは、ビジネス環境に最近では経済的なリスク(物流、生産、輸入など)に加え、地政学的なリスクなど様々な要因がビジネスに影響を与える可能性が高くなってきていると考えられます。

情報価値は、日本で受け入れられる?

例えば、人権の問題を例に挙げてみると、当然輸入元の国の状況や人権に対する考え方や対応に良り、差し止めを求められたり、また、国家間の紛争により、物資が滞ったりする場合を最近では多く聞きます。
そのような端緒が事前に把握できていれば、他社に先駆けて、対応も可能でしょうし、万が一、問題が生じた場合にも他の手段をとることも可能になります。

その一方で、目に見えないもの(情報)に対して、コスト意識のある企業は、少ないと言えます。これは、日本において、情報は、水と一緒で、お金を払う意識概念がないというのがこれまで不文律として存在していからといえるでしょう。最近は、水には、お金も払いますし、その価値に対する考え方も徐々に変わってきていると言えます。

今すぐとはいかないでしょうが、特に企業として情報に直面するのは、危機的な状況に陥ってからではないはありがたみがわからないと考えています。
災害や事件事故時にどうするか?社員の安全や周辺情報に対して、正しい情報、今後の予測など、情報をどう活用するか?実際に危機的な状況に陥ったことのある企業は、その価値に気付いているかもしれません。

その一方で、なんとなく乗り切れてしまった企業は、情報に対する価値観と意識が低いと考えられます。

広報の職種柄、情報の取り扱いや情報の分析、情報の利用方法など、企業にとって、価値を感じられる発信やアドバイスを心がけていく必要があると最近考えています。

事件や事故の場合、何の脈絡のない、記者との会話にも端緒がわかる場合があります。そんなとき、情報→インテリジェンスに変えることのできる広報担当者が今後、重宝されるでしょうし、生き残っていけるものと考えています。ちょっとした会話から情報の精度や情報の価値分析ができるような広報担当者になりたいものです。










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