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あとがきのようなもの #3【2020年9月】

 先月掲載した記事についての覚書です。

9/1 あとがきのようなもの #2【2020年8月】

 このコーナーほど考えずに素直に書ける文章はないような気がする。本当はそのくらい肩の力を抜いたほうが良いものが書けるのかもしれない。というわけで、来月のテーマは「力を抜く」にしてみます。

9/4 青空文庫マニアックス #2【良夜 / 饗庭篁村】

 正直なところ、『良夜』はどんな感想を書けばよいのかわからない作品だった。実際の読書感想文でもこういうタイプの作品に出くわすことがあるわけで(それどころか夏休みに子供たちが出会う本の多くがこういった作品である)、その場合「どうやって感想も無しに感想文の体をなすか」という逃げ技が試される。この文章が首尾よく逃げきれているかどうかはわからないが、少なくとも筆者は中年なりに全速力で走ったつもりだ。

9/8 mono-lessの文体練習 #8【理由】

 この記事を投稿するとき、すでに本コーナーは三作品くらいのストックがすでにあったので、その中から選んで掲載するつもりだった。ところが投稿する直前にこのアイデアが浮かび、実際に書いてみると意外と端正で良い作品が出来たと思ったので、熱が冷めないうちにポストした。「そういう解釈もあるのか」と自分でも驚きながら書いていたように思う。とても楽しかったし、反応も多くて嬉しかった。

9/11 mono-lessの文体練習 #9【内的独白】

 元々は"意識の流れ"というタイトルで投稿していたが、その後、デイヴィッド・ロッジの著書『小説の技巧』を確認したところ、三人称での記述との混合がない場合は"意識の流れ"ではなく"内的独白"ということを確認したため、改題した。
 "内的独白"などと書くと、いかにも文学的な響きがあるが、お笑い芸人がコントの始めに舞台の上で一人ベラベラと自分の状況をセリフで説明しているアレとさほど変わりがない。
「いや~、なんか喉かわいたなぁ。おっ、こんな喫茶店が出来たのか。なかなか良さそうだな。よし、入ってみるか」
 ほら、同じでしょ。

9/15 新しい官能表現を考える会 #2

 若い頃、よくシナリオコンテストに応募していたが、募集規定の中で「携帯電話を印象的に使うこと」「○○県を舞台にしていること」といった具合にテーマが設けられていたものも多かった。『良夜』の項にも書いたとおり、テーマを与えられた創作には「どうやって規定から逃げつつ(又は巧く利用しつつ)、本懐を遂げるか」という技術が必要になってくる。そういった意味では、本コーナーはほぼこの技術に焦点を当てたものだと思う。
 本作品の逃げ方は個人的には面白いと思うが、本気で官能小説を書いている人からは怒られそうな気がする。

9/18 盤があるなら嬉しいです #3【THE THIRD SUMMER OF LOVE / ラブリーサマーちゃん(2020)】

 本コーナーでは一度オンタイムな投稿をしてみたいと考えていた。そこで「このアルバムのレビューこそリリースした週に投稿してみよう」と思い、急いで書き上げた。Twitterで投稿するとラブリーサマーちゃん本人に届くかもしれないので力も入れたし、結果的に本当に本人からいいねがついた時はとても嬉しかった。早めに仕上げるため、ひとまずサブスクで聴いてこのレビューを書いたが、その後CDが届いて本人のライナーノーツを読むと、本記事であげたThe Kinks等の影響が正解だったことがわかり、「えっへん!どうだ俺の耳は!」という気持ちになった。曲のルーツを当てることができたとき、音楽オタクはとても嬉しいものなのです。

9/22 mono-lessの文体練習 #10 【ツアーガイド】

 単純に「文体を変える」というだけでなく、「物語を膨らませる」という面白味を含めてみた。後者は今後ももっと追及してみたいと思っている。

9/25 mono-lessの文体練習 #11 【ツッコミ】

 漫才ではボケよりもツッコミが好きだ。フットボールアワーの後藤さん、サンドウィッチマンの伊達さん、千鳥のノブさん(千鳥は二人ともツッコミが面白い)。私が彼らを好きなのはその咄嗟に出てくる言語センスが卓越しているからだ。本作品はとても楽しんで書いたし、個人的にはアイデアも内容も面白いと思う。

9/29 青空文庫マニアックス #3【仙人掌の花 / 山本禾太郎】

 特別な感想を持てなかった『良夜』に対し、『仙人掌の花』は「どう解釈すべきか」という点で難しかった。自分の中の解釈が定まっても、どう文章としてわかりやすく構築するかも、また難しかった。このくらいの文章をパッと書けるようになりたいが、まだまだ時間がかかりそうだ。精進はつづく。

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